2015年11月の封切り以来1年と3ヶ月が経過しても
未だに高い人気を誇る「
ガールズ&パンツァー劇場版」
低迷を続ける日本映画館業界に「映画を音を楽しむ」という
希望を灯した事でも知られる同作において、
その特別音響調整の最後発として先日急遽告知された
「
イオンシネマ名古屋茶屋でらULTIRA特盛りセンシャラウンド9.1ch上映」
私も地元名古屋のガルパンファンとして
突然舞い降りたこの千載一遇のチャンスを逃す訳にも行きません。
という事で、その初回上映に行ってまいりました。
ガルパンではウルティラナイト上映等で
東海地方ではもうすっかりおなじみになったイオンシネマ名古屋茶屋。
2014年6月の開業以来まだ2年半しか経過していませんが、
新しい映画館であるが故に最新のドルビーアトモスを備えている為、
今回のセンシャラウンド9.1chも実現した訳ですね。
今回は多くのファンからの熱い要望にやっと応える事ができたという事で、
初日の24日は劇場入口周辺の全ての液晶モニターが、
「岩浪音響監督監修・でらULTIRA特盛りセンシャラウンド9.1ch爆誕!」で
埋め尽くされてました。
とても上映開始から1年以上経過している映画の扱いではありません。
劇場側の本気っぷりも見えて面白いですね。
上映シアターはもちろん10番スクリーンの
ドルビーアトモス搭載ULTIRAシアター。
最新設備ではありますが
その本領を発揮する機会が今までほとんど無く、
やっと訪れたと言っても過言ではありませんね。
何せ国内で上映されるほとんどの映画は
元がドルビーアトモス制作であっても
上映時はそれを生かされていない状態で上映されているので。
さて、全国各地のガルパン特別音響上映ではいつも
その音響監督である岩浪さんのトークショーが行われており、
今回の名古屋茶屋でも最初のTV版一挙上映前に行われました。
※トークショー中のみ写真撮影OKでした。
今回のトークショーでは岩浪音響監督と
イオンシネマ名古屋茶屋の支配人の久田さん、
そして後からゲストとしてショウゲートの配給の方の3人が登壇しました。
最初は久田さんと岩浪さんのお話で、
今回の名古屋茶屋で9.1ch上映の実現までに
幕張や姫路に対しこれだけ時間が開いたのは
イオンシネマ名古屋茶屋が開業からまだ2年半で実績が無く、
上層部が特別音響上映の許可を
なかなか出してくれなかったからと久田さんが頭を下げながら。
ちなみに支配人の久田さんは「久田と書いて”きゅうでん”と読む」事から、
岩浪さんからは「きゅうちゃん」と呼ばれていて、
9.1chとかけてきゅうちゃんなのだと(笑
他にも岩浪音響監督は母方の実家が愛知県刈谷市で、
愛知県はゆかりのある場所なのだと若い頃過ごした思い出話とかも。
そして劇場版4DXが2016年の1月に突然企画されたのは、
元々4DXというのは韓国で生まれたもので、
そのプログラムを制作した人が韓国軍の戦車乗りだった事もあり、
戦車ものだから合うのでは?
という感じでやってみたら思った以上にうまくいって
ガルパンヒットの後押しになったとか、
立川シネマシティの極爆がきっかけで
重低音爆音上映をウリにする劇場が立川に習って
塚口、福山、静岡、川崎と全国に4箇所も追って誕生し、
これら全部ガルパンが火付け役になったとか。
そこから段々とガルパン劇場版の制作当時のヤバいお話や
ソードアート・オンライン等の他の映画も含めて音響に関するお話とか
とても公にできないぶっちゃけたお話が次々と出てきて
途中からのぶっちゃけ話はネットに書いちゃダメと連呼されるほどに(^^;
「前も後ろも崖っぷち」とか(笑
そんな感じで
岩浪音響監督も直前にツイートしてた通りの
とても濃密なトークショーとなりました。
他の特別音響上映館でもこんなトークショーがあったのでしょうか、
そういうのもBDに収録したりすると
全国のガルパンおじさんに喜ばれそうですね。
…実現は難しいかな?
