春らしく桜の季節には必ず雨が多いきびだんご県ですが、天気が悪いと体調が良くありません。
そんな自宅警備員ですけど、この間から古いHF帯の無線機KENWOODのTS-680Vと格闘してます。
我家に来た時には既にファイナルユニットはお亡くなりに成っていて受信感度も今一つな感じで
ありました(=゚ω゚)ノこの時代の無線機はまだまだ実装小型パーツではないのですが、お約束の劣化
が出て来ていて、少しぐらいの点検補修では済まないモノが多いのが実情です。
そんな無線機のファイナル終段トランジスタは前段には2SC1971三菱のRFパワートランジスタが
使われていて、終段はパラレルで2SC2509東芝のRFトランジスタが使用されています。
Ic電流を調整すれば20Wくらいは余裕で出てしまう10W機なんですけれど、前のオーナーがしっかり
ジャンクにしちゃってます。そこでパワーユニット基板を確認して回路図もネットで検索して入手し、
部品交換することにしました。
画像の左側が足が短いモノが過去に付いていた正真正銘の本物です。画像右側は本物と
偽りながら某オークションで売られている謎のトランジスタに型番と三菱マーク及びロット番号を
書き換えたインチキ商品です。価格は1本340円。
見分け方は非常に簡単で、本物は黒いモールド部分が光沢のある漆黒のパッケージです。
三菱マークも大きくはっきりしています。型番記号も均等に横幅一杯に
表示されてすっきりと読めるし、製造ロットは製造年(西暦下2ケタ)と英文字1字で表現されて
います。インチキ商品は全体をヤスリで研磨したような全体にくすんだグレーっぽい黒色で、
モールド上部には成形時に型から押し出す為に付いてしまう突き出しピンの丸い凹みがあり、
型番や印字自体が薄くて小さいし、モノによって型番が右に寄ったり斜めに印字されています。
このRFトランジスタは2003年にDiscontinued品になってしまい、生産は打ち切りですから、
国内市場に残って流通している物は13年以上経過なので存在しないと思います。
おまけに終段のRFパワートランジスタ2SC2509もディスコン品で国内に多くの偽物が出回って
きちんとした部品小売店も廃業者や闇ルートで安く大量に購入する為に本物は見なく成りました。
そこで、代替品として使えるトランジスタ2SC1969を入手して交換し、偽物の2SC1971を組込んで
通電したところ、見事に保護用の3.9Ω1W抵抗から煙が出てパッツーーン!と音響と共に
砕け散り黒焦げです(≧∇≦)ノ彡
2SC1945でも使えるのですが、これも既にディスコン品な上に、放熱フィンがコレクタなので
取付けるのがやっかいだから保留です。
以前から日本には多くの偽物LSIとかICが入荷されていて社会問題になっていましたけど、
実際にコピー商品でこんなとばっちり被害に合うとは思いませんでした。
海外在庫品を購入しようにも、既にアメリカやEUまで偽物が廻っているので簡単に購入しては
絶対にいけません。
しかし、取付け前にHfeくらい測定してから使うべきだと言う反省点はありますし、トランジスタを
チェックする超高級測定器も持っているのですが、おっちゃんの手抜きが悲劇を増長です。
現在、信頼と過去取引のある半導体商社に本物の販売可能在庫を調査依頼3社にしています。
国内有名電子部品小売店が堂々とコピー偽物を流通させ、それを購入して使えないからと
嘘を確信してのネットオークション転売行為は許されるべきではありません。
HF帯以外にも50MHzがTS-680Vは使えるのですが、こちらもRFパワーモジュールが死亡です。
こちらの画像モジュールもディスコン品で多くの偽物が流通しています。
製造から6年を超えるとメーカーさんも補修部品をきっちりと処分してしまいますので、古い無線機
が安く手に入ったからと言ってもそのコンディション維持と補修にはとても難しい壁が存在します。
メーカー修理対応がなくても、ユーザーが修理できる技術があるのがアマチュア無線家ですが、
肝心の部品が偽物では話に成りません(´_`。)
半導体はシリコンウエハーを切り出して接合したり、パターンを描いたりしてパッケージ化して
生産されますが、必ずしも同一性能で安定しない特徴があります。一般にランク付けと呼ばれ、
オリジナル設定性能より落ちる物は廃棄処分、少し良いものはOランク、Yランクなどと型番に
追記されて販売されます。また、パッケージの形状も国際的な取決めで規格化されています。
偽物を作るにはオリジナル製作で不良品となった物を集めてサンドブラストで表面の型番や
メーカーマーク、正規のロット番号を消去します。本当は流通してはいけない物ですが、粗悪品
ながら近似値での能力が出る物も有れば全く製品として使えなくても幾つかの良品を混ぜて
売ったり、サンプルだけ本物を渡して大量取引には粗悪品を売りつけるシステムが出来て
いるので、闇ルート品の全世界的損失は既に先進国国家予算を遥かに上回る勢いです。
正規部品を購入するのに相当時間が掛かりそうですが、その分、修理出来た後の愛着はあるし
新規に無線機買うよりもエコロジーです(´0ノ`*)