国産車の中ではレガシィ・ツーリングワゴン対抗車として大本命(?)である、アテンザスポーツワゴンのニューモデルが発売された。AWDであるレガシィと直接当たるのは2.5Lエンジンモデルで4WDの25S,25Cというグレードになるであろうか。いずれも6ATのみの設定で、5,6速がいわゆるオーバードライブに相当するギアである。この設定なら、小さな最終減速比と相まって高速でのエンジン回転数はかなり小さく抑えられ、静かで省燃費な走りが楽しめるであろう。
ところが、10.15モード燃費は10.4km/Lとあまり奮わない。同等グレードの2WD版では5ATが12.8km/L,6MTでは13.0km/Lとなっているので、4WD化により100kg近く重量が増すことに加えて動摩擦力が増大することがかなり影響しているものと推測されるが、FFベースの4WDにありがちな「いざというときのため(だけ)の」後輪駆動装置だとしたら、随分勿体ないことをしている気がする。ホームページの4WDの説明には"前後輪のトルク配分を100:0から50:50までリニアに電子制御"と書かれているが、10.15モード測定では後輪を回しているのだろうか?前後がフリーになっているシャシダイナモなら4WDシステムが前後輪の回転数の差を検出し、後輪にフルのトルクを掛ける筈だ。とすれば、やはり燃費の悪化は後輪を回していることに起因するということか。
レガシィの2.5iアーバンセレクションがAWDながら13.0km/Lをたたき出している(しかも同じレギュラーガソリン仕様である)ことを考えると、やはり、4輪駆動はスバルの方が1枚ウワテということなのかな?もちろん、車重(車長、車幅も)が違うとか、アテンザの方がタイヤ径が微妙に大きいとか(=バネ下加重の増大)、燃費で不利になる条件はアテンザの方に沢山揃っているが・・・・。
それともう一つ、以前にレガシィでも考察したところだが、AT(MTも)が多段化される最近の傾向(流行?)の中で、どうも段数を増やす度に公称燃費が悪くなっているような気がするのは気のせいか?高速巡航ではオーバードライブのお陰で燃費は向上する筈だが、10.15モードのような低速セクションでは、エンジン側とドライブシャフト側の回転数の差が近くトルクのコンバート効果が出にくい状況が多くなって、結果的にロスが増える、と解釈してみたがどうであろうか。詳しい方、是非教えてください。
いずれにせよ「ステーションワゴンが欲しいけど、車はFFでいいや」という人にとっては、アテンザは買う理由のある、買いたくなるワゴンであることは間違いないだろう。メカニズムや装備にもいろいろと面白いものがあるし、お値段もそこそこお買い得感がある。セダンの他、スポーツという名のハッチバックモデルがあるのも面白い。でも、MTがよくて、しかも4WDが欲しい、となると、やっぱりレガシィかな・・・というところか。メカニズム的なところの差異は一般ユーザーにはなかなか解りにくいから、競合した場合には結局値段とデザインやブランドの好みで決まるんだろうな、と思う。
もちろん、ターボじゃなきゃ!という向きには、もはやレガシィ以外に選択肢はない。EUの自動車メーカーでは、小さいエンジンに過給を付けて実用域でのパワー増大を図るという傾向がこのところ強まっている。しかし、日本の市場はまだまだ「ドッカンターボ」の要求が強いのか、加速感や最高出力を競う傾向は相変わらずのようだし、商品構成もなかなか難しいところである。
そういえば、EUでは既にレガシィのディーゼル版が試乗されているようだ。どんな感じなのか是非一度目にして体験してみたいが、日本ではおそらく次期モデル('09年)までお預けだろうな・・・。
ニュー・アテンザのデビューに関する記事をあちこち見ていたら、asahi.comの記事にとんでもない誤記を発見。
「FFセダンを例にとると、・・・(中略)・・・ホイールベースは2725(同+50)mmも延長された。」
どんだけホイールベースが長い車なんだー!って・・・・。(笑)
Posted at 2008/01/30 04:00:10 | |
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