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2016年10月18日
Def busta 第一章・第二話
Def busta 第一章・第二話










              追跡


帯広の市街地を抜け、交通量の多い国道242号線を疾走する2台のバイク。前方を走行する車を右に左に交わしながら、とんでもないライディングを魅せる革ツナギの女。その女を下村は必至で追跡した。
その謎のバイクの動きは、まるで点から点へ瞬間移動するかの様で、次々とクルマのパイロンを、スラロームで縫っていく。
切れ味あるその走り。それは鋭い刃物で、空気を切り裂く音までをも連想させられる。




「なんなんだよあのバイクは!! まるで重力を無視したような動きをしてやがる!! 」




 更に革ツナギの女は、軽やかに前方の車を交わし、その先の交差点を“フワッ”と右折した。
やはりその動きは非常に素早く、まるで猛禽類が獲物を仕留めた後、一瞬でその場を飛び去る姿にも似ていた。


道路標識『町道●●号線S峠』。




「あん? OT町のS峠に向かってやがるのか? ヨッシャーーー!! 」



下村は派手にリヤタイヤを滑らせながら、ドリフトで交差点を右折していった。












               レイ


謎の女は、左にウインカーを上げ、S峠のPAに入っていった。後に続く下村。




「ようやく止まったな…。ついて行くのが精一杯だった…」

ヘルメットの中で一息つく。




その少し広めのPAには、街灯が数本立ち並び、新型の三菱スーパーグレートが1台と、デリカバンが停車しており、革ツナギの女と正体不明の黒塗りのバイクの元へ、4名の作業員が駆け寄ってきた。
そのバイクからは、非常に軽いモーター音だけが聞こえている。




ヘルメットを脱ぎ、革ツナギの女に話しかける下村。

「おいおいアンタら…って…」


どうにも様子がおかしい・


「あん? 何だ!? 」




まるで予想外の展開。その場にいた作業員達は、下村を取り囲んでしまった。しかもその目には、只ならぬ殺気を帯びている。




下村は、ゆっくりとした動きでバイクを降り、拳を握り固めた。

「ふ~~~ん…」

頭の中で警鐘が鳴り響く。 『ふんっ、いつでもいいぜ。一発触発ってヤツだな!』 既に下村の臨戦態勢は整っていた。





が、それを見た革ツナギの女は、非常に慌てた様子でヘルメットを脱ぎながら、作業員達を止めた。




「待ってその人は違うの!!」




澄んだ声が響いたのと同時に、ヘルメットからは、長い髪がこぼれ落ち、美しい女の素顔が現れた。







その顔には見覚えがあった。ハトが豆鉄砲とはこのことだ。そして下村の口から出た台詞は。

「ああ~~ん。てっ?あれっ!?お前、二宮じゃねーか!?高校んとき同じクラスだった」





的を射ているにも関わらず、この場の状況には非常に滑稽で、素っ頓狂な言葉が口から滑り落ちたのだ。
優しく微笑む美しいレイ。下村は軽く混乱した頭で次の言葉を探していた。


しかし懐かしの再会は、後方から聞えてきたFJクルーザーの激しいスキール音が、全てをブチ壊した。その場にいた全員が、音の方向へ振り返った。
荒っぽくFJクルーザーが停車し、これまた荒っぽくドアが開き、合計4人のアラブ系外国人が、バットやバールを手に “バタバタ” と降車してきた。
そして、その中のリーダー格であろう一人の男が“ニヤニヤ”と薄笑いを浮かべ、片言の日本語を話し出した。




この男の通り名は “フロントサイト” という(外国人A)。

「ゼロヲ、コチラニワタセ」




下村以外、その場にいた全員の顔が青ざめ、冷汗をかきながら“ジリジリ”と後退りをし出した。





フロントサイト(A)は更に続けた。

「ソノバイクハ、キョウイナノダ」

そう言い、次にはアラブ語で短く号令を出した。

「●×▽~*:□」





意味は分からなかったが、それはおおよそ最悪の部類の言葉なのだろう。何故なら、先ほどレイに転倒させられたと思われるライダー、通り名をグリップ(外国人B)は、突然バットを頭上に振りかぶり、そのレイ目掛けて襲いかかったのだ。  





