• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2013年10月12日

ホンダ フィット(1300ccエンジン搭載車) 試乗

 ホンダの初代フィットは、当時における「ダウンサイジング需要」の担い手として、一躍大ヒット車になりました。当初は1300ccエンジンのみで登場し、スポーティーグレードとして1500ccSOHC4バルブVTECエンジンを搭載した、「1.5T」が追加されました。これにはMTも用意され、「ほどほどスポーティー」な、面白いグレードとして存在しました。

二代目は、1300ccを基本とするものの1500ccにも標準グレードを用意し、1.5Tは「RS」として、GTカートしての性格を持たされました。後期モデルではハイブリッドが登場、シリーズの主役がハイブリッドになっていく一方、RSはさらにスポーティーな雰囲気をまといました。グレード展開が進むと、当初の1300ccは廉価グレードのような雰囲気になりました。この頃になると、コンパクトカーを求めていた層は軽自動車へと移行し、市場が大幅に縮小、ホンダ自身もNシリーズへと力を入れるなど、フィットの1300ccグレードは難しくなっていきました。

そしてフルモデルチェンジを受けると。シリーズの主力はハイブリッドへと移行し、RSも影が薄くなりました。ましてや1300ccは、どうしても軽自動車は嫌な層やフリートユーザー(社用車)などの需要を受けるだけとなり、初代が持っていた崇高な精神は、かなり薄くなってしまいました。

エンジン
 エンジン型式こそ「L」ですが、初代からモデルチェンジの度に変更を受けています。初代がエンジンの低回転化の傾向を受けて「SOHC2バルブ2点点火」、二代目が「SOHC4バルブ」、そして今モデルでは、「DOHC4バルブ連続可変バルブタイミング」となりました。初代の「低速トルク重視」の思想は一体どこに行った?というところですが、ここは可変バルブタイミングの方が有効であった、ということでしょう。当時も可変バルブタイミング機構はありましたので、ホンダの説明というのは実に「その時だけ」のものです。

エンジンは、公式には発表されていなかったように思いますが、どうやら「アトキンソンサイクル」になっているように感じられます。おかげで、低回転時のパワー感はさっぱりありません。アクセルペダルを踏んでパワー不足を補おうとするのですが、これが「常時エコモード」のようで、アクセルペダルを踏んでもさっぱりパワーが出てきません。アクセルペダルを踏み込んで待っていると、パワーが出てくるかのような印象です。エンジンノイズも大きい方で、タペットノイズのような音がかなり車内に入ってきます。

パワーが不足していてしかもうるさく、今風なのはアイドルストップがついているだけ、という、全く良いところが見られないエンジンです。

トランスミッション
 現代の車ゆえ、CVTを採用しています。旧型で登場した、トルクコンバーターを用いる方式です。CVTは、エンジンの出力を効率よく取り出すことに優れるトランスミッションですが、この車について言えば、エンジンの出力不足を補わない変速制御のCVTです。エンジンの出力不足とは無関係に、すぐに高い変速比へと移行させようとします。そして定速走行に移行するとその変速比を落とそうとしません。

ステアリング
 電動パワーステアリングです。これはホンダの美点の一つで、アシストや中立付近のしっかり感について、概ね違和感がないステアリングです。

ブレーキ
 こちらもステアリング同様、踏み応えがしっかりした、信頼に足りる操作感のブレーキとなっております。ハイブリッドとは方式が異なるブレーキなのですが、面白いことに操作感が似ています。

サスペンション
 初代フィットの初期モデルも「ただ硬いだけ。褒めるのはレーサー系評論家のみ」のサスペンションでした。このモデルも初代を思わせる乗り心地で、芯がある硬さを感じます。なるべくストロークをさせないようにしているようで、スプリングが硬いのではないか、と思われます。

他社には、「動き出しが硬く、動き出すと柔らかすぎる」サスペンションや、「街中では柔らかいが、山道では柔らかすぎてロール角が大きく、車酔いを引き起こす」サスペンションの車があります。どちらも困ったものですが、この車は「硬くてお尻や腰が痛くなることはあっても、車酔いはしないサスペンション」ではないか、と思われます。また、スポーティーな走行にもある程度耐えることでしょう。ホンダらしい考え方のサスペンションです。

家族に乗り物酔いをしがちな人がいたり、少しはスポーティーな感覚を求めたい人には、注目に値します。

ボデー
 旧型の後期型の頃には、他車と比較して見劣るボデー剛性でしたが、やや追いついてきた印象があります。タイヤが突起を乗り越える際の、「ミシリ」と車体が音を立てたり、空間の変動を感じるようなことはなくなっています。

