ウチの黒いのはその辺によく走っているメルセデス、それもC180とCの中では最も非力で更にステーションワゴンという実用車である。W204後期という形式で既に型落ちとなるクルマだ。
スペックも全く大したことが無く、一昔前のダウンサイジングロープレッシャーターボのはしりで1.8L 156ps/5,000rpm、25.5kg/1600rpm〜。ロープレターボ車なら普通といって差し支えない。
実はこの何の変哲も無い「普通」のクルマであるところがとても気に入っている。
メルセデスオーナーとしては初めてとなるこの車で中古のセダンに試乗し目からウロコが落ちた。それまではゴルフ6のロープレターボ+DSGに心奪われ、次は絶対ゴルフ!と思っていたのに、例のディーゼル試験捏造の一件で私の人生は今後VW社と交わることは無いと決めた。そしてメルセデスに乗ったのだ。
自分で乗ってみて分かった。メルセデスは面白くない、刺激がない、メルセデスはどれに乗ってもメルセデス、普通の乗り味だと色んな友人がいう意味が。
しかし私にとっては至高の「普通」である。
低い回転域からリュイーンと掛かるターボ音は、乗りやすさのためにある。踏んですぐ最大トルクが出るこの駆動系セットは、ターボが生まれた意味の初心に戻り、本来の仕事をしている。昨今でこそ電気自動車のトルク特性には劣るものの、ディーゼルターボに次ぐトルク特性に違いない。内燃機関フリークであり、音や高回転域のフィーリングなど、クルマをタダの走る道具と割り切れないドライバーにとっては、ガソリンエンジンは今なお無くてはならない「心臓」である。
ガソリンロープレターボが生む低速トルクはドライバーにとって最善の選択肢のひとつであろう。
さて家族車に求めたいものは色々あるが、そのうちの1つは静粛性、ではないだろうか。
ロードノイズやエンジン駆動音、吸排気音とクルマの走行由来の音は数知れないが、走行中に車中で家族とハッキリ聞き取れる会話がしたい、良い音で音楽を聴きたいと思うのは普通の家族ニーズとしては当然のことだろう。メルセデスW204の車内は音がよく鳴る。そして静かである。
そしてタイヤの選択はこの静粛性に対してとても大事である。ロードノイズはタイヤに依存するところが大きい。せめて純正で選ばれているコンチネンタルのスポーツコンチ5あたりを履けば問題ないが、一度ハイグリップラジアルを履かせて、そのロードノイズの大きさに驚いた。言うまでもなくロードノイズ低減にはタイヤが重要な役割を果たしているのである。
次回は更に静粛性重視のタイヤに振ってみたい。
そして実用車だと言い切ったが、走りも思いのほか悪くないのだ。さすがにオモチャとして持っている趣味車のエリーゼやFD3Sの様にコーナーでクイックにヒラヒラと舞うような乗り方はしないが、太いトルクのおかげで上りのタイトコーナーなどはすこぶる楽である。クイックに振り回したことはないが、1.5トンの車体は落ち着いて、狙った通りの弧を描く様なコーナーリングをする。純正脚もよく動きよく収まる。変な挙動がなくシュッと収まる感じが気に入っている。ダンパーのセッティングが良いのだろう。これでいて乗り心地も良いのだから文句なしである。
レーダーセーフティ、ディストロニックプラスは今までにないドライブ体験をさせてくれた。当初オートクルーズ的な機能に期待は全くしていなかったが、コレなしのドライブは考えられなくなった。
気に入らない点としては…
1.前席足元のオフセット。
センターミッドに置かれたエンジンとミッションのせいで、投げ出した足が真っ直ぐにならない…。MRのエリーゼやFF車で慣れていると気持ち悪い。
フロントミッドにこだわったロータリー13BのFD3Sの凄まじいオフセット感程ではないが、右にオフセットしてしまう様なレイアウトが今ひとつ…。
2.シートポジション
ディーラーでも話したが、そんな苦情は聞いたことがないというセンター側に傾いている様な前席のシート。
明らかにセンター側に傾いている様な気がするのだがなぜ皆に気にしないのか…。
なので、センター側のシートレール下にワッシャを噛ませて15mmほど双方を傾けた。これでだいぶ緩和したが未だ傾いている様な気がする…。
とはいえ、走り良し、機能良し、止まって曲がるもよし、荷物も載って最高の「普通車」はとても気に入っている。
のだが、友人達からは壊れるぞ!と脅されている。壊れる場合はセンサーの老朽化や誤動作、接触不良などほぼ電装系からくる様で、自らのDIY歴で最も苦手な部類。
なるべく壊れないでいて欲しいものだ。
既にヤナセに持って行く気はもうないので、日常整備は全てDIYにしようと移行中。先ずはオイル交換、のタイトル写真である。
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黒メル生活
Posted at
2018/02/12 13:06:48