戦慄の表情のレイ。

だが、そうはいかない。そう、ここにはこの男が居たのだから。
バットを持った腕が、横から力強く掴まれた。振り向くグリップ(B)。そこには眉間に深い皺を寄せ、憤怒の表情をした、仁王のような下村の姿があった




「オイてめぇ、ずいぶん物騒だな!!」





それをみたフロントサイト(A)は、またアラブ語で短く号令を出した。

「●×▽~」

それからフロントサイト(A)、トリガー(外国人C)、バレル(外国人D)が下村を取り囲む。その様子を見て不敵な笑みを浮かべる下村。





「はんっ、いいぜぇ~。なんだか知らんがきっちりケリをつけてやる」





またフロントサイト(A)が号令を出す。

「●×▽~×!!」

そう言うや否や、全員がおかしな奇声を発し、一斉に下村に襲いかかった。





下村は、腕を握っていたグリップ(B)を突き飛ばし、バレル(D)に身体ごとぶつけた。次に正面にいたフロントサイト(A)が、下村の脳天めがけ、バールを打ち下ろしてきたのだが、左ダッキングでそれをかわしつつ、溜めをつくっていた自分の腰から、相手の右脇腹めがけ、強烈な左のショベルフックを打ち込む。一瞬だったが、フロントサイト(A)の身体が宙に浮き、 『く』 の字に折れ曲がった。 




 

それなりに格闘経験があるであろう彼だが、それは、おおよそ経験した事が無いほどの破壊的な一撃だった。眼球が飛び出してしまいそうなほど瞼を見開き、体の中のもの全てを吐き出す勢いで胃の内容物をぶちまけ、苦悶の表情で、そのまま前のめりに倒れていった。

それから下村は、左側から大型バールで襲って来た、トリガー(C)の下顎に、流れるような動きで、右鉄槌のバックハンドブローを叩き込む。
今度はグリップ(B)とバレル(D)が、後方からバットで殴りかかってきたが、下村は間髪を入れず、鋭く独楽のように回転し、気合一閃。



「だらぁーーー!!」



バレル(D)の顔面に、右のバックスピンキック(右後ろ回し蹴り)を決める。バレル(D)の身体はその場で半回転し、頭部から地面に勢いよく叩きつけられた。




一瞬動きの止まるグリップ(B)。だが下村の勢いは止まらない。バックスピンキックからの一連の動作の中、フリッカー気味に、右の高速ジャブを鼻面に打ち込んだ。それは濡れタオルで激しく弾かれたような音であった。乾いた音が響き渡る。


いつの間にかグリップ(B)は尻餅をついてしまっていた。あまりのスピードに、何が起きたのか理解できず、バットを手にしたまま呆けた表情で “ダラダラ” と鼻血を流していた。





鬼の形相で外国人たちを睨む下村。

「オイ、まだやんのか!?」




それを受け、脇腹を押さえたまま、苦悶と屈辱の表情で、フロントサイト(A)がアラブ語で短く叫ぶ

「●×▽~」




外国人たちは、互いに支え合いながら立ち上がり、車に乗り込んだや否や、あっという間に走り去っていった。撤収が異常に速いのが印象的だ。まるで何かの訓練を受けているようにも思えた。

下村は 「ふぅ~~」 と、少し穏やかな表情で一息つき、周囲を見渡す。三菱スーパーグレートとデリカバンが、FJクルーザーとは反対側(峠方向)に走り去っていくのが見えた。






