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ニューエッジ・デザインは、1990年代中期から2000年代前半にかけてフォードが提唱し、自社の車で国際的に展開したカーデザインのテーマである。その特徴は、プレスラインによって「金属の折れ線」が明確に表現されたボディパネル、ウインドウグラフィックスや各種のランプなどのパーツ類のコーナーエッジが強調された輪郭線、さらに初代フォーカスのヘッドランプとフロントグリルの関係にみられるような、形と形・線と線を相関的に重ねる（交わらせる）二次元的なディテールの処理などにあった。これらの特徴は、90年代初頭を中心に世界のカーデザインを席巻した有機的なラウンドシェイプ（バイオフォルム）とは、デザインの手法としても印象としても大きく異なるものであった。
ニューエッジ・デザインの始祖は、遡れば1995年のデトロイトショーに出展されたフォードのコンセプトカーであるGT90に認められるが、市販車としては1997年から販売が始まった初代Kaがニューエッジ・デザインを採用した第一号車であった。以来、初代フォーカスや二代目モンデオをはじめとするヨーロッパ・フォードの各車を中心に展開され、その要素は北米やアジアなどのフォード各車にも幅広く応用されることとなった。

クーガーは1998年から2002年までヨーロッパ市場でカタログモデルとされたクーペである。初代モンデオのプラットフォームをベースとする、2ドア＋リアハッチを持った比較的大柄なクーペで、北米と日本では伝統のある「マーキュリー・クーガー」として、マーキュリーブランドを冠して販売された。そのボディデザインはほぼ同時期に発売された初代フォーカスと並んで、まさしくニューエッジ・デザインの思想がストレートに具現化されたものである。フロントエンドは初代Kaのヘッドランプとグリルをよりワイドにしたような印象だが、ボディサイドパネルの彫刻的な面構成、三角形状のドアハンドル、テールランプからバンパーまで連続する明快なパーティングラインなど、これぞキング・オブ・ニューエッジと言いたい、硬質感と尖鋭感のみなぎった造形であった。それは、実用ハッチバック車ほどには機能性とコスト制限が厳格でないミドルクラスの2ドアクーペだからこそ成しえたバランスである。
一方で、インテリアには基本となるモチーフに大きな円弧が使われるなど、やはり初代Kaとフォーカスに相通じるイメージの空間であるが、インパネの意匠は逆にそれら2車ほど跳んでおらず、エクステリアとの一体感には欠ける。

掲載の写真は日本でもごく少数が正規輸入されたマーキュリー・クーガーであり、ボディサイドのドアモールディングやリアスポイラーなどの付加物が装備されているため、造形の純度が薄れて見えるのはやや残念である。実車を見たことがないが、おそらくヨーロッパ仕様のフォード・クーガーのシルバーボディこそが、ニューエッジ・デザインの真髄をもっともピュアに伝える一台である気がする。

いつものGSに給油で寄りました。たまたまそこの洗車機に入っていたパンサーブラックのクーガ。こういう時は無性にうれしくなりますね。こんなふうに、もっともっと当たり前に日々の風景の中でブルーオーバルに出会いたいです。

なんといっても、フォードは世界中の日常に欠かせないカーメーカーですから！

マスタングでは定番のこのストライプ、フィエスタやF-150などにも設定されているフォードではおなじみのドレスアップアイテムです。ローコストで手っ取り早くレーシーなムードが出せるのはフォードの商品性にぴったりですが、どちらかといえば3ドア系のボディにより似合う気がします。5ドアのみの最新フォーカスSTあたりにはオプション設定があるのでしょうか？
我が青いフォーカスセダンにこれを走らせたら、ルノーのゴルディーニっぽくなったりして？？