トヨタ パッソ セッテ、その名の通りパッソをベースにした7(イタリア語でセッテ=7)人乗れるミニバンです。
隣市のカローラ店には、発売前の先月中旬から実車がボディカバーをかけられ「新型ミニバン近日登場」というプレートを下げて展示していました。
そこで10台目の座っただけの試乗記は、パッソ セッテです。
ダイハツ ブーン ルミナス と兄弟車で、製造事業者ダイハツとあるように、ダイハツで生産されます。
アトレー7亡き後多人数ミニバンを渇望していたダイハツにとっては、大きな福音であることでしょう。
現行車でトヨタとダイハツとの共同開発は、パッソ、bB、ラッシュですが、これらのボディカラーは全てダイハツの色(カラーNO.がトヨタとダイハツでは表記が違う)なのに対して、パッソ セッテは9色の内3色がダイハツ、6色がトヨタとなっています。
ダイハツの工場で生産するならダイハツの色のみが効率的なのに、なぜトヨタの色も設定するのかというのが、このクルマの最大の謎です。
カタログを眺めて気付いたのですが、クルマの写真があるカットでは登場するファミリーの衣装や、おもちゃとかピクニック用品も同系の色、背景もアイコンも項目タイトル文字まで近似色でまとめていて徹底しています。
スタイリストが大変だったことは想像に難くありませんが、このあたりは、カラーコーディネートテクニックとして参考になりそうです。
さて座っての印象ですが、室内を眺めて思い出したのが今は亡きカローラスパシオです。
カローラスパシオの後継車はカローラルミオンとなっていますが(どちらも車両型式の末尾にNが付く)、3ナンバーにふくらんだbBというコンセプトなので、そうですかと納得する人は少ないでしょう。スイングドアの3列シートでボディサイズも近いのでそう思えてしまいます。
全体にトヨタの意見通り極めて常識的に仕上げたという印象で、どこにも奇抜な所はありません。
初代カローラスパシオの初期型は、6人と4人のシート配列とアレンジが他車にはない斬新さがありましたが、パッソ セッテは初代イプサムと同じごく当たり前のシートアレンジです。
この全長では当然3列目には足元のスペースがほとんど無く、何とかしようと2列目を前にスライドすると今度は2列目が窮屈になるという有様です。
CMでは女性7人が座ってドライブというシーンもありますが、背の低いスリムな女性ばかりでないとあのようには行かず、すし詰めになってしまうでしょう。
2・3列目がワンタッチでフラットになりますが、今更珍しくもありません。
たまたま近くに、身内で最大のライバルであるシエンタも展示してあったので、シートアレンジを比べたところ、ラゲッジフロア高はシエンタが低く、3列目が2列目の下に収納できるのでシエンタの方がラゲッジ容量も大きいです。これでは同じクラスで後から登場したのに、取り得が無さ過ぎるように思えます。かといってシエンタが優れていることもないですが。
サイドエアバッグ&カーテンシールドエアバッグが廉価版以外に標準装備されたこと、2列目中央ヘッドレスト(右側片持式というアイデアはいい)が全車標準装備は評価できます。
このクルマ単体で見たら過不足無い出来でしょうが、他社ではフリードや身内にも近いライバルがいっぱいいるのに、他車を圧倒する優位性も無いみたいだし、今のところシエンタに取って代わるでもないようだし。
クルマに興味がないけれど、お付き合いで仲間を乗せる機会が多い奥様がターゲットらしいですが、このクルマ不況時に新車効果で売れるのでしょうか。
トヨタさん、クルマ自体が売れないのに同じ様なクルマを出している場合ではないでしょ、もっと近未来を見据えた斬新なコンセプトのクルマを見せてよ!と私は言いたいです。
今秋のモーターショーに、その回答を期待したいですね。
Posted at 2009/01/22 23:54:00 | |
トラックバック(0) |
ニューカー | クルマ