日産 追浜工場 2027年度末に車両生産終了 湘南工場は来年度に
2025年7月15日 19時30分
経営の立て直しを迫られている日産自動車は神奈川県横須賀市にある主力の「追浜工場」での車両の生産を2027年度末に終了し、福岡県の工場に移管・統合すると発表しました。
また、神奈川県平塚市にある子会社の「湘南工場」に委託している車両の生産を来年度に終了することを明らかにしました。
目次
==エスピノーサ社長会見 詳しく==
これまでの経緯
日産自動車は、過剰な生産体制を見直すため、国内外の7つの工場を削減する方針を示していました。
これについて日産は15日、追浜工場での車両の生産を2027年度末に終了すると発表しました。
この工場では、主力のコンパクトカー「ノート」などを生産していますが、今後、車両の生産は、福岡県にある子会社「日産自動車九州」の工場に移管・統合するとしています。
追浜工場の活用方法は、今後、検討するとしていますが、敷地内にある研究所や、衝突試験場などの施設は、今後も事業を継続する方針です。
追浜工場は1961年に操業を開始し「ブルーバード」や「マーチ」などの主力車種を生産してきましたが、日産が業績不振に陥る中で工場の稼働率の低さが課題となっていました。
日産によりますと、工場の生産部門の従業員数は、およそ2400人で、2027年度末までは勤務を継続し、その後については方針が決まり次第、周知するとしています。
また、日産は、神奈川県平塚市にある子会社の日産車体の「湘南工場」に現在、委託している車両の生産を来年度に終了することを発表しました。
地元からは雇用や地域経済への影響を懸念する声が上がっていましたが、日産は経営の再建のためには稼働率の低い国内工場の生産終了はやむをえないと判断しました。
イヴァン・エスピノーサ社長は会見で「この決定は特に追浜工場で働く従業員とっては極めて大きな痛みを伴う改革で私としても会社としても苦渋の判断だ。しかし日産が現在の厳しい状況から脱し、再び成長軌道に戻るためにやらなければならないと判断した。国内においてはこれ以上の車両生産拠点の削減や統合は行わない」と述べました。
また、記者から台湾の大手電子機器メーカー「ホンハイ精密工業」と追浜工場を共同で利用する案を検討するなかで、生産を終了しないという選択肢はなかったかを問われ「追浜工場の将来の活用方法については複数のパートナーと協議している。機密保持契約があるので、詳細は報告できないが、今のところ合弁会社の話や委託生産の話はしていない」と述べました。
日産車体「従業員の雇用を最優先にあらゆる可能性を検討」
日産の子会社の日産車体は、神奈川県平塚市の「湘南工場」で日産から委託を受けている車両の生産が来年度終了することについて「車両の生産委託の可能性を模索しつつ、特装車・サービス部品の生産をはじめとするサポート事業を担うことも視野に入れ、従業員の雇用を最優先にあらゆる可能性を検討していく」とコメントしています。
==エスピノーサ社長会見 詳しく==
日産自動車のイヴァン・エスピノーサ社長は15日午後5時から本社で会見を開きました。
注目
日産社長 「湘南工場」でも車両の生産終了と発表
日産自動車のイヴァン・エスピノーサ社長は15日午後5時から本社で会見を開き、神奈川県平塚市にある子会社の日産車体の「湘南工場」でも車両の生産を終了すると発表しました。
そのうえで「国内においてはこれ以上の車両生産拠点の削減や統合は行わない。国外の生産拠点については今後、決定がありしだい適切なタイミングで皆さまにお知らせしたい」と述べました。
「苦渋の判断」
エスピノーサ社長は「この決定は特に追浜工場で働く従業員とっては極めて大きな痛みを伴う改革で私としても会社としても苦渋の判断だ。しかし日産が現在の厳しい状況から脱し、再び成長軌道に戻るためにやらなければならないと判断した。追浜工場では2027年度末に車両生産を終了するまでお客様に満足いただける高品質な車を生産し続ける」と述べました。
「代替案を考えて雇用を守ろうとしている」
エスピノーサ社長は追浜工場について「車両生産以外の機能は継続する。追浜地区の従業員は4000人ほどいて、このうち2400人が車両生産に従事しているが、できるだけ従業員の受ける影響を最小限に抑える。まずは2027年度まで雇用を継続する」と述べました。
