以前にWeb上で見かけたRX-8の故障診断コード(以下、DTC)についてまとめて一覧にしたブログを書きましたが、今回はパワートレイン系のDTCの内容についてもう少し詳しく紹介したいと思います。
https://minkara.carview.co.jp/userid/507493/blog/29143168/
■P0031 フロントO2センサ・ヒータ制御系統:電圧低い
検出条件:フロントO2センサ・ヒータをOFFにしているのも関わらず、フロントO2センサ・ヒータ制御電圧がバッテリ電圧の25%以上の場合
フェイルセーフ:燃料フィードバック制御を停止する
考えられる原因:フロントO2センサ・ヒータの不具合、コネクタ・端子の不具合など
■P0037 リヤO2センサ・ヒータ制御系統:電圧低い
検出条件:リヤO2センサ・ヒータをOFFにしているのも関わらず、リヤO2センサ・ヒータ制御電圧が57%以上の場合
考えられる原因:リヤO2センサ・ヒータの不具合、コネクタ・端子の不具合
補足:私の8でこのDTCが出た事があります。エンジンチェックランプ(エンジン警告灯、以下MIL)が点灯するタイミングはエンジンを始動して数秒後で、MILを消去しても同じタイミングで必ず点灯しました。新品のO2センサー(N3H3-18-861B 10,500円)に交換したら直りましたが、原因は02センサーのヒーター制御の断線でした。これは私の推測ですが、エンジンオーバーホールした車両だと一ヶ月以内にこのDTCが出やすい傾向があります。
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■P0123 スロットル・ポジション・センサ No.1 系統:高入力
検出条件:スロットル・ポジション・センサ No.1 電圧が4.8V以上の場合
フェイル・セーフ:アクセル・ペダル開度に上限を設定し、出力を制限する
考えられる原因:スロットル・ポジション・センサ No.1の不具合、コネクタ・端子の不具合、スロットルボデーのハーネスの断線・GND系統への短絡
■P0131 フロントO2センサ系統:電圧低い
検出条件:フロントO2センサ電圧が1.8V以下、またはフロントO2センサ出力電流が-5mA以下の場合
フェイル・セーフ:燃料フィードバック制御を停止する
考えられる原因:フロントO2センサの不具合、コネクタ・端子の不具合
■P0138 リヤO2センサ系統:電圧高い
検出条件:リヤO2センサ電圧が1.2V以上の場合
考えられる原因:リヤO2センサの不具合、コネクタ・端子の不具合
■P0139 リヤO2センサ系統:応答遅れ
検出条件:燃料カット制御を実行時、リヤO2センサ電圧が反転するのに要する時間を測定し、その平均時間が規定値以上の場合
考えられる原因:リヤO2センサの不具合、コネクタ・端子の不具合、燃圧の異常、排気の漏れ、パージソレノイドバルブの不具合、バキュームホースの配管不良、キャタリストコンバーターの不具合、2次エア噴射制御の不具合、エンジン内部損傷
補足:後期型でRE雨宮 スポーツキャタライザー装着車両は、同DTCを検出する事がある。対策済みの雨宮キャタであっても完全には解決されていない。
■P0171 燃料噴射制御系統:空燃比リーン
検出条件:燃料フィードバック制御を実行している場合、燃料フィードバック補正量と燃料学習補正量の和が規定値以上の場合
考えられる原因:フロントO2センサの不具合、排気の漏れ、吸気の漏れ、パージソレノイドバルブに接続されるバキュームホースの配管不良、エアフロセンサの不具合、フューエルポンプ制御の不具合、燃圧の以上、点火装置系統の不具合、エンジンの圧縮圧力の異常、フロントO2センサ・ヒータの不具合、パージソレノイドバルブの不具合、フューエルインジェクタの不具合、ガス欠、粗悪燃料の使用、失火
補足:ターボ化などでサブコンを装着している車両だと出やすい。
社外エアクリーナーを装着している車両で同DTCを検出した場合には純正エアクリーナーに戻すと直ることがある。また、レーダー探知機をOBDII接続していると同DTCを検出することがある。
■P0172 燃料噴射制御系統:空燃比リッチ
