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2009年08月09日

【ECU】【技術】ノッキング検知アルゴリズムについて

ノックセンサ=加速度ピックアップで、振動を検出しているのは良く知られていること。

ただし、クルマの走行には様々な振動を伴うワケで、オーバーオール振動からノッキングのみを抽出するにはそれなりに技術が必要なハズ。

悪路を走ったときに激しく振動しているにも関わらず、ノッキングがロギングされたりしないので、レガシィ(BL・BP)に使われているノックセンサ及び、その解析アルゴリズムはなかなか良くできているな・・・・と以前から感心していた。

レガシィに使われているノックセンサの特性及び、ECUでの処理アルゴリズムは知らないが、一般的な処理方法を自分の知識及び、WEBで調べた範囲で書いてみる。


【1】ノックセンサ

ノックセンサ=加速度ピックアップ=振動検出器。

加速度ピックアップは通常の振動計測では、計測したい周波数範囲よりも、高い固有振動数(共振周波数)をもつものを選ぶものである。
ただし、ノックセンサとして使う場合は、振動の評価を目標とするわけではなく、ノッキングを検出するスイッチとしての使用目的となるため、あえてノッキング特有の周波数とバッティングする固有振動数のものを用い、共振させることも多いようだ。

ノッキングによる振動の周波数は6~9[kHz]、特に7[kHz]あたりとなるらしい(聴感的にはかなり高い周波数)。



【2】フィルタリング

ノッキング特有の振動周波数である6~9[kHz]、特に7[kHz]を抽出するよう、ノックセンサにより計測した振動に対し、バンドパスフィルタをかます。



【3】回転次数成分

エンジンの運転に伴う振動(アイドリングでも発生するエンジン自体を振動減とする振動)の周波数特性は、基本的に回転次数成分となる。
回転次数とは、すなわち、回転数に比例した振動となる。

水平対向エンジンは理論上は振動を打ち消し合う動きとなるが、そうは言っても、機械振動や燃焼振動はやはり発生する。
で、多いのは回転一次(回転数の一倍)、回転二次(回転数の二倍)あたり。

1000[rpm]=回転一次:16.7[Hz]、回転二次:33.3[Hz]
2000[rpm]=回転一次:33.3[Hz]、回転二次:66.7[Hz]
 :
6000[rpm]=回転一次:100[Hz]、回転二次:200[Hz]
7000[rpm]=回転一次:116.7[Hz]、回転二次:233.3[Hz]

となり、回転四次あたりを考慮したとしても、【2】で6~9[kHz]を抽出するバンドパスフィルタをかましていれば、ノックセンサからの振動信号から回転次数成分を除去する必要はなさそう。



【4】ノック判定時期(ノック判定区間)

エンジンによってもある程度は異なるようだが、ノッキングが生じるのは、点火後30度前後よりノッキングが始まり、ピストンが下降するに従いシリンダー内の圧力が下がりノッキングも減少する。
その間のノッキングの発生する可能性のある期間のことを、「ノックウインドウ」と呼ぶ(4サイクルエンジンの工程720[°]のうち60[°])。

ノックウインドウをノック判定時期、ノック判定区間とし、その間に検出された衝撃波のみをノッキングの対象とする。

ノックウインドウはATDC10~30[°]となることが多いようだが、ECUで点火時期制御をしているならば、ATDCだけで判断するのではなく、点火タイミングと合わせて考えるべきだろう。



【5】振動強度レベル

ノッキングが発生していない場合でも、振動強度のレベルは一定ではない。
過渡=エンジン運転条件の急変(例えばアイドル状態からの急加速、可変バルブタイミングの急変等)や、ノイズの重畳等により振動強度のレベルがステップ的に上昇することがある。
これらの要因により、ノッキングが発生していなくとも振動レベルが大きくなり、ノック頻発状態と誤判定してしまう可能性がある。

最近のECUでは、ノッキング検出からのフィードバック制御により点火時期を遅角制御する(スバル=DENSOのECUのFeedback Knock Correction)ので、ノックは散発的に発生するだけであり、エンジン運転条件の急変やノイズの重畳などのように、振動強度のレベルが連続的に大きくなることはない。

よって、振動強度が連続的にノック判定値を超える回数又は頻度が所定値未満であれば、ノックによる振動強度の上昇と判断して、ノック判定値を超える大きな振動強度のデータを統計的指標の算出に使用しないようにすることで、ノック判定値の更新を禁止して、ノック発生によるノック判定値の上昇を抑制し、ノック発生時にノックを検出しにくくなる現象を回避することが可能。

※ただし、【5】は2005.9.16にデンソーとトヨタにより出願されている特許であるため、特許出願前に製品に適用されていないとすれば、2003年デビューのBL5Aレガシィ、BP5AレガシィのECUには【5】のアルゴリズムは存在しないものと考えられる。




・・・ほかにもアルゴリズムは存在するかもしれないけど、おおよそこんなアルゴリズムでノックセンサ→ノッキング判定されているものらしい。

※波形のパターンフィッティング(衝撃波形がノッキング時のそれと類似しているかの判定)なんかも存在するが、そんじょそこらのECUでそこまでやってるとは思えない。機械の故障判定なんかには良く使われる。




●レガシィB4(BL5A)のECUチューン関連目次はこちら
●自動車技術関連関連目次はこちら
ブログ一覧 | レガシィB4 OpenECU | 日記
Posted at 2009/08/09 18:31:43

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この記事へのコメント

2009/08/10 15:27:43
ノッキングの検知アルゴリズムも奥が深そうですね。

レブリミットとノックコントロールのエンジン回転数範囲は密接な関係だと思っていたのですが、GRBのマップを見ていると関係ないみたいですね。
コメントへの返答
2009/08/10 17:25:45
【1】~【4】は私でも考え付く範疇ですが、【5】は「へえ~~~っ」とひたすら感心してしまいました。

> レブリミットとノックコントロールのエンジン回転数範囲

a) エンジン回転数大→スワール速度大→ノッキング減少

b) エンジン回転数大→燃焼室壁面温度大→ノッキング増加

と相反する現象もあるみたいです。

高回転域ではノック誤検知しやすいため、高回転域ではノッキングとみなす振動レベルのスレッショルドを変えたり、いろいろノウハウがあるみたいです(詳しいことは知りませんが-_-;)
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