a-waterのブログ一覧

凡豆の珈琲を飲める喫茶店を尋ねた時に教えて貰った「みりあむ」は、カレーやガトーショコラも美味いと聞いたので、今晩行ってみました。奈良の夜は早く、酒を出さない店は6時に閉めてしまいますが、此処は夜8時までやってくれています。

昔ながらの喫茶店には、日本の歴史全集やら雑誌の別冊太陽がずらりと並び、店長がインテリであることを匂わせます。カレーはかなり本格的なインドカレーだし、カミさんが頼んだチキンシチューも個性的ながら美味い。この75歳の店長も只者じゃありません。

自家焙煎珈琲を色々飲んでみていると話すと、自分も奈良で仕事を始める時に奈良中の珈琲を飲んでみて凡豆の珈琲豆を使うようになった、あの人は頑固だけど面白い人だねと。店長は生まれも育ちも東京で、30年前に芝居を辞めて移住して来た人でした。

そして、珈琲以上にガトーショコラの美味さに唸りました。生チョコレートになりかかったようなしっとりした歯触りと、くどく無い甘さに口の中がとろけてきます。

聞くと、ガトーショコラはフランス人の奥様が幼い頃から食べていたものを思い出して作っているそうで、作り方に秘密があるのかしら。ガトーショコラは好きでよく食べる方ですが、これほど美味いと思ったことはないかも？

奈良だけじゃないでしょうが、旅先では観光地として接するのではなく、そこで生活する気になって情報や人と出会うようにすると、見えてくるものがあるのかもしれません。凡豆の珈琲、ふく徳のうどん、みりあむのカレーとガトーショコラ。いずれも特別な食べ物じゃないけれど、だからこそ作る人の良心や哲学が表れるようで、そういうものを普段に食べていたい、そしてそれらを作る人と気軽に世間話をしてみたい、そんな気にさせられたのでした。

興福寺そばの猿沢池あたりを散策中に、奈良うどんという看板を目にして入ってみました。

一押しのきざみ昆布うどんを注文。茹でるのに15分くらいかかりましたが、出てきたのが写真のうどん。

奈良うどんというのは、別名かきまぜうどんだそうで、底に沈んだ鰹節をよくかきまぜて食べる習わし。ほとんど絶滅していた奈良うどんを、この店が復活させたとのこと。

麺は讃岐ほど硬くなく大阪ほど柔らかくない中庸ですが、絶妙な歯応えとも言えます。茹でるのは蕎麦よりも難しいと聞いたことがありますが、なるほど納得です。細かく刻まれたとろろ昆布と油揚げが鰹出汁によく合い、ホッとする味でした。

上福岡、熊谷、奈良と、それぞれ異なりますが、いずれも美味いうどんに巡り会い、もしかしたら蕎麦よりも奥が深い食べ物かも？と思えて来ました。

うどんサイクリング、実現したいですねぇ。