全三回に渡ってお届けしてきた、元愛車「MR2」との思い出記事は、今回が最終回となります。
20代後半の頃、私は大阪で独り暮らしをしていたのですが、当時は駐車場の確保が難しい環境だったため(MR2は奈良の実家で保管し)始動回数は月一程度まで下がってしまいました。
それでも、たまには仲間と共にジムカーナに参加するなど、MR2の大きな魅力でもある「コントロールする楽しみ」を引き続き味わう日々を続けていました。
このように、モータースポーツで多少荒っぽく使っても、目立ったトラブルが起こることはなかったのですが、この車両最大の危機は、日常の中に潜んでいました。
以下の動画は、ともに過ごした20年の中で、唯一廃車の危機を間近に感じた瞬間です。
↓↓↓
ドライブレコーダーの映像はかなり広角に映るため、多少は余裕がありそうにも見えるのですが、実際は本当に「ギリギリのギリ!」でした。この飛び出し方と相対的な速度差を見る限り、あと0.1秒、早く現場に到達していれば廃車級のダメージは免れなかったでしょう。
この車には、持って生まれた幸運が乗り移っていたのかもしれません。
なお、車検は2001年以来、計9回あったのですが、全て自分自身で陸運局に持ち込んでユーザー車検で通しました。
年々、古い車に対しての締め付けが苦しくなる昨今、幾度となく維持継続に不安を感じることもありましたが、幸いにして全ての検査を当日中にクリアすることができ、深刻な問題が生じることは一度もありませんでした。(写真はムラシマムラさん撮影)
また、この車をユーザー車検で通すにあたっては(会社員をしていた時代は)有給休暇を取って実家に帰るのが常だったのですが、帰宅の途上、現在の妻である、鍋弓わた( https://www.aksd.net/ )と出会う一幕もありました。
妻との出会いは、車検前日の2009年1月18日のことだったのですが、「もし車検を全て業者任せにしていれば、この出会いはなかった」可能性もありますし、本当に嬉しいご縁を運んできてくれたものと感謝しています。
その妻とは2011年6月に結婚。ご縁を運んでくれたMR2も、神戸での挙式に花を添えてくれました。
結婚を機に、MR2はわが家庭のファミリーカーとなりました。日常の脚としての利便性を考え、クラッチやフライホイールをノーマルに戻すとともに各部を可能な限りリフレッシュし、普段の買い物から2~3泊程度の旅行を楽しむなど、以後10年間に渡って立派に務めを果たしてくれました。
g
目立った故障や事故もなく走り続けたMR2ですが、青空駐車を長年続けてきたことから外装の劣化は避けられず、ボディのレストアを検討したのは、2018年頃です。
この頃には私も40代に迫り、あまり派手な車に乗り続けることに恥ずかしさを感じていたこともあって、ボディカラーはメルセデスベンツの純正色「セレナイトグレー」に変更――。
その後、GTウイングを外してR34スカイライン純正品に交換したり、ミラーをノーマルに戻したりと、少しずつデザインバランスを整えました。また、今後10年の維持継続に耐えられるよう、エアコンや電気系などのリフレッシュを徐々に進めてきました。
最後に車検を通したのは2019年1月19日のことです。毎回「今回が最後になるのではないか?」という漠然とした予感をおぼえつつの9回目でしたが、この年で私自身の手による車検通過は、遂に最終回となりました。
手放す事を正式に決めたのは2020年夏頃のことで、多くの皆さまのご協力もあり、(車検満了直前の)年末には、理想的な嫁ぎ先が無事に決まりました。
私としては、これまで「私の好みで、好き勝手に手を入れた来た車」に価値を見出していただいたことと、若手オーナーへのバトンタッチを果たせるということで、最高の形で降りることができたことに、とても感謝しています。
これは、お引き渡し当日の2021年1月9日に撮影した写真です。長年、情熱をかけてきた車であればこそ「環境が許すなら、いつまでも乗っていたい」と考えることもありましたが、その一方で、「いつ手放すときが来ても、自信を持ってお渡しできるよう、常に良好なコンディションにしておきたい」という思いもありました。
そのおかげもあってか? 次期オーナーが車検をお任せした整備工場では、ファンベルトを予防的に交換した以外は、特に悪いところも見つからなったそうです。
私は整備のプロではありませんし、達人級のプライベーターでもありませんが、自分なりに細部の様子を気にかけつつ、出来る範囲で手を入れてきたことに、車が応えてくれたのなら、こんなに嬉しいことはありません。
この車が、私と20年間を過ごして幸せだったのかどうかはわかりませんが、一度の事故や致命的な故障もなく、無事に完走できたことには、育ての親(?)として大きな充実感を感じています
最後に余談となりますが、イギリスの詩人、サミュエル・ジョンソンは、このような言葉を残しています。
「人生は面白い。何か大切なものを手放せば、より良いものがやってくるものだから…」
私もこの言葉を信じ、次の愛車と新しい生活に愛情を注いでいくことこそが、自身の人生にとって、より大切なことではないかと思います。
そして、半生をともに過ごしてきた元愛車のMR2にとっても、私との別れによって、よりよい未来が拓けることと確信しつつ、記事を締めたいと思います。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
ブログ一覧 | 日記
Posted at
2021/02/10 23:38:25