ECU　学習機能について

マニアックなネタになります（笑）
長文ですので、興味の無い人は飛ばして下さい（笑）

S2000　AP1/AP2　のECUにも当然、学習機能があります。
※AP1とAP2では制御範囲が異なりますが、基本的な仕組みは同じ


ECUは常にエンジンを最適な状態で動作するように考えてます。
アクセル開度とエンジン回転数に応じて、
どれだけの空気でどんだけの燃料を吹いてどのタイミングで点火して・・・etc

ようするに理想空燃比　14.7　にしようと努力している訳です。


良く言われる点火・燃料MAP。
このMAPで予め用意されている値ですべてコントロールしたいとこですが、
そう簡単にはいきません。


エンジンが快適に動作するには、エンジンそのものの個体差（結構ある）や、周辺機器の構成、
動作環境（気温・湿度・気圧・速度）が異なります。

そこで活躍するのが「フィードバック制御」です。

多くの各種センサーからの情報を元にECUが計算して理想的な燃料噴射などの制御を
リアルタイムで実施してます。

ECUでターゲット値と、実際のセンサーからの値を比較して、燃料噴射量を見直す（フィードバック）を何度も繰り返す（ループ）という制御の事です。
つまりECUさんは、トライ＆エラーを常に繰り返して自働チューニングをしてくれています。
その過程で、「おっ！これい～かも！」ってな値をメモリします。
これが学習機能です。


この制御のおかげでどんな天候でも、マフラー変えても触媒●スにしても、スロットル変えても
ちゃんと走ってくれます。

このフィードバック制御をしている状態を「クローズドループ」と言います。

この「クローズドループ」状態のときは、”点火・燃料MAP”は利用せず、
空燃比フィードバック制御で動作します。（その他のMAPは利用します）


逆にフィードバック制御をキャンセルした状態を「オープンループ」と言います。

低水温始動時、センサ異常、高水温、エンジン高負荷時のときは「オープンループ」なので
MAPを利用した制御になります。

「クローズドループ」と「オープンループ」

大別して２つの制御をしている訳ですが、学習機能で得た値を利用が働くのは「クローズドループ」時と
なります。

そして街乗りステージでは、ほどんどが「クローズドループ」での制御なのです。
よって、点火・燃料MAPは利用していません（笑）

つまり異常時以外の通常走行時では、スロットル全開でエンジン高負荷の時のみ
点火・燃調MAPを利用します。

チューニングECUで点火、燃調MAPを最適化しても、反映されるのは「オープンループ」のみ
ですので、街乗りで恩恵を受けることは残念ながらありません。
サーキットや最高速で”ピークパワー”のみ追求するのであれば有効かもしれません。
ただし、当然リスクが伴います。


日常のエスは「クローズドループ」領域での自分の愛車に最適な学習値を参考に動作しています。

想像以上に学習機能で得た成果物＝学習値は重要な要素であることが分かります。

ECUリセットすると、途端にトルクが無くなったりするのは学習値もリセットされるからですが、
最近のハイブリッドカーはバッテリー外しでもリセットが掛からず、Dラー診断機でリセット、調整する
必要があるみたいですね。


吸気系、点火系、排気系、etc・・・

空燃比に関連するパーツを交換するときは、このECU制御のイメージだけでも把握していると、
愛車のコンディションの捉え方も変わってくるのではないでしょうか（＾＾）