<このブログは走る保険屋「サトスケ」と走る軽貨物車「カピたん(プレオバン)」そしてサトスケ20年振りのバイク「ヒバたん(CBR1000RR)」を取り巻く日常の物語である。物語はフィクションであり登場する人物や団体は実在する物とは関係ありません>
とある平日の午後。
その日の仕事が早めに終わったサトスケは「カピたん(プレオバン)」とバイク屋「ホンダショップナガノ」を訪れていた。
サトスケのバイク「ヒバたん(CBR)」に会うためである。
実はヒバたんは納車されてこの方、諸所の事情から乗る時以外はホンダショップに預かって貰っている。
そんな訳でサトスケは時間が空いた時にはヒバたんの顔を見にホンダショップに度々立ち寄るのだ。
サトスケ「よおヒバたん調子はどうだい?」
ヒバたん「しばらく走りに行ってないから退屈なんだナ」
サトスケ「悪いナ。仕事が忙しくてサ」
ヒバたん「大体オトコはその言い訳するんだナ。ね?カピたん」
カピたん「いやいや。ホント忙しくて自分もクタクタっすヨ」
ヒバたん「アラそうなの?サトスケにコキ使われて大変ネ」
カピたん「そうッスね。ヒト使い、もといクルマ使い荒いッスからね」
サトスケ「ほほー。言うじゃねーか。もっとレッドまでバンバン回してやろうか?」
カピたん「しまったッス」
新たにヒバたんが仲間に加わり早4カ月。すっかり打ち解けた一人と二台。
こんなひと時も今のサトスケを取り巻く日常である。
サトスケ「それにしても・・・やっぱ走りに行かないとピカピカだよナ」
ヒバたん「知らないの?バイクは放っとくと錆びちゃうんだナ」
サトスケ「まだ大丈夫。本当にピッカピカ!ヒバたんキレイだ!」
ヒバたん「そんな風に褒めたって誤魔化されないんだからネ」
カピたん「ホント綺麗っす!」
何気に割り込んだカピたんの「綺麗」と云う言葉にサトスケは何か特別な意味が込められていると思った。
最近、カピたんがヒバたんに対して何か特別な感情を抱いている事をサトスケは薄々感づいていた。
サトスケ「だろ?カピたんもそう思うよナ・・・けどお前の「きれい」は「クリーン」て意味じゃなくて「ビューティフル」とか「キュート」って意味に聞こえるんだけどナ?」
サトスケが茶化してみた。
カピたん「そそそそそんな事ないッス!」
カピたんが明らかに狼狽えているのが傍から見ても分かる。
ヒバたん「ウフフ。ありがとカピたん。どっちでも嬉しいんだナ。・・・サトスケに言われるのと違って」
サトスケ「何かオレ複雑な気持ちだけど・・・良かったなカピたん」
カピたんは嬉しくも恥ずかしい気持ちで一杯になり、しどろもどろになりながら話題を変えた。
カピたん「そそそうだ!前から聞こうと思ってたんスけど!」
サトスケ「何だ?」
カピたん「そのヒバたんの綺麗なカラーリング。ロスマンズカラーっすよね?」
サトスケ「そうだよ」
カピたん「それなんスけど・・・『ロスマンズ』って何スか?」
カピたん「だからその『ロスマンズ』ってのは何のカラーなんスか?」
サトスケ「オマエ・・・まさか『ロスマンズ』を知らないの!?」
カピたん「知らないッス」
サトスケ「何だと~!?オマエそれでよくオレの相棒を名乗っているなッ!」
カピたん「そ、そんな事言われてもッス」
サトスケ「おいヒバたん!ロスマンズの事を教えてやれ!」
ヒバたん「アタシも知らないんだナ。キャハ!」
サトスケはズッコケた。
サトスケ「マジで!?」
ヒバたん「うん」
サトスケは頭を抱えた。
サトスケ「ヒバたんは自分のカラーリングの事なのに知らないの?」
ヒバたん「だって・・・知らないとダメなの?・・・じゃあサトスケは自分の着てる服についてちゃんと知ってるの?」
サトスケ「うぐ・・・た、確かに知らないかも」
ヒバたん「でしょ?じゃあ教えてよ」
サトスケ「くっ。妙な正論を・・・」
サトスケをいとも容易く手玉に取るヒバたんをカピたんは尊敬の眼差しで見る。
サトスケ「あのな、ロスマンズって云うのはだな・・・(次回に続く)」