旅の空の時は速く流れる。13日の深夜0時30分の羽田発でロサンゼルス、メンフィスに延べ11時間21分のレイオーバーを積み重ねながら37時間余のフライトでデトロイトに着いた。移動時間は長かったけれど、時計の針はたったの13時間しか進んでいない。現地時間は13日13時30分。メンフィスからのデルタ便は運良くファーストアップグレードを獲得。順調かつ快適な空の旅だった。
先入りの編集Kの出迎えを受けながらQWIK PARKのシャトルで日産から借用の2013アルティマ2.5SLをピックアップ。まずはCOBOセンターに向いプレスパスを受け取る。今年から新たに階下のミシガンホールに移ったメディアセンターを確認して、3泊予定のディアボーンのHOLIDAY INN EXPRESS ALLEN PARKにチェックイン。表通りから見るとちっぽけだが、2階建ての建物は奥行きが深く、内装もなかなかの雰囲気。
着替えて再びデトロイトダウンタウン。遅い昼食を取り、隣のウェスティンで恒例のメルセデスベンツのレセプションに望む。今回の出し物はベイビーメルセデスCLAクラス。1983年の190E(W201)以来となるコンパクトメルセデスの4ドアセダンであり、2ボックスハッチA/Bクラスの派生型あり、史上初のFF4ドアセダンの登場だった。
1986年に当時国内導入されて間もない190Eを将来に向けた"教材"として購入。本ブログのサブタイトルにもなっている『FR絶対主義』の中核をなす存在とした僕としては、ついにやっちゃったのFF化であり、諸々事情は理解できるけれど禁断の果実を口にした危うさに心揺れるものがあった。
明けて14日、NAIAS(北米国際自動車ショー)プレスデイ初日は6時メディアルーム、6時30分ショーフロアオープン。パーキングスペースの確保に冷や汗をかいたが、予定通り会場が開く前に取材デスクを確保できた。皮切りのプレスカンファレンスは8時スタートのJEEPから。
北米COTYはキャディラックATS、TOTY(トラック)はダッジラムを確認してショーフロア。シボレー、リンカーン、インフィニティと追い、MB、VW、BMW、AUDIのジャーマンプレミアムにベントレー、ミニはパスしてホンダ、トヨタと来て、ここで時間切れ。15時にホンダの伊東孝紳社長のインタビューが組まれていて、これ追うことが事前に確認されていた。
何と毎月20日発売のdriverの編集陣は2013NAIASの速報を突っ込む決断をし、実行に移した。現場で対応するこっちも厳しいが、待つ身の切なさも目に浮かぶ。結局伊東社長インタビューは単独ではなくグループのミニ記者会見ということになり、誌面展開は苦しくなった。
急遽5ページの構成を現場対応で変更することになったが、時差ぼけの頭に実のある内容を課すプレッシャーがかかり、あわやの空回り。誰もいなくなったメディアルームで脱け殻のようになって送信ボタンを押したのは21時過ぎ。宿に戻って最後の編集作業が残ったが、そのまま晩飯を口にすることなく気絶するように眠りについた。
当然時差ぼけであり、明け方前に目が醒める。こうなったらもう起きっぱなしで行く他ない。ちょっと余裕をかましてCOBOセンターに向かうと、昨日のCOBOパーキングは入庫お断り? しばし彷徨って民間パーキングになんとか潜り込んだ。昔は黙ってCOBOの屋上駐車場(有料だけど)に入れてもらえたのにね。
プレスデイ2日目のプレカンは日産。8時は危ないかも…覚悟したが、まずまずの海軍5分前。結果オーライで、続くジョールイスアリーナのフォード、リバービューボールルームのレクサス、アキュラと注目ブースは隈なく押さえることができた。LEXUS、ACURAのジャパンプレミアムの間に組まれたキャディラックをパスせざるを得なかったのは残念だが、打率は十分満足すべきレートに収まったといえるだろう。
昨日書いた記事の冒頭にも記したが、デトロイトNAIASは往時の勢いを取り戻しつつある。今世紀初頭のビッグスリーはゴーン日産、フィールズマツダの外国人トップを招いた日本メーカーの攻勢を胸で受ける横綱相撲で見る者を楽しませた。
振り返ればITバブルであり、後の金融バブルとその崩壊の結果となるリーマンショックによるデトロイトの挫折とともに世界の自動車が揺らいだが、華やぎの回復ぶりは目覚ましい。ことによるとこれもバブル? 危なっかしさは残るが、ここは前向きに捉えるほかはないだろう。
日系だけでもACURA NSX/MDX、LEXUS IS、INFINITI Q50、カローラ フーリアコンセプト、ホンダ アーバンSUVコンセプト、日産レゾナンス……と質の高い次期モデルのワールドプレミアが相次いだ。
いっぽう地元フォードはドル箱のライトトラック、コマーシャルバンなどの商用車で現実をアピール。次期F-150と目されるアトラスコンセプトのワールドプレミアで見せた往時のショーパフォーマンスを思い出させる演出に、アメリカの強かさ感じた。
ドイツは? メルセデスベンツは前夜祭のレセプションで見せたCLAは展示せず、Eクラスのフェイスリフトが目玉。VWは3列シートのSUVコンセプト、BMWが3のクーペを4シリーズの呼称に分けて発表したくらい? 見せ場は3月のジュネーブという雰囲気を漂わせていた。
夜はデトロイト通い初めてのスーパーマーケット買い出しに始まり、キャントンに評判のらーめんがあるとの情報を元にアルティマで遠征。初日の緊迫感の反動でゆるゆるになったという説もあるが、今回のNAIAS出展車のレベルはいつになく高い。とくにセダンの日米独韓の充実ぶり、ライトSUVの競合などは日本の状況とは無関係に世界は動いていることを実感できてよかったと思う。このあたりはdriver次号やブログ、メルマガ、FB等々で綴って行こうと思っている。
で、滞在実質3日目の今日16日は、アルティマの試乗をかねて宿から近いヘンリー・フォードミュージアムを起点に博物館を巡ってみよう、と。フォードミュージアムは初見参の編集Kのお勉強のお供という感じ?
さらに過去2度訪れているウォルター.P.クライスラーミュージアムも目指したが、がらんとした建屋周辺に???の態でアプローチすると閉館中の張り紙が。まあよくある話だが、再開には1年ほど掛かる見込みであるらしい。
文字通りドリフト状態で3日はあっという間に過ぎた。COBOホールに活気が戻ってきたと感じられたことが今年一番の感想だろうか。次世代エネルギー車群は一旦また水面下に潜った感じ? そのいっぽうで北米(や中国)では当たり前のオーソドックスなセダンが、現在の日本では考えられない量と質で鎬を削り合っている。いろいろあるけれど、世界のクルマのトレンドセッターは今も昔もアメリカだ。
レクサス、インフィニティ、アキュラのジャパンプレミアムに良質の量産モデル群。一人相撲は意味がないが、ジャーマンプレミアムとの互角の闘いを挑めるところに日本車は到達している。
今年は本ブログのメインテーマ『からだとクルマ』の意味を具体的に語れる題材が数多く市場導入されそう。楽しみです。14年連続でNAIAS通いが続けられた。なんとかなる…のかな。
Posted at 2013/01/17 16:27:01 | |
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