『堤防決壊』・『浸水被害』、「防災の日」直前に

「土砂災害警戒区域」指定増える　県内、4647カ所

　県は土石流などの恐れがある範囲を示す「土砂災害警戒区域」の指定を進めている。２０１４年の広島豪雨災害などを受けて力を入れており、７月１５日現在の指定数は４６４７カ所で、１４年度末に比べて３６・５％、１２４２カ所増加した。県は本年度、指定前の基礎調査に要する予算を増額して対応を急ぐが、対象と見込まれる危険箇所数は北海道・東北で最多の１万４３４８カ所あり、調査は１９年度までかかる見通し。指定を住民の的確な避難行動に生かせるか、市町村の取り組みが重要だ。

　県によると、指定の内訳は土石流が２２１４カ所、急傾斜地の崩壊が２４３３カ所。このうち、著しい危険がある特別警戒区域は土石流が１８９７カ所、急傾斜地の崩壊が２３７６カ所に上る。

　県の基礎調査は０３年度、指定の取り組みは０４年度に始まった。１６年度は土砂災害対策の強化のため、調査費として前年度比２・１倍の６億２７００万円を確保。調査の終了数は７月１５日時点で７９３７カ所となり、１４年度末より６２・０％、３０３９カ所増えた。

　従来は警戒区域の指定後の公表だったが、土砂災害防止法の改正に伴い、住民が早い段階で危険性を認識できるよう県は昨年３月から基礎調査の結果段階で県のホームページに公表している。
(2016/08/27)岩手日報


早めの避難心掛けを　河川の氾濫や土砂災害警戒
【イラスト＝台風災害の注意点と避難行動】

　強い台風１０号は３０日、本県に最接近する見込み。猛烈な雨による河川の氾濫や低地の浸水、高潮、土砂災害への厳重警戒が必要だ。避難勧告などの情報を理解し適切な行動につなげたい。

　平年の１カ月雨量を超えるような大雨が短期間で降った場合、本県でも北上川水系の増水や氾濫、急傾斜地の崖崩れなどの恐れがある。東側から上陸することで北上高地の降雨量も増え閉伊川など沿岸に注ぐ河川も増水の警戒が必須だ。

　災害発生時や発生の恐れがある場合、市町村が発令するのは緊急性の高い順に避難指示、避難勧告、避難準備情報となる。避難は住民の自主的判断に委ねられるが、過去の水害では床上浸水してから避難するケースもみられた。夜間や水かさが増してからの避難は水路やマンホールへの転落などのリスクが伴い、早めの避難が肝要だ。高齢者や乳幼児がいる場合はさらに早い行動を心掛けたい。

　半地下道路や急傾斜地の危険箇所を把握し、台風来襲時の水路や田畑の見回りも避けたい。また、小規模河川の浸水被害の場合は、移動の危険性などから建物の２階に避難する「垂直避難」の選択肢もある。

　県総合防災室の会川雅行危機管理監は「気象予報や河川状況に応じて避難情報が出される。住居地のリスクを認識し、早めに対応してほしい」と呼び掛ける。

(2016/08/30)岩手日報


台風10号、きょう30日本県最接近　猛烈な雨警戒

　強い台風１０号は２９日、日本列島の南海上を北寄りに進んだ。暴風域を伴ったまま３０日夕にも東北に上陸する恐れがあり、同日夕から夜に本県へ最接近する見通し。気象庁によると、台風が東北の太平洋側に直接上陸すれば、１９５１年の統計開始以来初となる。盛岡地方気象台は「人命に関わる災害が発生する恐れがある」として、観測史上最大級の大雨による土砂災害や浸水、河川の氾濫のほか、高潮や高波、暴風への厳重な警戒を呼び掛ける。

　台風は２９日午後９時現在、東京・八丈島の東約３５０キロを時速約２５キロで北東に進んだ。中心気圧は９６０ヘクトパスカル。直撃が懸念される県内では同日、各地で住民が対応に追われた。２６日の大雨で中心部が冠水した一戸町では、町職員が土のう約８００袋を準備した。

　同気象台によると、予想される２４時間雨量は、多い所で３０日午後６時まで沿岸３５０ミリ、内陸２５０ミリ。３１日午後６時までは１００～２００ミリ。３０日夕から夜は１時間８０ミリの猛烈な雨の所もある見込み。大雨に関する特別警報を発表する可能性があるという。

　東日本大震災で地盤沈下し、防潮堤が整わない沿岸では、高潮への警戒も必要だ。大潮の時期で、３１日の満潮時刻は宮古港午前１時４９分、大船渡港同２時。台風の最接近時に重なる懸念もあり、河口付近や低地では浸水の恐れがある。

　３０日にかけて予想される最大瞬間風速は海上５０メートル、陸上は沿岸と内陸とも３５メートル。波の高さはうねりを伴い１０メートル。昼すぎから夜遅くまで海上を中心に猛烈な風やしけとなる見込み。

　県教委によると２９日午後３時現在、県内の小中学校１３４校、義務教育学校１校、県立高校１９校、特別支援学校３校が３０日の休校を決めた。青森県弘前市で同日開催する予定だった北海道・北東北知事サミットは中止となった。

　交通機関は３０日の運休や欠航を決めた。ＪＲ東日本は東北線（一ノ関―盛岡駅間）で午後１時ごろから運休が見込まれるほか、八戸、大船渡、山田、釜石、花輪、北上の各線でも午前１０時ごろから順次運休する予定。ＩＧＲいわて銀河鉄道も午後３時ごろから上下全線３３本を運休する。

　日本航空は同日の花巻空港発着便を全便欠航する。花巻―名古屋線を運航するフジドリームエアラインズは、始発往復便の運航の可否を同日早朝決定し、以降の３往復便は欠航する。県交通は県内と県外を結ぶ高速バス（６路線２４本）の全便を運休する。

(2016/08/30)岩手日報


岩泉町のグループホームで９人遺体　台風１０号被害

　台風１０号の暴風雨の影響で、北海道と東北各地では３１日、堤防の決壊や浸水の被害が相次いだ。岩手県警は同県岩泉町内の高齢者施設付近で入所者とみられる男女９人の遺体を発見。同町の小本川の川岸では高齢男性の遺体が発見された。久慈市でもがれきの中から高齢女性の遺体が見つかった。北海道では３人が行方不明になった。

　岩泉町社会福祉協議会によると、９人の遺体が見つかったのは、小本川の近くにあり、認知症患者を受け入れるグループホーム「楽（ら）ん楽（ら）ん」。木造平屋建てで、入所定員は９人だった。隣接する高齢者施設「ふれんどりー岩泉」から入所者ら７０～８０人を県内の病院などにヘリコプターで搬送した。症状が重い人はいない。

　岩手県によると、小本川では３０日夕から水位が上がり始め、同日午後７時には堤防を越える５・１メートルに達し、１時間後に６・６メートルになった。９人は施設に押し寄せた水や流木に巻き込まれたとみられる。

【写真＝台風１０号の被害を受け、複数の遺体が確認された高齢者施設付近＝３１日午前８時４２分、岩手県岩泉町（共同通信社機から）】

(2016/08/31)岩手日報


≪くだめぎ？≫
　"盛岡地方気象台は「人命に関わる災害が発生する恐れがある」として、観測史上最大級の大雨による土砂災害や浸水、河川の氾濫のほか、高潮や高波、暴風への厳重な警戒を呼び掛ける。"

と発表したことが空しい。家畜農家など仕事柄離れられない方々もいるが、少なくとも「子供」「高齢者」の人命が守られたがは・・・。