という感じで、濃ゆいトークショーの後は
でら特盛り9.1chでのTV版全12話一挙上映へ。
以前のウルティラ一挙上映の時に比べると、
最初の方はあまり派手さは無く、
その分非戦闘時の生活感や劇伴音楽の音がとても豊かに鳴っていて
これまで何度も見てきたTV版でさえ、新しい音の発見が多かったですね。
音で空気感がすごく出ていて、これ本当にTVアニメ?と思うほどに。
そして戦闘シーン、序盤の聖グロリアーナ戦では
ウルティラの迫力はあえて抑えめにして、
音の鳴り方等がわかりやすくなっていたように感じられましたが、
サンダース、プラウダと続くにつれて派手さが増していき
ウルティラらしい低音の利いた立体音響と
THXのような自然な音の向きと鳴り方が合わさったような感じでした。
最後の黒森峰戦はそこにもうひと段階派手さが乗った感じで
TV版は徐々に力強くなっていったように思えました。
続いてのOVAアンツィオ戦は元の音声素材の影響か、
TV、OVA、劇場版の3種の中で最も音の派手さがありました。
これは以前のウルティラ上映でも同じ違いを感じましたが、
そのせいかTV版と劇場版よりも9.1ch化の恩恵が
少しだけわかりにくかったようにも思えました。
全体的に元の音圧がありすぎたのかなという感じで。
ただこれも音の鳴り方が明らかに前のウルティラとは違っていた感じです。
そして最後に劇場版。
やはり劇場版はTV版やOVA版とは
元から音の作りが違っていた事がよくわかりました。
OVA版も劇場イベント上映を踏まえて作っている訳ですが、
劇場版とはやはりレベルが違うという事が
ウルティラ上映以上によくわかります。
今回の茶屋でら特盛り9.1chの最大の特徴は
劇伴音楽(BGM)の鳴り方が今までと違うのがはっきりわかる点だと
それが劇場版ではより明確に気付かされます。
言うなれば、劇場版本来の音響設定であるTHXと
重低音+立体音響のウルティラナイトの良いとこ取りというような感じで、
茶屋ウルティラナイトの初回上映で特に目立っていた
履帯の派手な金属音はラストバトル以外はかなり鳴りを潜め、
これにTHXの持つ自然な音の鳴り方と向きが加わり、
ウルティラらしい重低音がそこへ深みを加えてきて、
さらに臨場感を越えた「音の空気感」が重なった感じ。
そして効果音やセリフが全く無い音楽だけの場面等では
その劇伴音楽の美しさに酔いしれるくらいに
音楽の暖かさと音色の豊かさが
ふわっと包み込んでくる感じで流れていたように思えます。
とにかく音楽の良さを再認識させられるようなセッティングでした。
私は全国各地の特別音響上映を渡り歩いたという程ではありませんが、
自分が体験してきた特別音響上映を振り返ると、
今回の名古屋茶屋のでら特盛りセンシャラウンド9.1chは
ガルパン特別音響上映の総決算的な感じになっているのではないかなと、
そんな風にも感じました。
今までのを全部盛り込みましたっていうか。
だから「でら特盛り」なのかな?
