事故発生時のリスクヘッジとしてドラレコを装着されている方は多いと思います。
…が実際に事故に遭ってドラレコが活躍する場面を体験された方は少ないのでは?(…活躍しない方が良いのですが)
私は幸運?にもドラレコのお世話になってしまった事があり…せっかくなので体験談を遺しておこうと思います。
■高速道路での接触事故
カマロに乗っていた時の事です。
首都高羽田付近を上っていたところ右側ランプから合流してきたSUVが…
この時点では特に違和感ある挙動ではありません。
こちらの走行車線と合流車線では流れに速度差があるので
そのまま進行し追い抜いていく筈ですが…
後ろからグランツーリスモでよく聞く嫌な音と衝撃が…
その先の停車可能な路肩まで移動し…
相手方は美人の尾根遺産で凄く恐縮されています。
「こういう事って初めてなので…どうしていいかわからなくて…」
という発言にこちらもドキドキしつつ…なるべく笑顔で、
「お怪我はありませんか?取りあえず警察を呼んでお互い保険会社に連絡しましょう。」と返します。
ぶつけた車が黒いカマロでジャージの若造がグラサンかけて笑顔で降りてきたら、女性からみると怖かったかも知れませんね…なんかすみません…。
まぁ凄く恐縮されてましたしドラレコ映像もあるので事故処理はスムーズに進むだろうと思い、大切な愛車が傷付いた事はショックではあるものの特に感情的にはならずにその場は解散しました。
■事故の概要
高速道合流地点付近の第1車線と第2車線を跨ぐ車両同士の接触事故で私の車は右側のリアフェンダーと右後輪、相手方の車は左側のフロントフェンダーを損傷しました。
不幸中の幸いで両者に怪我はなく物損事故になります。
※この画像はドラレコ映像を元に保険会社に状況を説明する為に作ったものです。
相手方はランプからの合流時に出していた方向指示器を切った状態で、並走中に進路変更を行っている事と…
事故発生地点は進路変更禁止区間になっている…という事も一連のドラレコ映像に記録されていました。
修理総額はカマロ約110万、相手方のSUV約30万、合計約140万の事故になってしまいました。
※以下、長文なのでご興味があれば…
■相手方保険会社の初動対応
私の加入している保険は損保ジ○○○(以下J社)、相手方は外資系通販型のア○○(以下A社)でした。このA社の対応の印象があまり宜しくなくて…
最初の連絡一番に
「お怪我は無いとの事で物損事故になり慰謝料を請求する事はできません。両者走行中の事故なのでLapianさんにも過失が発生します。」
…等、まだ何も聞く前から念押しばかりしてくるので…謝意が全く感じられません。
かなり不機嫌になりつつも
「取りあえずドラレコ映像をお送りするので、詳細ご確認頂いてからこちらのJ社とすり合わせて下さい。」
と言ってJ社経由でA社にも映像データを共有してもらい交渉を進めて貰ったところ…
J社から連絡があり、
「これは0:100ですね。理由はLapianさんに過失が無いからです。しかしA社は2:8だと言ってきています。」
…といきなり折り合ってない!
しかも保険会社同士で示談交渉を進める場合は両者過失がある時だけなので、0:100を前提に示談交渉する場合は私自身で交渉する必要があるとの事…(弁護士特約付けてなかった!)
なのでJ社の担当さんからは最大限サポートとアドバイスするので自分で示談交渉して下さいと言われました。
ま…まぁ面白そうではあるし…了解した!
■相手方保険会社との示談交渉
この際なので良い経験にもなると思い、ゲーム感覚で示談交渉を楽しんでみます。
さてA社との電話…
私「お送りした映像をご確認頂いた上で2:8とお伺いしたのですが、まずは根拠をご説明下さい。」
A社「今回の事故は高速道車線変更時の事故ですので、判例に沿って2:8が妥当と判断しております。」
この判例とは過去発生した事故の判例を元に過失割合の基準値を設定しているもので判例タイムズという冊子にまとめられています。
保険会社との示談交渉は基本的にこちらの判例に沿って進められていきます。
判例によるとたしかに高速道進路変更時の事故は直進車2:進路変更車8とされているようです。
判例タイムズには加害者に明らかな違反・過失がある場合にその分を加算し過失割合を修正するとも記載されています。
私「前回お渡しした映像はご確認頂けましたか?」
A社「はい」
私「それでは事故発生地点が進路変更禁止区間である事と方向指示器を出さずに車線変更を行われているのは認識されてますか?」
A社「…」
私「こちら2点の過失はそれぞれ10%の増分が妥当と書いてあるので、2:8に加算して0:100になりそうですが?」
A社「…確認して折り返します。」
その後…
A社「確かに2点の過失を確認しました。ですが高速道合流中の事故だったようですね。」
私(さては動画見てなかったな…)
A社「判例に沿うと高速道合流中の接触事故は3:7とありますので、相殺して1:9が妥当かと思われます。」
たしかに高速道合流時の事故は直進車3:合流車7とされているようですが…
私「今回の事故は左車線を走行中の私に対して右車線に合流した相手方が2重車線変更して接触されているので合流事故ではなく進路変更事故になりますね。」
私「ちなみに今、過失割合のお話しをしていると思うのですが、私の過失は何だとお考えですか?」
A社「高速道合流事故の判例では直進車両側にも前方注意義務があり、今回Lapianさんには前方不注意の過失が発生します。」
私「私の車は後方右側面、相手方の車は前方左側面を損傷しているので、後側方から接触されているのは明らかです。」
私「前方に対する注意では回避は困難かと思いますが?」
A社「とにかく両車走行中の事故なので、片方にしか過失が無いという事はありません。」