そしてレイが、後方から声をかけてくる。

「下村くん…。ありがと。ほんとに助かったよ」




見つめ合う下村とレイ。

「まさか高校時代の同級生…、しかも下村くんにこんな形で再会するなんてね」




黙って頷く下村。それから静かに語り出す。

「穏やかじゃねーよな。一体何があったんだよ?」




少し困った表情のレイ。

「うん…。何から話せばいいのかな…」





まずは一番気になっていた、正体不明のバイクを指差す下村。

「お前さんの専門は、モトクロスじゃなかったのかよ?それにそのバイクは一体何なんだよ!?何が起こってんのかさっぱりわかんねぇ」






レイは小さく首を振り、少し思い悩んでいた。

「ううん。モトクロスはね、スキルアップのための訓練…。いや、いま思えばこのための英才教育だったのかな…」

そう言いながらレイは、下村の顔をじっと見つめ、学生の頃を少し回想していた。







【回想】

それはDef busta下村と呼ばれ、 “やんちゃ” をしていた頃の彼の姿だった。
ゼファー400改 に跨り、仲間達と楽しそうにしている光景。そしてそれを、羨望と淡い想いで、遠くから見つめていた自分の姿も。

【回想終わり】








何か思いつめたようなレイの表情。そんな回想を振り払いKAMUI零を見つめながら、ハンドルを握る。

「これまでやってきたバイクの訓練は、全てここに繋がっているの。これはMBM社を母体とする、新興バイクメーカー、 《K A M U I 》が開発した新型のバイクで、コードネームは 《 K A M U I 零 》。 そして私が、テストライダーをしているの」





下村は、無言で K A M U I 零 の各部を、繁々と観察し始めた。
まず特徴的だったのは、黒塗りのタンクに 『DUCATI』 の偽装文字と、車体は同・モンスターと同様の美しいトラスフレーム。エンジンは前2気筒、後ろ1気筒で構成された、Ⅴ型3気筒の空冷風エンジンだった。
更によく観察してみる。その空冷風3気筒エンジンはタンクの隙間から見てみると、ヘッドカバーは、MBM社のスリーダイヤの形をしていた。 しかも後方のテールランプと左右に振り分けられたマフラーのサイレンサーで構成されるリヤ回りのデザインも、同じくスリーダイヤの形をしている。





下村は、思わずため息を漏らしながら頷いてしまう。

「なるほどね…。で、さっきの連中は?」


レイを見つめる下村。





レイは、そんな下村の視線を逸らす様に、俯き加減になってしまう。

「確証はないけど、恐らくはライバル会社が雇った産業スパイだよ」


「なに!産業スパイだって!?」






黙って頷くレイ。

「そう。最初は写真を撮られたり簡単な妨害工作程度だったんだけど…。もうすぐで最終テストって時に、直接的な暴力や破壊活動をするようになってきたの…」

絞り出すように発したその言葉。やり切れない思いを胸に、レイは非常に辛そうな表情をしていた。






もう黙って見過ごす訳にはいかない! 
それを見た下村の心に、義侠心という名の灯がともった。突然レイの両肩を掴み、眼を見据えてこう言ったのだ。

「お前困ってんのか?困ってんだな!?」





顔を赤らめるレイ。

「え、ええ…、うん、そうだけど…」





ニヤリと笑う下村。

「小難しい事はわかんね。だけどお前に降りかかる火の粉は、俺が払ってやれるぜ」





それから自分の左胸に右拳を 「トン」 と当て。

「俺がお前を護ってやる !! 」

そう自信たっぷりに言い放った。





一瞬困惑するものの、直ぐに嬉しそうな表情になるレイ。

「うん…でも…それは…」





更に笑顔の下村。

「もう大丈夫だ!任しとけって!!」

下村の強引さは、少々見当違いな感もあるが、レイは黙って頷き、赤い顔のまま自分の足元を見つめた。下村の真っ直ぐな気持ちが、とても嬉かった。だが、あまりにも照れくさくて、顔を凝視することは出来なかった。 





今度は下村が、K A M U I 零 のタンクに “ポン” と手を置く。

「それにしても、コイツの戦闘力はスゲーな。でもそれ以上に美しいバイクだ。惚れ惚れするくらいにな」







嬉しそうな表情で頷くレイ。

「うん。ありがと。ほんと下村くんは変わってないね。お節介で仲間思いで、バイク馬鹿のまんまだね❤」

優しい表情で微笑むレイ。






そしてエンジン部分を覗きこむ下村。

「う~ん…。だけど一つわかんねー」





首を傾げるレイ。

「なにが?」





下村はエンジン部分を指差した。

「コイツ3気筒エンジンなのに、エキパイが2本しか無ぇんだ。後ろの1発はいったい何なんだ?」






レイは非常に感心した様子で答えた。

「それこそが 《 零 》 の主要部分なんだよ」






今度は K A M U I 零 のリヤバンクを指差す。

「そのリヤバンクは、北海道のH大学と K A M U I が共同開発した、レアアースを使用しない、超小型の高出力・高耐久、を誇る新型高性能バッテリーなの。だからこそ 《 零 》 は、加速性能、旋回性能、航続距離に特化した、新世代のハイブリッドバイクになれたの」


