2016年06月24日
イギリスがEUを離脱することがほぼ確実になった。このニュースは世界を駆け巡り金融マーケットは大波乱。 日本にとってもリーマンショックを超えるダメージを与えることが予想され、対応にてんやわんやしている。 超円高時代の再来となったら輸出関連企業は打つ手がないので、各国の協調介入に期待するのみです。
自動車メーカーでは1984年にいち早く英国に進出した日産、その後ホンダ、トヨタも進出し、最近工場の拡張をしたばかり。 ソニー、NEC、松下など総合電器メーカーの全てと半導体のNEC、セイコーエプソン、キャノンなど、ほとんどのOA機器メーカーに加え、電気部品ではサンケン電気、アルプス電気、京セラ、村田製作所、自動車関連ではデンソー、カルソニック、オギハラなど、トータルで約1000社がなんらかの拠点をイギリス国内に設置し、大規模工場が数多く稼働しているのである。 EU域内での輸出入に関税がかかるようになったら逃げださざるをえないが、当然余計な投資が必要になり日本企業にとっては痛手以外のなにものではない。円高とのダブルショック!!
5億人の人口を擁する巨大な経済圏が音を立てて崩れていく。GDPで米国に対抗するという目標を立てた壮大な社会実験は失敗に終わるのだろうか?
イギリス国内の生産工場と年間生産台数
トヨタ(バーナストン) : 190万台
ホンダ(ウィルシャー州スウィンドン) : 15万台
日産(サンダーランド) : 50万台
3社ともイギリスに欧州域内での主要生産工場を設置しているが、その理由はイギリスが自国の自動車産業の衰退を補うため雇用対策として積極的な企業誘致をしたことと、英語圏を日本企業が好んだ結果であろう。 ちなみにリーフはサンダーランド工場で生産され欧州各国へ輸出されているので、EU脱退となると10%の関税がかかることになります。 利益率確保のための値上げが許容されない上、短期間での工場移転や他国にある欧州域内の工場での大幅な増産は困難なので、日産は生産台数が減って困っているルノーのフランス国内の工場を活用することになるかもしれません。
イギリスの完全な離脱にはEUの基本条約 50条で定められたルールに沿って手続きをしなければならないので約2年間の猶予期間があります。その間に関税に関するルール作りがおこなわれるが、再度国民投票をおこなってEU離脱を”やっぱりやーめた”なんてこともありうるので、日本企業は静観しているしかない。 もともとEUを脱退したがっていたドイツの今後のふるまいがEUの命運を握ることになりそうです。 EUの隠れた目的がドイツの暴走を抑え込むためだったのに、その国が欧州全体の行き先を決めることになるとはなんとも皮肉な話です。
EU崩壊のきっかけを作ったのがイラク戦争とその後のISの台頭であったことから、アメリカがフセイン政権を転覆させたのは結果として自国の優位を確固たるものにする手段であったと結論づけることができる。 日本は国際情勢の流動にただ押し流されるのみというのがなんとも歯がゆい。
Posted at 2016/06/24 14:13:48 | |
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