今週は「JIS Z 8141(生産管理用語)」に沿った、勉強ネタに戻ります。
「間違えて?」・「苦手」あるいは「不快」といった方々は、お手数ですが、お戻り下さい。
今週は「設備管理」です。
「
JIS Z 8115(信頼性:ディペンダビリティ)」も含みます。(←1年前に投稿してましたので、リンク貼りました)
本題:
1)設備管理とは
一般的には、設備の計画から保全までの総合的管理を意味しています。設備自体の計画、稼働時の管理方法は各々の設備の特性、製造にかかわる技術により大きく変わります。
(計画→設計→調達→保全→更新→廃棄→再利用までの流れを含む場合もあります)
2)設備とは
設備管理の最終目的とは、種々の設備を有効に活用し、企業の生産性、安全性を高めることであるといえます。ここでいう設備とは、生産設備だけでなく、「長期間使用する固定資産」とその範囲も広く解釈され、分類すると下記となります。
①土地・建物:工場、事業所等の企業が保有する場所
②付帯設備:上下水道、ガス、蒸気、エアー等の設備、冷暖房、照明等の設備など
③運搬・貯蔵機器:クレーン、コンベア、運搬車、タンク等の貯蔵機器など
④生産機器:工作機械、切削機器、熱処理機器、表面処理機器、画像処理機器、工具、計測機器など
⑤事務機器:電話、複合機、コンピュータ、パソコン、一般事務機など
これらの設備を、有効に活用するには、「設備計画段階」においては、少ない投資でより多くの収益を生み出すように計画を立てることが必要です。⇒「投資効率」を高めることです。
投資効率=[収益]/[投資額]
「設備稼働段階」では、より少ない保全費で、品質の良い製品を、より多量に、生産できるように管理が必要となります。⇒「保全効率」を高めることです。
保全効率=[製品の生産量]/[保全費用]
これらの「効率」を高めるには、式に示された経済的要素だけでなく、新設時における計画、設計、建設(製作)、設置や修理、予防保全、改造、更新計画等の活動の、技術的要素の検討も充分行い、両者の相乗効果を上げることが重要になってきます。
3)-1.生産保全(PM:Productive Maintenance)
設備の性能を最大に発揮させるための最も経済的な保全方式で、その目的は、設備の設計・製作から運転・保全・再生・廃棄に至るライフサイクルコストを最小にすることによって経営に貢献することです。
以下は保全の改善活動となります。
・改良保全(CM:Corrective Maintenance)
故障や不良を起こしにくい設備に改善し、性能を向上させることを目的とした保全のことです。
・保全予防(MP: Maintenance Prevention)
設備、ユニット、アッセンブリ、部品などを計画・設計段階から過去の保全実績や情報を用いて不良や故障に関する事項を予知・予測し、これらを排除するための対策を織り込む方法です。
以下は保全の維持活動となります。
3)-2.予防保全 (PM:Preventive Maintenance)
予防保全の中には、時間計画保全と状態監視保全があり、また時間計画保全には定期保全、経時保全が含まれます。
・「時間計画保全」とは、予定の時間計画(スケジュール)に基づく予防保全の総称のことです。
・「状態監視保全」とは、アイテムの使用および使用中の動作状態の確認、劣化傾向の検出、故障や欠点の確認、故障に至る経過の記録および追跡などの目的で、ある時点における動作値およびその傾向を監視し、状態に基づく予防保全のことです。
・「定期保全」とは、予定の時間間隔で行う予防保全のことです。
・「経時保全」は、アイテムが予定の累積動作時間に達したときに行う予防保全のことです。
3)-3.事後保全 (BM:Breakdown Maintenance)
事故や故障が起こった後でアイテムを運用可能状態に回復するために行う保全のことです。また、管理上予防保全を行わないことを決めたアイテムの故障に対する処置を「通常事後保全」といい、予防保全を行うアイテムの故障に対する処置を「緊急保全」と呼ばれ、区別されます。
4)設備総合効率
設備総合効率は、総合的にロスの度合いを評価するのに使用されます。
設備総合効率=時間稼働率×性能稼働率×良品率
・時間稼働率は、停止ロス(停止時間)の度合いを評価するのに用いられます。
・性能稼働率は、速度ロスの度合いを評価するのに用いられます。