検出条件:燃料フィードバック制御を実行している場合、燃料フィードバック補正量と燃料学習補正量の和が規定値以下の場合
考えられる原因:フロントO2センサの不具合、排気の漏れ、吸気の漏れ、パージソレノイドバルブに接続されるバキュームホースの配管不良、エアフロセンサの不具合、フューエルポンプ制御の不具合、燃圧の異常、エンジンの圧縮圧力の異常、フロントO2センサ・ヒータの不具合、パージソレノイドバルブの不具合、フューエルインジェクタの不具合、失火
補足:ターボ化などでサブコンを装着している車両だと出やすい。
A/Fセンサー(フロントO2センサー)やエアフロセンサーの故障。コレクタータンクの故障。また、OBDIIポートに水温計などの機器を接続していると同DTCを検出することがある。
■P0301 フロントロータ失火
■P0302 リヤロータ失火
補足:点火系のトラブルで同DTCが検出される事がある。イグニッションコイル交換で直った車両もいる。P0301については、後期型でオグラメタルクラッチや250Lightなど軽量クラッチに交換していると同DTCを検出することがある。
■P0335 エキセントリック・シャフト・ポジション・センサ系統:回路異常
検出条件:吸入空気量が2g/s以上であるのにも関わらず、エキセントリック・シャフト・ポジション・センサ信号が入力しない場合
フェイル・セーフ:エンジンを停止する
考えられる原因:エキセントリック・シャフト・ポジション・センサの不具合、コネクタ・端子の不具合、エキセントリック・シャフト・ポジション・センサのハーネスの断線・GND系統への短絡、エキセントリック・シャフト・ポジション・センサへの金属片の付着
■P0351 イグニッションコイル (T/F) 系統:回路異常
検出条件:イグニッションコイル (T/F) をONしている時、イグニッションコイル (T/F)制御電圧が規定値を外れる場合
考えられる原因:イグニッションコイル (T/F) の不具合、コネクタ・端子の不具合、イグニッションコイル (T/F) ~PCM端子間ハーネスの断線・GND系統への短絡
補足:RX-8でMIL点灯だとイグニッションコイル破損である率が高い。L:リーディング、T:トレーディング、F:フロント、R:リヤ。T/R破損:P0352、L/F破損:P0353、L/R破損:P0354。
イグニッションコイルは1本だけでなく4本とも交換がお勧め。MIL点灯しなくても5万km毎に新品交換を推奨。
■P0410 2次エア噴射制御系統:システム異常
検出条件:2次エア噴射制御を実行しているのにも関わらず、フロントO2センサ出力電流が規定値以上の場合
考えられる原因:2次エア噴射制御の不具合
補足:エアフロセンサーの不良/汚れが原因で同DTCを検出する事があるので、エアフロセンサーのチェックを推奨。また、触媒崩壊している恐れあり。
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また、後期型にLEG製パワーエキマニ50を装着すると、同DTCが点灯する事がある。原因としては、2次エアポンプに送る配管が細すぎる事が考えられる。
■P0420 キャタリスト (触媒) コンバータ系統
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補足:後期型でエキマニ・キャタライザーを社外品に交換している車両での発生率が高い。また、後期型で同DTCが繰り返し点灯する場合は触媒崩壊している可能性あり。
■P0562 システム電圧:電圧低い
検出条件:バッテリ電圧が2.5V以下の場合
考えられる原因:バッテリーの不具合、コネクタ・端子の不具合、バッテリー端子~PCM端子間ハーネスの断線・GND系統への短絡・フューズの損傷
■P0610 PCM・コンフィグエラー
検出条件:PCMに車両固有情報が正しく登録されない場合
考えられる原因:PCMが正しくコンフィグレーションされていない
補足:このDTCが検出される車両のほとんどが○○○らしい。某パーツを交換してアレすれば直るケースもあるようだが・・・。
■P0661 SSV ソレノイド・バルブ系統:電圧低い