その上で「代替案を考えて雇用を守ろうとしている。たとえば、ほかの生産工場に異動するとか、あるいはほかの事業に異動するということを考えている。従業員に対しては、とにかく全力でサポートするし、責任感を持ってしっかりとサポートする。痛みを伴う活動なので、できるだけ全力を尽くしてサポートしていく」と述べました。
“ホンハイの詳細は報告できない”
エスピノーサ社長は、記者から台湾の大手電子機器メーカー「ホンハイ精密工業」と追浜工場を共同で利用する案を検討するなかで、生産を終了しないという選択肢はなかったかを問われ、「追浜工場の将来の活用方法については複数のパートナーと協議している。機密保持契約があるので、詳細は報告できないが、今のところ合弁会社の話や委託生産の話はしていない」と述べました。
「第三者が資産を買いたいのであれば検討の余地がある」
エスピノーサ社長は「追浜工場の将来図は、いろいろなシナリオを検討していて、第三者が資産を買いたいのであれば検討の余地がある。ほかの事業をやるということも考えられるかもしれないが、現時点ではそういった計画は何も決まっていない。2027年度に車両生産を終了し、資産の使い方を変えていくことを考えるということだ」と述べました。
追浜工場 会社初の「乗用車専門工場」
神奈川県横須賀市の追浜工場は会社として初めての「乗用車専門工場」として1961年に操業を開始し「ブルーバード」や「マーチ」などの主力車種を生産してきました。
2010年には電気自動車「リーフ」の生産を始めたほか、2016年からは主力のコンパクトカー「ノート」の生産を手がけています。
最新の技術やノウハウを海外の工場に展開するためのマザー工場としての役割を担ってきました。
年間の生産能力はおよそ24万台ですが、日産が業績不振に陥る中で工場の稼働率の低さが課題となっていました。
ことし3月には電気自動車「リーフ」の生産を終了し、新型モデルは栃木県の工場に移管することになっていて、現在、生産を手がけるのはコンパクトカーだけです。
会社によりますと「追浜工場」の従業員はおよそ2400人となっています。
追浜工場で働く人は
追浜工場で働く20歳の社員の男性は「社長からは“苦渋の決断だ”という話がありました。予想はしていましたが、実際こうなるとびっくりしました。将来的な不安があり、なんでこうなってしまったのかは説明してほしい」と話していました。
また、清掃などの仕事をしているという40代の女性は「覚悟はしていました。まだ、雇用がどうなるか分からないのでそれが心配です。雇用契約を終了するなら仕事を探さないといけないので早く知らせてほしいです」と話していました。
地元の自治体は
日産自動車の「追浜工場」がある横須賀市の上地克明市長は「雇用の中心となる生産拠点がなくなることは地元市長として大変残念でなりません。市としては工場で働く従業員や取引先をはじめ、地元への影響が最小限となるよう関係機関と連携して必要な支援や対応に全力を尽くします」というコメントを出しました。
また、「湘南工場」がある平塚市の落合克宏市長は「日産車体では湘南工場の継続に向けた取り組みを進めるとのことで、市としては今後の動向を注視するとともに必要となる協議を進めていきたい」というコメントを出しました。
これまでの経緯
日産自動車は世界的な販売不振で、昨年度1年間の決算で、6700億円余りの巨額の最終赤字に陥りました。
このため、ことし5月、会社は経営の立て直しに向けて、2027年度までにグループ全体で2万人を削減するとともに過剰な生産体制を見直すため、世界で7つの工場を削減する方針を示し、国内の工場も検討対象とすることを明らかにしていました。
その計画案に神奈川県横須賀市の追浜工場などが含まれていることが明らかになり、神奈川県は、緊急の会議を開いて、今後の対応などを協議するとともに黒岩知事がエスピノーサ社長と面会し、情報共有を図るための会議の設置などを求めました。
その後、追浜工場をめぐってはEV=電気自動車事業の拡大を目指している台湾の大手電子機器メーカー「ホンハイ精密工業」と共同で利用する案について協議していることも明らかになっていましたが、会社は共同利用が経営の再建につながるのかどうか慎重に検討していました。
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2025/07/16 00:16:33