・良品率は、不良ロスの度合いを評価する場合に用いられます。
5)設備の6大ロス
「突発事故、段取り・調整、速度低下、チョコ停、工程不良、歩留り」をいいますが、管理の方法の違いなどにより7大ロス・8大ロスなどもあります。
おまけ:設備の安全管理
・フェールセーフ機構:設備などが故障したとき、暴走して事故や、災害が拡大することを防止する機構。
・フールプルーフ機構:作業者の不注意や操作ミスによる事故の発生を未然に防止できるようにした機構。
・フェールソフト機構:故障が発生したとき、機能が低下しても停止が起こらないようにする機構。
・ディレーティング機構:定格値より低い値で使用し、余裕度を大きくする機構。
・バックアップ機構:第一線の後方にバックアップシステムを待機させ、第一線で故障が生じたとき、その機能を支援または代行させる機構。
・多重系化機構:同一または同種の機能のものを多重に設備し、並列方式や切替え方式、多数決方式などにより使用する機構。
今週はここまで。(信頼性・信頼度・保全性・保全度などが続くんですが・・・時間が足りません)
今回の過去出題例
問題Ⅰ
設備の範囲に含まれないものはどれか。
①鉄骨資材
②運搬機器
③貯蔵機器
④生産機械
⑤事務機器
問題Ⅱ
設備管理に関する説明に該当する用語として、正しいものはどれか。
「振動、音、熱、温度、圧力、電圧、排油等を調べることによって、設備の性能、劣化状態等を、設備の運転中に定量的に把握し、その結果をもとにして設備の信頼性、安全性、寿命の予測を行うこと。」
①設備診断
②定期点検
③予知保全
④予防保全
⑤日常保全
問題Ⅲ
生産設備による災害防止や故障等による生産機能の低下防止の方法に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
①フールプルーフ機構とは、人間の操作を前提とする機械において、操作手順の誤り等による誤操作の起こりにくいように、また起こっても危険性を生じないようにする機構である。
②バックアップ機構とは、第一線の後方にバックアップシステムを待機させ、第一線が故障したとき、その機能を援助代行させる機構である。
③フェールセーフ機構とは、異常や故障が生じたとき、すべての機器を停止させる機構である。
④フェールソフト機構とは、故障が発生したとき、機能は多少低下しても停止しないようにする機構である。
⑤多重系化機構とは、同一又は同種の機能のものを多重に設備し、並列方式又は切替方式等により使用する機構である。
答えは次週にupします。
今日の勉強会でも既にテスト結果が出てます。
去年度平均66.3点、今年度は平均67.5点(70点まで、もうちょっと・・・)
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先週の答え
問題Ⅰ-③
問題Ⅱ-⑤
問題Ⅲ-①
参考解説
問題Ⅰ
次の教育訓練計画作成に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
③計画の作成は、法律によって事業主に義務づけられてはいない。
安全衛生教育などは、労働安全衛生法によって定められ、教育を行わなければなりません。
また、一部の法規則では「教育訓練計画」の明文化が義務付けられています。
問題Ⅱ
次のPOS(Point Of Sales)システムに関する記述うち、誤っているものはどれか。
⑤小売店等の販売拠点のことをいう。
商品の販売・支払いが行われるその場(point of sales)で、その販売データ(品名、数量、販売時刻など)を収集することで、販売動向を把握する仕組みです。場合によっては、客層などもリンクさせています(身近なものに、コンビニなどのレジがあります)。
問題Ⅲ
次の自動生産システムの構成機器に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
①FAは本来、効率的生産のための管理や経営をつかさどる「情報の流れ」の自動化を意味している。
FA(Factory Automation)とは、計算機(コンピュータ)を使用して工場の製造部分である設計から出荷までを自動化することであり、「物の流れ」の自動化を意味します。
次週は08年度№1「確率分布」の続きで「推測統計」です。