File.59 アルトワークス

　アルトワークス復活しないかなー…というのは、結構多くの方が望んていたことのようで、RSというグレードが誕生した時には、それはもう、ワークスの再来なんて言われて羨望の的になっていた。が、東京モーターショーでアルトワークスが展示されていた時には、色々な方々を驚かしたわけで。やっちゃったよスズキ、期待のアルトワークス、レンタルである。

　どこから見てもアルトとわかるフロントフェイスはワークスでも健在で、正直凄い印象に残る。インタークーラーは向かって右側、"三"の字部分に配置されている。そもそもエンジンは小さいが、高さ方向には存在感があって重心は高め。今のクルマというものが、比較的重心高になってしまっているから仕方がない、というのもあるのだが。

　で、この重心の高さ、クルマのほかの部分にも影響を及ぼしている。以前乗ったアルトワークスは全高も低くて着座位置も低い、しっかりスポーツカーだったのであるが、どうも今回のアルトワークス、目線も高いし着座位置も高い、シートのクッションも厚くてひたすら高さばかりを感じてならない仕様になってしまっている。

　で、その割にこのクルマロール感というものがほとんどない。コーナリング中に傾くような感覚が無くて、そして内輪もしっかりと接地している。が、だからこそ高めのアイポイントと頭の位置が、グワングワンと左右に振られていないように見えて振られていて、頭で思い描いたコースで曲がらない。だから、結構このクルマ、左右に振り回すと酔ってしまいそうになる。ちなみに、リアシートはひどすぎる。ホールド性がないからまあもう左にごろごろ右にごろごろ…団子になりそうである。

　とはいえ、この着座位置さえなければ、他の所は結構いい。インテリアについては他の軽自動車と同じくらいの平均点である。エンジンのトルクは3000回せば充分。タービンに仕事をさせる機会は、スポーティに走るような事が無ければ、あまりない。高速道路を走っている場合でも、ほとんどNA領域で走ることもできる。

　勿論、踏んだらそれは結構速いのではあるが、以前乗ったアルトワークス程の速度感を感じないのはやはり着座位置の高さからだろう。うーん、どうもこれ、高さだけがネック、もっとローダウンできないものだろうか？シートも、全高も。

　とはいえ、この全高の恩恵は、4人が充分に乗ることができるという利点もある。ファミリーユースにはもってこい、それで時たま一人で走りに行くのもいいだろう。そういう用途という意味では、結構このクルマ、よさそうである。一台だけ、オールマイティを選ぶなら、160万ちょっと、燃費も結構いい、燃料もレギュラー、さらに軽。絶好の選択肢でありますね。ただ、やっぱり個人的な好みには、ビビッと来るものでは無かった。