内装は、グレードの都合なのか、面白みも何もない内装です。コンパクトカークラスが登場してしばらくの間は「若々しい内装」や「しっかりした内装」を用意するものですが、モデルを重ねて「フリートユーザー」が現れてくるとだんだんつまらない内装になってくるものです。販売台数の上で見過ごせないフリートユーザーとはいえ、こういうことが起こってくるのは困るものです。

まとめ
 「フィットよお前もか」という印象しかありません。初代のキビキビとした走りもなければ、若々しさも薄まった、そんな印象です。コンパクトカーならではのキビキビとした感じは、ハンドリングにしか残っていません。「そういうご希望の方は、RSをどうぞ!」というところでしょうが、以前は標準グレードでも味わえたものです。ラインナップの充実といえば聞こえは良いのですが、どうも全体的に薄味になってしまっているような気がします。余談ですが、旧型のハイブリッドRSなどは「オンリーワン」な性格を持っていましたが、それも今やありません。

先のハイブリッドのリコール多発問題で、ホンダでは「人手不足」を原因に挙げていましたが、商品の魅力のなさは1300ccグレードにも現れています。このグレードは「特に考えず、車を足として選ぶ」人に買われるのでしょうが、それにしても寂しい車です。パワーもさっぱりですし、一般ユーザーであれば、この車は全くお勧めできません。

参照して欲しい記事

トヨタ
ラクティス(前期型)
ヴィッツ(前期型)

日産
ノート(前期型)
マーチ(初期型)

ホンダ
フィットハイブリッド

スズキ
スイフト(前期型)
スイフト(後期型)

VW
UP!
ブログ一覧 | 試乗 | クルマ
Posted at 2014/12/20 18:22:28

イイね!0件



タグ

今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

キリ番
hirom1980さん

先日面白く事?が。
ベイサさん

危機的状況
ふじっこパパさん

モエ活【53】~ 歩く日_いつもと ...
九壱 里美さん

31周年ありがとうございます
R Magic おーはらさん

朝ご飯😊
sa-msさん

この記事へのコメント

2014年12月20日 23:14
こんばんは。

私も昨年このフィット1300に試乗しました。その時の印象ですが、1500やハイブリッドモデルと比較するとシートも足回りもイマイチな印象を受けました。

こういう老若男女多数の方が乗るクルマこそ、ベーシックグレードがきちんとしているべきだと思うのですが。
コメントへの返答
2014年12月22日 0:31
こんばんは。

このフィット1300ccグレード、初代とは違ってすっかり寂しいグレードになってしまいましたね。初代が持っていた、クラスレスな感じも薄れてしまったように思います。フリートユーザーが結構多いと思うのですが、フリートユーザーの意見が邪魔をしているような気がしてなりません。

ところで、今回のフィットのホイールカバー、あのデザインが私は大嫌いです。まるで扇風機の羽の絵ではありませんか!

プロフィール

「サザエさんを見ています。タラちゃんの声優さんが変わりましたが、ほとんど違和感がありません。今度の声優さんの貴家さんに対するリスペクトを感じます。」
何シテル?   03/05 18:43
小さい頃、トラック野郎を見てトラックが好きになりました。その後「太陽にほえろ!」のカーアクションを見て、乗用車も好きになりました。カーグラフィックTVや新車情報...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2024/4 >>

 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    

リンク・クリップ

FYRALIP ボンネットスポイラー 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/03/29 08:35:40
CUSCO テンションロッドバー 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2023/06/25 15:58:08
CAR MATE / カーメイト First Classes バンパーガード170 クロームシルバー 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2022/12/17 18:22:35

愛車一覧

トヨタ コロナ トヨタ コロナ
 自己所有の主力車種です。車いじりと「維持」を中心に使っています。昭和55年式の前期型で ...
マツダ グランドファミリア マツダ グランドファミリア
 1972年頃購入とのことです。ファミリアではなく、グランドファミリアです。同時期のサバ ...
日産 サニー 日産 サニー
 1981年春ごろ、当時同居していた叔父の所有するカローラのセールスマンのつてか何かで、 ...
日産 ブルーバード 日産 ブルーバード
 1982年秋、事故で廃車になったサニーの代わりに買った車です。910型、白の4ドアセダ ...

過去のブログ

2024年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2023年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2015年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2013年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2012年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2010年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2009年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2008年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2007年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2006年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2005年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2004年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2003年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2002年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2001年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2000年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation