この日は、アムラックスにて試乗を行いました。ウイッシュには特に興味はありませんが、売れている種類の車である以上、乗ってみる必要があります。
1.エンジン
3ZR-FAEエンジンは、すでに
ノアにて試乗済みです。ノアよりは車体が軽いウイッシュですので、ノアのときに感じた低速時のもたつきはあまり感じません。でも、余裕というほどの感じもしませんでしたね。それ以外の印象もほぼ変わりません。ZRエンジンの回転バランスのよさは特筆もので、ゆっくり走っても、エンジンを高回転まで回しても、不快な振動が全くありません。大変気持ちが良いエンジンです。
ただ、どういうわけか「低い変速比を選び、時速50km位でアクセルを一定にし、定速走行」をすると、エンジンとトランスミッションが前後にギクシャクするような、そしてタコメーターすら細かく上下する」という、今までに味わったことがない状態になります。この速度域はトルクコンバーターはロックアップされていますので、CVTベルトがたわんだり引っ張られたりしている以外に考えられません。まあ、このような使用状態になることはほとんどないでしょうし、ベルトがこのように動いても多分切れることはないでしょうが、不快な感じがしました。
2.トランスミッション
今までトヨタのCVTについて、「定速走行になると、勝手にどんどん高すぎる変速比にしてしまう」ことはなくなりました。ただ、だんだんと変速比を上げている様子が良くわかります。あたかもシフトアップしているような感じですね。この変速の仕方については、まだまだ日産のCVTには追いついていないといえます。
3.乗り心地
最近のトヨタ流の、縮み時にやや硬さを感じるものですが、カローラアクシオなどと比べると、少し柔らかくなっています。可もなく不可もない乗り心地といえます。ロールは少ないですので、山道を走っても不安感はないでしょうね。ただ、ロールの重心が高い車を、サスペンションを硬くしてロールを減らしている感じがしますので、なんだかちぐはぐな印象です。この車は、旧型イプサムとカルディナの役割を引き受けているため、「家族も走りも」と、やや役割上の「荷」が重い感じを受けます。
4.ボデー
車体の剛性はそれほど高くないようで、前輪が突起に乗り上げると、ややそちら側が「ブルッ」とします。とはいっても
イストほどはブルブルしませんでしたので、不安な感じはありません。
視界は、最近までトヨタが好きだったCピラーの「Jラインカット」をやめ、エスティマ調の窓の形であるため、良好です。かつてのブルーバードUは「穴蔵にこもったようだ」と評されましたが、たぶんワゴンスタイルの車のJラインは、それ以上の斜め広報の視界の悪さだと思います。そういう点からは、高く評価できますね。
5.運転した印象
パワーがそこそこなのに、なぜだか飛ばしても気持ちが良くないのは、CVTの性だと思いました。エンジンの性能を使い切る楽しみが全くありません。より小型で、パワーも控えめな
パッソセッテが、なかなかどうして、走る楽しみがあるのに対し、この車は、どうもその辺りの印象が違います。同じCVTでも、日産のそれは「走って違和感がない」ことに主眼を置いていますので、CVTらしくない走りが可能です。設計開発者は、運転する楽しみも重視しました」とは言っていますが、それはハンドルを操作して飛ばす設計の人のこと。エンジンの性能を使って楽しむタイプの人は、この車の開発チームの中にはいなかったようです。
5.まとめ
かつての初代イプサムの跡を継ぎ、箱型ミニバンはどうもトラックのようでイヤだ、という人には良い選択だと思います。バリューフォーマネーに優れています。パッソセッテが「7人座れる」のに対し、この車は「7人乗れる」といえます。でも、「7人で走れ」ないですから、買うことを検討している人はだまされないでくださいね。しかし、CVTは作り方次第で車の印象ががらりと変わります。トヨタのCVT車を検討している方は、一度日産の同種のCVT車に乗ってから、どちらを買うか決めたほうが良いと思います。
Posted at 2009/05/31 20:29:53 | |
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