先日、隣町の市民ホールに思いがけない珍客が訪れた。春を告げる鳥の一つのメジロだ。ホールの窓にぶつかって動けなくなるところを、ホールでイベントをしていた美術商の家族が保護してくれた。勢いよく衝突したのだろう、美術商の男性の手の中でじっとしたまま身動きできない状態だった。かけつけた市の職員が小さな鳥かごを持ってきてくれて、中に入れた。体はスズメよりも小さめで、緑かかった背や羽の色が美しい。次第に元気を取り戻した。かごの中の止まり木にちょこんと乗っているしぐさは何ともかわいらしい。近くからのぞくと目の周りには白い輪がはっきと確認でき、これが名前の由来かと勝手に納得してしまった。あとで、市役所の職員に聞くと、2時間くらいたって、元気を取り戻して「チー、チー」とさえずり始めので、暖かな春の陽光がまだ残るころに外へ放してあげたそうである。きっと、仲間を呼ぶかのように泣きながら飛んでいたのだろう。久々に思いがけない春の珍客に心が癒された思いである。