シトロエンって、確かにこうだった……みたいな気持ちにさせてくれるクルマでした。一時期、フランス車は(イタリア車もそうでしたが)例外なく「いいクルマ」を目指していたような気がします。でも、多くの人が期待していたのは「いいクルマ」ではなく「いいフランス車」であり、さらにいえばブランドの個性を際立たせてクルマだったのではないでしょうか。
その点、この新型C3はちゃんと「いいシトロエン」しています。フロントマスクやインテリアの、ちょっと前衛的なところなんかかなりそれらしいですし、頭上後方まで拡がる独特の開放感をもたらすゼニスフロントウインドーも見せ場といっていいでしょう。
それからシートの座り心地。前席の座面と背もたれが低反発ウレタンのようにジワーッと体にフィットするあたり、かつてのシトロエンとは違いますが新しい持ち味になるはずです。前席に対して後席がサイズ的に小さく座り心地にも差があることは、このクラスのクルマとしてはしかたがないところです。ただ、ハギハラ並に大柄な男性4名乗車もギリギリセーフなスペースはちゃんと確保されています。
それでも、乗り心地は快適ですし実用回転域を保っていればエンジンは静かなので快適性も上々です。室内の質感も従来モデルと比べればかなり高くなっています。
サスペンションがしなやかに動くところなんかも、まさにシトロエンです。それが基本的には素直な操縦性をもたらし、したたかな接地感も伝えてくれます。直進時に頭を横に揺すられるようないわゆるヘッドトスがわずかに認められました(ステアリングを切りはじめた瞬間の応答性が少しだけあいまいなことも)が、試乗車の走行距離が1000km以下だったのでダンパーが馴染んでくれば気ならなくなる……と思っています。
トランスミッションは相変わらず4速ATですが、変速がスムーズになり制御も日本の道路事情に合うように(少しだけですが)変更されたので扱いにくさは感じなくなっています。100km/hで走っているときのエンジン回転数も3000回転以下なので、燃費が悪そう……みたいな印象を抱かなくなったことが何よりの進化かもしれませんね。
Posted at 2010/05/25 14:34:05 | |
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