私「両車が走行していたかどうかではなく、過失割合の話をしているつもりなのですが…どうしても私側にも過失があるとのご主張ですね?」
A社「はい」
私「わかりました。それではJ社側と相談をして対応を決めさせて頂きます。」
…っとこんな感じのやり取り。
■損保ジ○○○からのアドバイス
一部始終をJ社の担当さんに報告したところ…
J社「A社の担当は新人ですね。交渉の仕方が根本的に間違っています。」
J社「被害者に対する示談交渉の鉄則ですが、私だったらいきなり結論からは入りません。」
J社「まず判断材料を全てテーブルに並べてから、組み上げていって過失割合を提示します。」
J社「結論ありきで前提条件を途中で変えたり足したりすると絶対まとまりませんし、被害者も不快に思われます。」
なるほど!プレゼンではまずは結論から…というセオリーはこういうケースでは逆効果だと確かに実感しました。
今度、取引先に負荷のかかる条件を呑んで頂かないといけないケースがあったら参考にしてみよう…。
J社「あとLapianさんからの質問に対して即答していないのは上席の許可が必要で判断する権限を持っていないからですね。」
J社「おそらく判例通りの過失割合に着地させる様に目標設定をされている為、この担当さんと話しても平行線になりますね。」
私「成程…なんとなく先方の社内の様子が目に浮かびますね。」
私「それでは担当さんがA社側の担当だったとして今一番私にして欲しくない事を教えて頂けませんか?」
J社「…それは紛争処理センターに持ち込む事ですね。」
紛争処理センターとは…
かいつまんで説明すると多発する交通事故を全部裁判したらたまったもんじゃないので、顧問弁護士による相談と和解斡旋を無料で行う…という素晴らしい志の機関です。
紛争処理センターが提示する和解斡旋に法的な強制力はありませんが、第三者機関からの客観的な和解斡旋を無視するのは保険会社にとってかなりのリスクを伴うので大体従うそうです。
J社「保障はできませんが今回の状況は客観的な映像記録もありますので、おそらく0:100で斡旋が出ると思います。」
J社「センターの和解斡旋が0:100で出れば、A社の担当も上席への言い訳ができるので話が早く進むと思います。」
J社「あ…あとお車まだ新しいので事故歴が付く事による査定評価損も主張できますね。」
…ふむふむ、勉強になるぜ!
ちなみに裁判に持ち込めばまず間違いなく勝てますが、半年ぐらいかかってしまうのと物損事故では慰謝料が取れないので費用対効果が悪いとの事。
■紛争処理センターの和解斡旋
そして紛争処理センターへJ社の担当さんとお伺いし…顧問弁護士さんと面談。
この担当さん昔HONDAのディーラーで働いていたらしくかなりの車好き。
待ち時間中にシビックTypeRについて熱く語ってました。
その後…しばらくしてこんな和解斡旋の書面が送付されてきました。
ほぼこちらの主張どおりの内容の和解斡旋になっています。
さて同じ内容の書面がA社にも届いている筈なので…
…あっさりA社側も0:100を認め、修理費用と査定評価損分の金額が振り込まれました。
J社の担当さんからは「解決おめでとうございます。ご対応頂いてありがとうございました。」との挨拶が、反面A社からは振り込み完了を知らせるハガキが一枚だけ届きました…。
ちなみに事故発生から振込完了まで約3ヶ月かかってます。
その間、修理費用はこちらで立て替えましたが、全く予定のない出費が100万以上出たので、これもし20代の頃の収入だったら結構キツかったんじゃないか?と思いました。
※長文恐れ入ります…なるべく細かく書いた方が似た事例の参考になるかと思いましたので、記憶を頼りに書き出してみました。
■まとめ
今回の事故で感じたのは2点。
「ドラレコつけておいて良かったぁ…」
ウィンカーは出してたとか車線変更禁止区間は通過してたとか…悪気は無くても人の記憶は変化してしまうので、もしつけて無かったら2:8ぐらいにされてたでしょう。総額140万の事故なので、ぶつけられた上に28万の出費…イタいですね。
「保険会社によって対応全然違うなぁ…」
企業として利益を追求するには支払金額を最小化する努力は理解できますが…それがA社はダイレクト過ぎるんですよね。
被害者側の納得度を高めて事故解決をスムーズに進めるのは加害者側にとっても凄く価値のあるサービスクオリティだと思うのですが…
TVCMだと保険料の安さと契約者本人に対する補償説明ばかりですが、相手方への対応の手厚さをアピールすると新しいイメージ作りができそう。
そして…もし自分が加害者になってしまった時の事を考えると今後、私がA社と保険契約を結ぶ事は無いでしょう。
(あくまでも自身の体験に基づく個人の先入観ですが…)
でも全体的に振り返ると…授業料0円で凄く良い経験させて貰ってラッキーでした!
■コルベットにもドラレコ装着
…と言う長い長い前振りからのコルベットにもドラレコを装着!
機材はユピテルのA800DRです。
ワリと新しい製品でドラレコとGPSレーダーがセパレートで一体化された機材です。
GPSレーダー、ドラレコ共に通常は液晶モニター、GPSユニットが個別に必要なところを一体化させる事で、それぞれ1個ずつにまとめてスッキリさせます。…と言う事はコストも下がってお買い得か?と思いきやそこはGPSレーダーとドラレコを足したぐらいの値段になってます。そのうち安くなると思いますが…
(いっその事GPSレーダー内蔵のナビとか作ってくれれば良いのに…)
こんな感じで取付けました。
ボイスが日本語数種と英語が選べるので英語を選択。
ナビとGPSレーダーのボイスが混ざって聞き取り難くなる事が多かったので、ナビ=日本語、レーダー=英語にすると聴き分け易く、グローバル感?も出て良い感じに。