偉人伝第十弾　上州の黄班

偉人伝第十弾は後世に上州の黄班といわれる
「ちはやぶる 神代もきかず 龍田川 からくれなゐに 水くゝるとは」の在原業平の後裔
武田晴信には「業正ひとりが上野にいる限り、上野を攻め取ることはできぬ」と嘆かせた
箕輪城主長野業正（1491？年－1561年）
　りょうさいさんの武将絵巻へ
長野信業の二男として生まれ1526年に箕輪城を築くと兄「業氏」が鷹留城主となり父と共に箕輪城を拠点とし勢力を拡大し
（十二人の娘を周囲の城主に嫁がせ西上州の盟主となり長野十六本槍を編成、筆頭長野一本槍は剣聖上泉信綱）

関東管領の執事となり
越後の長尾為景と関東管領上杉憲房との同盟を仲介する。
1528年白井長尾家の長尾景誠が家臣に殺害されるという事件が起こると、景誠には男子が無かったため（景誠は姉が景英に嫁いで生んだ人物）家督相続に介入し、惣社長尾氏から景房を迎えて
白井長尾氏を継がせ実権を握る。

1546年　台頭してきた北条氏を押さえようと主家である山内上杉憲政が扇谷上杉朝定
古河公方足利晴氏と結び連合軍を結成共に参陣し北条氏の河越城を包囲した
連合軍は総勢８万（箕輪衆は1万）対する川越城は城主北条綱成と城兵３千、
小田原より北条氏康の救援８千が到着すると降伏すると見せかけて夜討ちを掛ける。
業正は上杉憲政を退却させるため奮戦し（嫡男吉業は重症を負い戦死する）箕輪城に引き上げる。
そして扇谷上杉は滅亡、古川公方は北条氏の庇護下になる。

上杉憲政が名誉回復にと信濃に出兵、業正にも出兵の要請があったが
「それは無名の戦いであり、御敵は氏康であり、武田を敵にして何の益があろうか」と反対したが懇意にした客将を武田に仕官させたのだから戦いたくないだけだとされてしまう。
1551年　北条氏康が３万の軍で出兵すると上杉軍と共に出陣し神流川を挟んで決戦する。
戦いは優勢に進むが北条軍の福島康成に上杉軍本体に突撃されると憲政が退却してしまい、業正も退却するしかなくなってしまう。
しだいに武蔵国、東上州が北条氏の権力下になると氏康は西上州の攻略を武田晴信に依頼し1557年から本格的な攻撃が始まる。
1557年一万三千の武田に対して長野軍２万（箕輪衆一万と一揆軍一万）で戦い武田の出鼻を挫くと総攻撃を行うが一揆軍と足並みが揃わず押し返され退却して箕輪城で防戦する。

1558年業政が吾妻に出陣している留守を攻められるが間道を使って武田軍に夜討ちを掛け散々に荒らし、翌日戦いながら風上に回り込み火をかけて兵糧弾薬を焼いたので武田軍は逃げ帰った。

1559年築城中の安中城を攻め落とそうと甲州から出撃してきた
武田晴信は飯富虎昌に安中城を襲わせ自分は和田城に向かい鼻高に陣を取った。
急を聞いた業政は援軍を率いて碓氷川北岸の武田軍に対峙して陣を張らせた、戦いのきっかけがつかめず両者が半日睨み合っていたところ、急に雨が降ってきたのを受けて業政が兵を山陰に入れた。
雨宿りをするものと思っていた武田軍の背後から突然安中を迂回した業政軍が突入し、信玄が軍を立て直しているうちに里見の雉郷城に引き上げる、
悔しい思いをさせられた晴信は翌日和田城の攻撃を取りやめて雉郷城を取り囲み攻め込んでみると既に業政は鷹留城に向かい城は空だった。
そこで鷹留城に向かうと業政はまたもや鷹留城主に策を授け既に箕輪城に引き上げた後、
鷹留城で反撃にあい、痛い目を見て諦め、箕輪城に向かった武田軍は業政の戦略にはまり攻めても退いても死傷者を出すのみで箕輪城に被害を与えることができなかった。

1560年正月、晴信は再度箕輪城を取り囲んだが前回に懲りて無理押しを避けたところ月の半ばから吹雪となり飢えと寒さに引き退きならない事態に陥ってしまった。
そんな武田軍を見て城内の将兵に酒を振る舞い適度に酔ったところで城から出て甲州勢を襲わせ痛めつけた。

1561年病没　跡継ぎ業盛（業氏）に武田撃退の策を授け「私が死んだ後、一里塚と変わらないような墓を作れ。我が法要は無用。敵の首を墓前に一つでも多く供えよ。敵に降伏してはならない。運が尽きたなら潔く討死せよ。それこそが私への孝養、これに過ぎたるものはない」と遺言した。
これにより業盛は一度は武田軍を撃退するが業正の死を悟られてしまう。
正に「死せる業正、生ける信玄を走らす」である。

一里塚と変わらない？　墓所

現代的に喩えたら大手スーパー、ショッピングモールに対抗する商店街の組合長って感じかな？
他の箕輪城主と懇意にした客将どっちを先にレビューしようかな～