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2016年12月27日

サーキットシミュレーション その12

サーキットシミュレーションでは「あらかじめ設定された条件の中で、計算上最速となるような参考タイムを求める」ことが出来ます。

そのためには、あらかじめ最大加速Gや最大減速G、最大横G、車の重さやエンジン出力のデータ、ギア比のデータ、走行抵抗などなどの情報を設定しておく必要があります。
このうちエンジン出力やギア比については車の諸元表などから参考値を知ることができますが、走行抵抗などのように具体的な数字を知るのが難しいものについては、実際の車速グラフを見ながら実態と合うように逆算した数値を入力することで代用します。
その他、各パラメータが実態と合わない場合は、それに見合う係数をかけることで実態に合わせます。

(例えば計算上は300馬力になるはずの車が実際に走るとストレートがやたらと遅いような場合であって、かつ重量や空気抵抗その他の設定値に問題が見られない場合、例えば計算値の6割くらいの速度しか出ていないようであればエンジン出力に0.6をかけるなどして最終的な数字が実態と合うようにする、という意味です。もちろんエンジン出力よりも走行抵抗の問題と思われるような場合であれば、あらかじめ設定した走行抵抗値を増やすなどして、最終的な値が実態と合うようにします。そこが合ってないと始まらないので)







参考その1。







参考その2。
こちらは加速性能に関するものです。




最大加速G、最大減速G、最大横Gについては使用するタイヤによって大きく影響を受けますが、やはり計算するのは難しいので、GPSロガーの実測値を使います。
その際、無料解析ソフトLAP+などは実際よりも横Gが非常に大きく表示される傾向があるため、各コーナの最低速度地点における旋回半径と速度を拾って手計算で確認することをおすすめします。

このようにして各設定値の入力が済めば、あとは今まで説明してきたやり方でコース1周の所要時間をパソコンに計算させるだけ……と言いたいところですが、残念ながら最後に一番大事な作業が残っています。
それは「走行ラインの設定」です。
走行ラインを設定するためには、あらかじめ決めた区間毎(例えば1m毎とか5m毎とか)に走行ラインの曲率半径(旋回半径)を入力します。
基本的には実測のラインに合うように設定します。







(↑このように旋回半径を入力後、グラフ化すると↓このような走行ラインとなる)








実務上はこれが一番大変です。
例えばタカスサーキットであれば全長が1.5kmほどのコースなので、5m毎の入力だとしても曲率半径を300回も入力しなければなりません。
「この地点は半径50m、この地点では半径47m、この地点では半径45m…」というふうに、ひとつずつ入力していくわけです。
曲率半径の入力が適当だとシミュレーションの走行ラインが大きくズレてしまって使い物にならないので(そもそもコースの中に収まらなかったりする)、思うような走行ラインにしようと思うとかなりシビアな設定が必要になります。

まぁ、でも、それをやりさえすれば必要なものが得られるので簡単です。
成し遂げたければ、やればいいだけです、何事も(笑)

そのようにして走行ラインが決定されると、ようやく計算に必要なすべての項目が揃うので、あとは本当にパソコンに計算させるだけでタイムが算出できます。
お疲れ様でした。
……………。
で、理論上はそれで終わりなのですが、実務上はまだ終わりではありません。

というのは大抵の場合、そこで設定された走行ラインには「まだ詰める余地」があるからです。
表示されたラインと曲率半径とを見比べていると、この部分はまだまだ甘いな、もっとこうすれば最終的なタイムがもっと上がるはずだ、という部分がたくさん目につくはずです。
具体的には「曲率半径の変化がスムーズかどうか」ということか、パソコンで算出されるタイムに大きく影響を与えます。

例えばあるコーナにおいて、曲率半径の設定が「50m,41m,33m,26m,20m,15m…」という変化の場合であれば、前から順に9m,8m,7m,6m,5m…といったような差で変化していることになりますが、これが例えば「50m,50m,50m,20m,20m,15m…」という曲率半径の設定だったとすると、それぞれの差は「0m,0m,0m,30m,0m,5m…」となって、いびつな変化をすることになるわけです。
ただしコース上に描かれる走行ラインを見ると、「50m,41m,33m,26m,20m,15m…」と「50m,50m,50m,20m,20m,15m…」とを比較した場合、うまく辻褄が合ってしまって、どちらもあまり変わらない走行ラインであるように見えてしまうことがあります。
ところがそれぞれのタイムを計算してみると、見た目には同じようなラインであるのに、タイムは前者のほうがずいぶん速かったりするわけです。

