大崩海岸に続いてやってきたのは、大井川の上流。ここにある4つのダム(長島ダム、大間ダム、井川ダム、畑薙第一ダム)を見学することが目的です。本当は別の場所も考えていたのですが、この前日に東海、関東、甲信越にかけて、記録的な大雨が降ったということで、迫力あるダムの放水シーンが見られるのではないかと思い、急遽訪れてみたというわけです。
島田付近から大井川に沿って北上していくと、やがて千頭に到着します。千頭駅構内には原寸大プラレールのような機関車が止まっていました。大井川鉄道名物の「トーマス機関車」です(本来は、「きかんしゃトーマス」か)。これは、トーマスではないということだけは分かりますが、なんのキャラだかはよく分かりません(帰宅後調べてみたら、手前の黒いのが「ヒロ」で、奥の緑色が「パーシー」であろうということが判明。8年ぐらい前はウチの子どもも好きだったので、名前ぐらいは聞き覚えがあります。
ちょうど「トーマス祭り」のようなイベントをやっていたので、せっかくなので見ていこうとクルマを駐車場に止めました。ところが、クルマを降りて周りを見ると、そこはちびっ子のいる家族連ればかり。首からデジイチをぶらさげたおっさんが一人でいるのは、あまりにも場違いで居たたまれなくなり、イベントを見ずにすぐに退散してしまいました。
千頭の駅から県道77号線をさらに北上して、まず訪れたのが長島ダムです。ダム下流側にある「長島ダム ふれあい館」で資料展示の見学と、ダムカードを入手。ここの受け付けの女性の方が非常に親切で、他の3つのダムの行き方やダムカード配布場所などについて、詳しく教えてくれました。
ふれあい館から長島ダム提体を臨む。
下流側はきれいに整備されて公園のようになっており、こちら側から見た提体自体も、あまりダムっぽくない雰囲気です。ここからだと川の水が全く見えないから、というのもあるかもしれません。
ふれあい館は大井川左岸側にありますが、そこからぐるりと回って右岸側へとやってきました。こちらは、ものすごい急勾配の坂を下って、提体間近までクルマで降りてくることができるようになっています。
駐車場の端に、こんな表示が出ているのを発見しました。大樽広場はともかく、「旧井川線トンネルの近道」というのが非常に気になります。
旧井川線と言えば、長島ダム建設に伴い路線の付け替えが行われた経緯がありますが、この付け替えによって、現在では日本国内で唯一となる「アプト式」と呼ばれる特殊な線路が設けられるようになったのは有名な話です。
旧井川線の遺構が、こんなダム本体の間近に眠っているというのでしょうか? 看板によれば、わずか2分でトンネルに出られるようですが、果たして!?
「旧井川線トンネルの近道」の矢印が指し示す方向はこんな感じ。道はダム提体に真っ直ぐ向かっていきます。
とても徒歩2分以内の場所にトンネルがあるようには見えませんが・・・。
ダムの提体にぶち当たった道は階段で下へと続いています。とても廃線跡・廃トンネルが眠っている場所とは思えない雰囲気で、ただのダム管理通路にしか見えません。
しかし進路はこれしかないので階段を降りていきます。
一番下まで降りてきました。目の前にはダム関連の施設と思われる大きなコンクリート製の建物がどーんと鎮座しています。「やっぱりこんなところに廃トンネルなんてあるわけないよナ・・・」と思いかけたその時、コンクリート建物の右側に何やら暗い闇を湛えた空間があることに気がつきます。まさか、これが・・・。
!!
なんと、本当にありました!! よもやこんな現役バリバリのダム提体直下に、ダム建設に伴って寸断された鉄道の痕跡がそのまま残っているなんて・・・。
旧井川線の廃トンネルの存在を確認したので、その中身はお楽しみのデザートとして取っておくことに。まずは現役施設の長島ダムを堪能することにしました。
まずは、豪快に水を放水するジェットフローゲートの近くから提体を撮影。この写真を撮った時は何も思わずこの場所に立ってしまったのですが、この後、これがとても危険な行為だったことを思い知らされることになるのです。
さらに下流側に歩いてくると、ダム提体観賞用のために架けられたと思われる「しぶきばし」があります。もちろん、渡ってみない手はありません。
しぶき橋の上から長島ダムを臨む。これは爽快な眺め!
訪問したこの日は、ジェットフローゲート2門から豪快に放流中でした。ただし、このジェットフローゲートはあくまでも利水&河川維持用ということですので、大雨の影響があっての放流かどうかは定かではありません。ちなみに、提体に設けられた非常用洪水吐きはもちろん、常用の洪水吐きからも全く放流されていませんでした。
ところで、ここからの景色を眺めていて、あることに気づきました。それは・・・。
私がさっき立っていたのはこの場所。立ち入り防止のフェンスがちょうど途切れたところから身を乗り出すようにしてカメラを構えていましたが、そこって、こんなに高い絶壁の上だったんですネ。水面まで軽く20メートルはありそうです。落ちたら間違いなく死んでます。
さて、再び戻ってきた先ほどのトンネル跡。早速、内部へと入ってみることにします。
看板で案内されているほどですから、内部が崩落していたり水が溜まっていたりするようなことは全くありません。トンネルは緩く左にカーブして、その先から光が漏れています。それほど長いトンネルではないようです。
あっという間に反対側まで抜けてしまいました。坑口の両側から光が差し込むので、懐中電灯などの照明器具は特に必要ありません。
トンネルを出てみると、先ほどのしぶき橋のある広場に出てきました。こんなところに出てくるのなら、わざわざ元の場所に戻らずこちら側からトンネルをくぐれば良かったナ・・・。
先ほどもこの辺りをウロウロしていたはずなのですが、トンネルがあることには全く気づきませんでした。緩くカーブしていたこと、青々しい草木にその存在が隠れていたことで見落としてしまったのでしょう。
再びトンネルをくぐってクルマへと戻ることにします。
トンネルの内部には現役当時のものと思われる勾配標がそのまま残っていました。
クルマへ戻るべくダム提体に向かって歩いて行くと、トンネルの向こうには長島ダムの提体がそびえ立っています。この景色は、ダム建設によって鉄道が完全に断ち切られたということがよく分かる、印象的な場面でした。
長島ダムの見学を終え、井川ダム、畑薙第1・第2ダムを目指し、さらに大井川上流へとクルマを走らせます。
が、前日の大雨の影響で土砂崩れが発生し、そこへ向かう道が寸断されていました。これ以上上流へ行くには、いったん千頭まで戻り国道362号~県道60号を経由しなければならないようです。しかしすでに午後1時を過ぎており、時間的にこれらのダムを訪れるのは難しそうでしたので、今回のドライブはここまでとなりました。
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Posted at
2017/10/03 17:12:49