検出原因:SSVソレノイド・バルブをOFFにしているのにも関わらず、SSVソレノイド・バルブ制御電圧が5.8V以下の場合
考えられる原因:SSVソレノイド・バルブの不具合、コネクタ・端子の不具合、メイン・リレー~SSVソレノイド・バルブ間ハーネスの断線・GND系統への短絡、SSVソレノイドバルブ~PCMハーネスの断線・GND系統への短絡など
■P0662 SSV ソレノイドバルブ系統:電圧高い
検出条件:SSVソレノイド・バルブをOFFにしているのにも関わらず、SSVソレノイド・バルブ制御電圧が11.5V以上の場合
考えられる原因:SSVソレノイド・バルブの不具合、コネクタ・端子の不具合、SSVソレノイド・バルブ B端子~PCM 1L端子間ハーネスの電源系統への短絡
■P0850 ニュートラルスイッチ入力系統:回路異常
検出条件:車速が30km/h以上の走行を8回繰返しているにも関わらず、ニュートラル・スイッチ信号が切換わらない場合
考えられる原因:ニュートラル・スイッチの不具合、コネクタ・端子の不具合、ニュートラル・スイッチ~PCM間ハーネスの断線・GND系統への短絡
補足:8のDTC定番の一つ。ハンチングの症状が出る事がある。ニュートラルスイッチの接触不良が原因で、同パーツの交換で直る事が多い。
■P2122 アクセル・ペダル・ポジション・センサ No.1 系統:低入力
検出条件:アクセル・ペダル・ポジション・センサ No.1 電圧が0.3V以下の場合
フェイル・セーフ:アクセル・ペダル開度に上限を設定し、出力を制限する
考えられる原因:アクセル・ポジション・センサ No.1の不具合、コネクタ・端子の不具合、アクセル・ペダル・ポジション・センサ~PCM間ハーネスの断線・GND系統への短絡
補足:後付のスロットルコントローラーが原因の可能性が高い
■P2257 2次エア噴射ポンプ・リレー制御系統:電圧低い
検出条件:2次エア噴射ポンプを作動していないにも関わらず、2次エア噴射ポンプ・リレーの制御電圧が5.8V以下の場合
考えられる原因:2次エア噴射ポンプ・リレーの不具合、コネクタ・端子の不具合、メイン・リレー C端子~2次エア噴射ポンプ・リレー A端子間ハーネスの断線・GND系統への短絡、2次エア噴射ポンプ・リレー E端子~PCM 40端子間ハーネスの断線・GND系統への短絡
補足:ターボ化などでサブコンを装着している車両だと出やすい
■P2259 2次エア噴射ソレノイド・バルブ制御系統:電圧低い
検出条件:2次エア噴射ポンプを作動していないにも関わらず、2次エア噴射ソレノイド・バルブ制御電圧が5.8V以下の場合
考えられる原因:2次エアソレノイド・バルブの不具合、コネクタ・端子の不具合、メイン・リレー C端子~2次エア噴射ソレノイド・バルブ A端子間ハーネスの断線・GND系統への短絡、2次エア噴射ソレノイド・バルブ B端子~PCM 10端子間ハーネスの断線・GND系統への短絡
補足:VDIソレノイドバルブ、SSVソレノイドバルブ、2次エア噴射ソレノイドバルブの3種類+約1,000円で3つのソレノイドバルブが同梱されているベンチレーションキットが購入できる
■P2270 リヤO2センサ系統:リーン固着
検出条件:ある条件が成立している時、40秒間リヤO2センサ電圧が0.9V以上の場合
上記のある条件 → 燃料フィードバック補正量:-20~20%、燃料学習補正量:-15~15%、目標空燃比フィードバック制御:制御実行中、冷却水温:70℃以上、エンジン回転数:1,500rpm、吸入空気量:10g/s以上
考えられる原因:リヤO2センサの不具合、燃料フィードバック制御の不具合
DTCの設定がありエンジンブローに直結する部品なのに全然MIL点灯しないのが、前期車両のメタリングオイルポンプ制御系統(P1682~1688)。エンジンブローの原因になったケースでも、同DTCによるMIL点灯は聞いた事がありません。どうやら、前期型の場合は機能しなくなるぐらいに壊れないとMIL点灯しないっぽいです。
前期車両でエンジンオーバーホールする際は、メタリングオイルポンプ、メタリングオイルチューブ、コネクターボルト(オイルジェット)の新品交換はマストです。