(もっと言うと、曲率半径の差が9m,8m,7m,6m,5m…というのは半径の差が1mずつ減っていく線形の変化ですが、本来はコーナの事情に合わせた非線形であるべきなんだろうと思います。それがたまたま線形となることもあるかもしれませんが)

こればかりは実際に自分でやってみないと分からない感覚だと思うのですが、何回も何回も曲率半径を入力していくうち、「ひとつ前の地点との曲率半径の差」というものが「ハンドルの切り具合」に脳内で変換されていきます。
急ハンドルを切ったり、いびつなハンドルの回し方をしたり、スムーズでない運転をするとタイムが落ちる。
急激な曲率半径の差だったり、いびつな変化の仕方だったり、スムーズでない曲率半径の変化を入力してしまうとシミュレーション結果のタイムが落ちる。
「こんなちょっとくらいタイムには大して影響ないだろ」と思うようなものが、実際にはこんなにもタイムが落ちてしまうのか、ということを目の当たりにして認識を改めざるを得なくなる。

走行ラインってすごく重要なんです。

サーキットシミュレーションは、ひとたびクルマの設定値を入力してしまえば、走行ライン以外はパソコンによる自動計算です。
つまり「この走行ラインを走る限りにおいて、計算上の最速タイムは○○秒」というのを算出するものです。
でも走行ラインは自分で手入力します。
考えられる全ての走行ラインをスーパーコンピュータにシミュレーションさせて全てのタイムの中から最も短いものを選ぶという場合は自動計算できるかもしれませんが、膨大になりすぎて個人のレベルを超えてしまうので、現実的には手入力です。

まず、自分が実際に走った走行ラインで計算してみます。
それから「もっとこういう走行ラインにしたほうが良かったんじゃないか?」と思うような走行ラインに変更してみて、計算上のタイムがどのように変わるかを確認します。
走行ラインを変更することで、速くなったかもしれないし、遅くなったかもしれません。
あんまり変わらないかもしれません。
でも意外と変化のあるものなので、走行ラインの変化が具体的にどのようにタイムに影響するかということを考えながら作業していきましょう。

ちなみに路面のグリップがコーナのイン側とアウト側で大きく違うような場合、シミュレーションではこういう走行ラインのほうが速いのに、実際に走るとこっちの走行ラインのほうが速い、といったケースが考えられます。
そういった個別の事情にも配慮しながら、しかし個別の事情に捕われ過ぎることもなく、出来るだけ実態と合うように試行錯誤することで、「決められたコースを最速で走るということはどういうことなのか」ということへの理解が少しずつ進んでいきます。
まぁでもタカスサーキットとかだとそういうコーナはありませんし、大抵はレコードラインにラバーが乗ってるはずので、雨でも降ってない限りタイムの逆転現象は起きないと思います。
個別の事情に捕われすぎてしまうと現実が見えなくなってしまうので、多少は考慮に含めたとしても、出来るだけ過不足ないような理解を心掛けたいですね。

というわけで記事が長くなってしまい申し訳ありませんが、走行ラインは大事ですねってお話でした。
今回のエクセル版サーキットシミュレーションの考案者であるタツゥさんのこちらの記事も参考にしてください。

次回で最後になります。
ブログ一覧 | サーキットシミュレーション | 日記
Posted at 2016/12/27 20:42:19

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この記事へのコメント

2016年12月27日 23:33
がんばってますな( ^ω^ )
ケガしたらあかんで〜
コメントへの返答
2016年12月31日 1:34
ありがとうございます(^-^)
気をつけます~(笑)

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福井のロードスター乗りです。 ロードスターは現在休眠中。 タカスサーキットをホームコースとしてサーキットアタックしていました。 GPSロガーの結果を元...
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