なんということだ!! 突然とんでもない暴露話を聞かされた気分になった。驚き以外の何者でもない。 開発中のバイクが公道を走っているだけでも大変な事なのに、コイツには次世代の新技術がふんだんに詰め込まれている、まるで宝石のようなバイクなのだ。
下村は言葉を失ってしまう。






だが、そんな様子の下村を見てレイは、急に話題を変えた。

「ねっ、それより私、下村くんにお願いがあるの」

髪をなびかせ、楽しそうな表情をしたレイは、とても可愛いらしかった。





「ん?なんだ?」

その笑顔につられ、いつの間にか下村も優しい気持ちで答えていた。





少しはにかむレイ。

「2人で一緒に走らない? 《 零 》 の事もっと知りたいでしょ」






今度は真っ直ぐに瞳を見つめてきた。

「それに下村くん達、学生時代にさ、 『 峠でオール ! 』 とかよく ヤッ(走)てたでしょ。私もそれを ヤッ(走)てみたいの❤」


と、少々照れながら誘う。





黙って頷く下村。それから峠のワインディングを見つめながら、おもむろに答えた。

「ああ。イイね。今日はオールで ヤ(走)ろうか」







今度は悪戯っぽい表情でレイが微笑んだ。







つづく




ブログ一覧 | Def busta≪デフバスタ≫ | タイアップ企画用
Posted at 2016/10/18 23:49:40

イイね!0件



この記事へのコメント
2016/10/20 06:23:36
おはようございます。
コメント失礼します。


バイクは出会い。バイクは物語!
バイクに乗っていると、乗らなかった自分では体験できないような経験や出会いをしたりすることがあると思います。
ここでむらっち2さんと出会うこともなかったかもしれませんし、バイクについてあれこれ教えていただくこともなかったかもしれません。

しかし、、むらっち2さんの物語に登場する女性は魅力的な人ばかりですね笑
現実もこうあってほしいですw
コメントへの返答
2016/10/20 07:58:48
ありがとうございます♪

元々は出会いの物語を書きだしたのが始まりなんですよ^^

Def busta はこの後、第二章Recovery lineと
第三章legacy(レース編) へと続き
一気に完結編へと向かいます!

もちろん魅力的な女の子も登場させますw
2016/10/20 06:52:06
おはようございます。
コメント失礼します。


バイクは出会い。バイクは物語!
バイクに乗っていると、乗らなかった自分では体験できないような経験や出会いをしたりすることがあると思います。
ここでむらっち2さんと出会うこともなかったかもしれませんし、バイクについてあれこれ教えていただくこともなかったかもしれません。

しかし、、むらっち2さんの物語に登場する女性は魅力的な人ばかりですね笑
現実もこうあってほしいですw
コメントへの返答
2016/10/20 08:03:26
あと、クルマ小説も書いているのですが、そちらも準備が整い次第、ここで発表させて貰います!

ちなみに、クルマ小説 「White grenade ホワイトグレネード」 の主人公は女性です♪
2016/10/21 13:47:12
おはようございます。
コメント失礼します。


バイクは出会い。バイクは物語!
バイクに乗っていると、乗らなかった自分では体験できないような経験や出会いをしたりすることがあると思います。
ここでむらっち2さんと出会うこともなかったかもしれませんし、バイクについてあれこれ教えていただくこともなかったかもしれません。

しかし、、むらっち2さんの物語に登場する女性は魅力的な人ばかりですね笑
現実もこうあってほしいですw
コメントへの返答
2016/10/21 14:10:45
定期的にボチボチ更新していきます♪


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