身体の内側から響くような立川シネマシティの極上爆音上映、
四方からの低音パンチと包まれ感のある立体音響のウルティラ、
突き上げるような重低音と派手な金属音が響き渡るウルティラナイト、
美しく澄んだ鳴り方で音の綺麗さに心を惹きつけられるTHX…。
それらの良いところが全部盛り込まれつつも、
日常シーンの効果音から劇伴音楽まで
全ての音が互いに尊重し合ってるようなバランスの良さと
戦車戦のカッコ良さを引き立てる戦闘シーンの迫力、
どれもが際立っている感じが
ガルパン音響の総まとめ的に思えたのかもしれません。
名古屋茶屋は今回で特別音響上映の実績ができた事もあって、
今後のガルパン最終章でもまた音響調整に来るだろうと
岩浪音響監督は仰っていました。
茶屋と同じ設備を持つ京都桂川等でも
もしかしたら今後ガルパン特別音響上映が行われるかもしれませんね。
岩浪音響監督はガルパンを通じて
映画を音で楽しむ事を広げていって欲しいとも言っていました。
家庭ではまず再現・体験のできない
劇場ならではの楽しみ方が無いと、
映画館はどんどん苦境に立たされていって
閉館が増えたり寂れていってしまうかもしれないので、
こういう映画館ならではの楽しみ方が
もっと多くの人に伝わって行くと良いですね。
【 ガールズ&パンツァー劇場版 上映スタイルまとめ 】
01.通常上映 (全国77劇場+α)
02a.極上爆音上映「センシャラウンド・ファイナル(サンダース風)」 (立川シネマシティ a-Studio改装前)
02a+.極上爆音上映「センシャラウンド・ファイナル Live(サンダース+継続風)」
(立川シネマシティ a-Studio改装後)
02b.極上爆音上映「センシャラウンド・ファイナル(プラウダ風)」 (立川シネマシティ b-Studio)
02c.極上爆音上映「センシャラウンド・ファイナル エクストラ6.1ch」(立川シネマシティ 6/18~)
02d.極上爆音上映「センシャラウンド・ファイナル・アルティメットバイブレーション」(立川シネマシティOVA)
02e.極上爆音上映「センシャラウンド・ファイナル・アルティメット7.1ch」(立川シネマシティTV一挙)
02f.極上爆音上映「シン・センシャラウンド・ファイナル6.1ch」(立川シネマシティ劇場版第5形態)
03.THX上映 (イオンシネマ小樽/海老名/大宮/近江八幡/戸畑)
04.重低音轟撃上映「サンサン・センシャラウンド(アンツィオ風)」 (塚口サンサン劇場改装前)
04+.重低音轟撃上映「センシャラウンド・アライブEX」(塚口サンサン劇場改装後)
重低音轟撃上映「CV33センシャラウンド・アライブ」(塚口サンサン劇場改装後OVA版)
重低音轟撃上映「センシャラウンド・アライブ5.1ch立体音響」(塚口サンサン劇場改装後TV版イッキ見)
05.4DX通常版 (全国37劇場 水戸は特別調整のみ、平和島は通常と特別調整併映)
06.4DX水戸「センシャラウンド・ネクストディメンション(黒森峰風)」 (シネプレックス水戸)
07.4DX平和島「センシャラウンド・ノーリミット(聖グロ・ローズヒップ風)」 (CS平和島)
08.4DXエクストリーム上映 (シネマサンシャイン平和島/他)
09.ウルティラ上映 (イオンシネマ幕張副都心/名古屋茶屋/港北NT/和歌山/京都桂川/岡山)
10.ウルティラナイト上映 (イオンシネマ春日部/和歌山/名古屋茶屋)
11.ウルティラ・センシャラウンド9.1ch (イオンシネマ幕張新都心)
12..imm sound上映「センシャラウンド・クリア(知波単風)」 (シネマサンシャイン平和島)
13.グランシアター上映 (イオンシネマ岡山)
14.TCX上映 (TOHOシネマズららぽーと船橋/日本橋)
15.福山駅前シネマモード激音センシャラウンド (福山駅前シネマモード)
16.ウシオプレミアムシアター・センシャラウンド9.1ch (アースシネマズ姫路)
17.チネチッタ LIVE ZOUND センシャラウンド ムービーフェスver. (川崎チネチッタ)
18.でらULTIRA特盛りセンシャラウンド9.1ch (イオンシネマ名古屋茶屋)
19.大洗凱旋特上爆音上映会 (茨城県大洗町文化センター)
※4DXは劇場によってセッティングや演出に違いがあります。