2008年03月07日
鑑定に必要な環境
裁判であろうとなかろうと、鑑定というものは本来、中立の立場で行うべきものであると思う。判決に影響するかどうかとは無縁の立場で行うべきだと思う。
そして、交通事故鑑定は、事故状況に対して行われるべきものであり、その根拠となる物証を最初から疑うといった鑑定は交通事故鑑定としてやることではないと、私は断言したい。
もし、根拠とする物証が怪しいと思っても、まずはその証拠を元に推論を組立て、理論的に裏付けてみる。それに対して、現実的な状況か否かを判断し、鑑定とすれば、説得力はかなりのものになるはずだ。
その推論に必要な理論と物証が矛盾すれば、背理法で証明できるというわけだ。
実際には、この事故の鑑定人は、被告人の主張に沿ってバスの急ブレーキにこだわり、テレビで見られたような実証実験を世に晒している。
何度でも言うが、あれは交通事故の鑑定ではない。他人の鑑定結果のあら探しを鑑定とは呼ばないだろう。鑑定結果の鑑定、というより、その鑑定結果を信頼するかどうかの判断は裁判官の仕事だから、被告側がやっても意味がないことは明白だ。
今回の場合、あの交通事故鑑定人が裁判やテレビ番組でやるべきだったことは、自分の立場(被告人側であること)を一旦は忘れ、本来の交通事故鑑定を行い、その結果と検察の鑑定結果との食い違いを解説し、検察の鑑定の信頼性を落とすことだったのではないのか。
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Posted at
2008/03/07 01:32:40
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