ザルツブルクに着いた翌日30日の午後、オーストリアアルプスを彼方に望む郊外の道で、自らステアリングを握るクルマのコクピットから撮ったのがこのカット。
なにやらヌメヌメとした曲線を描くフロントフェンダーとボンネット、それにシルバーのワイパーブレード・・・。どうもデビューしたばかりのニューモデル、あるいは現代のクルマには見えませんね。
このクルマの正体は、1962年ポルシェ356Bカレラ2カブリオレ。そう、130psを発生する2リッター4カムシャフト空冷フラット4をリアに積んだ、市販型356で最も高性能なモデルたるカレラ2のカブリオレバージョンで、最高速200km/hに達するとされたクルマでした。
この写真からは分かりませんが、もちろんトップはオープンにして、4カム空冷フラット4の豪放な爆音を耳にしながら、通常よりかなり気温が高いとはいえ、空気の澄み渡ったオーストリアの高原を駆けているわけですから、その気分はほとんど最高といっていいものでした。
実は今年は、フェリー・ポルシェがVWビートルのコンポーネンツを駆使して生み出した最初のポルシェ、タイプ356ナンバー1ロードスターを世に送り出し、スポーツカーメーカーとしてのポルシェをスタートさせた1948年から数えて、ちょうど60年目に当たるんですね。
そこでポルシェはそれを記念して、タイプ356ナンバー1ロードスターが生み出された第二次大戦中のポルシェの疎開先であり、ポルシェ家のルーツでもあるオーストリアを舞台にして、ごく内輪のプレスイベントを開いたのですが、そこに日本のジャーナリストを代表して招待されたのが、僭越ながら僕だったというわけです。ま、普段から旧いクルマに親しんできた結果が、こういう役得に結びついたということでしょうか。
このイベントは、ザルツブルクに着いた日の夜にその郊外のホテルで開かれた、フェリー・ポルシェの息子であるドクター・ウォルフガング・ポルシェを中心とするポルシェに縁の深い人々を交えたディナーに始まり、ヒストリックなポルシェを駆ってツェル・アム・ゼーやグミュント、それにグロスグロックナー峠といった、初期のポルシェを育んだ地を巡る2日間のグランドツーリングで終わったのでした。
その模様は後日、ブログや雑誌で詳しく紹介する予定ですが、取り敢えずその第一報を、帰国を前にしたザルツブルク郊外のホテルからアップしておきます。
Posted at 2008/06/01 10:56:59 | |
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