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【 AM 0 : 30 】


仕事が終わり、風呂も入って
食事も終わって、
五輪400mリレーに感動して
穏やかな気持ちで自室にいた。


私の家は国道沿いにあるのですが
つい先ほど、パトカーが、けたたましいサイレンを鳴らしながら
数えきれないくらい通り過ぎた。


「何かあったんだろうなぁ」ぐらいにしか思っていなかったのですが、
ふと窓の外を覗くと、窓から見える建物に赤色灯が反射している。

「ウゥー」というパトカーの音も微妙に聞こえている。






しばらくすると、拡声器で

「しばらく通行止めになるかもしれません」

「迂回出来る車は迂回するように」

と指示を出している。



マンションの窓からは明かりがチラつき、周囲も気付き始めた。

家の反対側の窓からはパトカーが道端に何台も停まっているのが見えた。

明らかに異常事態が発生している。しかも家のすぐそばで。




野次馬は本来好きではないのですが、
親の命により私がパジャマ姿で確認に行くことに。













現場は目撃者と事態を嗅ぎつけた野次馬が既に集まり始めていた。



しかし車と大量のパトカーが停まって
2車線の国道を塞いでいるようにしか見えない。



車には特に大きな外傷もないように見えたし、
道路際に当たったような痕跡もない。













30秒ほど身を留めていると、前で携帯電話で喋っている人が














「自殺らしいわ」















と言うのが聞こえた。




確かに歩道橋の真下で自動車が停まっている…。




私が現場に到着したと同時に、

担架に乗せられて救急車に運ばれている光景を目にした。


本来ならばすぐに救急車はサイレンを鳴らしながら走り去るものですが
救急車は一向に発進する気配がなく…


蘇生活動は試みているのでしょうが、もう恐らく駄目なのでしょう。


私は居てもたってもいられず、家を出てから3分もしない内に
自室へ戻った。









行為に及んだ人が誰かも知らない



その時の気持ちも分からない



しかし、言いようのない悲しみが私を包んでいた。



自殺は一番愚かな行為だと思っている。





















死んでしまったら、何もかもが終わりなのに…。



























事態が収拾したのか、静寂を取り戻した夜の街を

再びパトカーがサイレンを鳴らし切り裂いていく。

事件の余韻を残しながら…。




















本来なら気持ちいいはずの、窓から入ってくる夜風が

今日はやけに虚しく感じた。