フェラーリF355試乗記

ジャン・ジュベール　曰く

「欠点の中には美点に結びついて美点を目立たせ、矯正しないほうがいいというような欠点もあるものである。」




日曜日の午後、いとこのフェラーリF355スパイダーを運転しました。

生まれて初めて運転するフェラーリですから、「当てたらどうしよう」と乗る前は結構緊張（笑）そんなフェラーリの試乗記です。


ドアを開け、乗り込もうとすると、幅の広いサイドシルがあってシートが遠いことに気付きます。カプチーノも軽自動車の割には広いサイドシルを持っていますが、やはり桁が違います。

目測で25cmくらいあるサイドシルを乗り越えて、シートに座るのですが、この時、ドアは出来るだけフルオープン状態でないと、左足がサイドシルを乗り越えるときにドアが邪魔になります。
日本のように狭い場所に駐車して、隣の車に気を使いつつ、ドアを半開きで車に乗るなんてことは全く想定外なんでしょう。
もっともボディ剛性を優先しているので、そんな想定があってもこのサイドシルは変わることはないんでしょうが。


さて、運転席に乗り込み、ひと通りスイッチ類を確認。
よく判らないスイッチはありますが、概ねスイッチに付いている図柄で想像がつきます。

シートポジションを確認して、イグニッション・キーをオンの位置に。ひと通りのインジケーターランプが点灯してから、一呼吸置いてセルを回します。
V8-3.5リットルのエンジンは、セル一発で目覚め、近所迷惑なアイドリングを始めます。


カプチーノの強化クラッチよりも少し重いクラッチを踏み、ギアをバックに入れてガレージからバックで前の道に出します。
ここで、サイドブレーキを解除するのですが、サイドブレーキのレバーは運転席の左側。サイドシルとの間にあります。
このため、サイドブレーキを引いた状態での乗り降りの邪魔になりますから、フェラーリのサイドブレーキは、ブレーキが効いた状態のままリリースした時の位置に戻ります。
つまり、目視ではサイドブレーキが解除されているのかどうかは判らず、メーター内のインジケーターランプで確認します。
リリースボタンを押したままもう一度サイドブレーキを引き上げると、カチッと音がして、そのままサイドブレーキ戻すと解除されます。


アイドリング状態でゆっくりクラッチを繋ぐと、ビッグトルク、軽量ボディのフェラーリはスルスルとバックを始めます。
後方視界は決して褒められたものじゃありませんが、それでも最初の先入観とは違い、それなりに確保されています。幌を上げてオープンカーの状態にすれば良かったなとは思いましたが（笑）


さて、フェラーリは外から見るとかなりのワイドボディに見えますが、F355の場合全幅1900mmです。セルシオが1820mmですから、セルシオに40mmのバーフェン着けたと思えば、問題ありません（笑）
とはいっても、やはり狭い道は嫌なので、目的地のエクシブ鳴門までは遠回りですが、県道と国道を使って走りました。

１速でスタートして軽くスロットルを入れると、伊藤レーシングのマフラーのせいなのか、２千回転まではこもるような感じ。
その後は軽くエンジンは回転を上げ、トルクの大きさも相まって、３千回転を超えると、「おお～っ！フェラーリだぁ～！」って音が背後で大きくなり、グングン加速していきます。
レッドゾーンは8500回転からですが、他人の車でいきなりそんな領域まで引っ張るのはどうかと思い、堪能したのは6000回転まで。それでもこれがフェラーリなんだと実感しました。

無事エクシブ鳴門までの30分足らずのドライブを楽しませてもらいましたが、大変乗りやすく、ヴィッツのＭＴに乗れる人なら誰でも運転できると思います。

エンジンから発せられるフェラーリサウンドは官能的ではありますが、誰でも統制下に置けるかのような加速に暴力的な部分は見られず、パワステによるアシストのお陰で、コーナーリングも楽々。

そういった意味では、偏った車が好きな私としてはちょっと物足りなく感じます。



ええ、やっぱりウチの１号機は最高ですな。