おはようございます。 厚い雲が空を覆っていて、きょうはお天気くだり坂になりそう。 さて、先週10日(木)にエコイノベーションとエコビジネスに関する研究会(SPEED研究会)で、太陽光発電に関する講演をさせていただく機会がありました。
テーマは、『進化する太陽光発電~大学での研究開発と利用拡大をめざして』。 対象は企業の環境部の方々でしたが、講演後の質疑応答からも 太陽光発電への関心がかなり高まっていることを感じました。
新聞やTV、雑誌などメディアでも、太陽光発電や太陽電池に話題はずいぶん増えましたよね。 カービューのキーワード検索でも、たくさんの記事がヒットしました。 編集部による記事もさることながら、多くのブロガーの方も関心を持っているんですね!
車においても、ソーラーカーや、これからの分散型電源社会に向けたスマートグリッド構築での 蓄電池の役割としてのEVやプラグインハイブリッドなど、 太陽電池との関わりがこれから増えてくるのはまちがいありません。
CO2の排出を減らした低炭素社会の実現、 またエネルギー自給率わずか4%という日本におけるエネルギーセキュリティの意味からも 再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、水力など)を用いた発電の導入を拡大していくことは 不可欠だといわれています。
ただ、日本においては、風力、地熱、水力など立地条件にさまざまな課題があるのが現状です。 そうした中、太陽光発電導入へのポテンシャルは大きく、 日本における政府の導入目標は、2020年までに現状の約10~20倍、 2030年には40倍(80GWp)を掲げています。
太陽光発電は裾野の広い産業なので、ベンチャーなど新たな産業が生まれ、雇用が拡大して、新たなビジネスチャンスが広がる可能性は無限大ともいえますね。
急速に拡大している太陽電池市場では、原料のシリコン不足の解消が課題とされています。
ソーラーカーにも搭載されている化合物半導体系太陽電池など、シリコンを使わない太陽電池の研究開発が進められ、導入シェアを加速度的に広げています。
前置きが長くなりましたが、東京大学先端科学技術研究センターは、 政府が2008年から7年間の予定で、産業技術総合研究所つくばセンターとともに革新的太陽電池国際研究拠点として選ばれ、 目標変換効率40%の高効率で低コストのセルの研究開発をしています。
私が所属する瀬川研究室は、今年3月総合科学技術会議による 「最先端研究支援プログラム」にも選定された「色素増感太陽電池」の研究開発をしています。 (私は技術開発にはタッチしていませんが、情報はフォローするようにしています。)
上の写真は、その色素増感太陽電池です。
(※出典:東京大学先端科学技術研究センター瀬川研究室)
シリコンタイプや化合物とは異なり、pn接合(半導体)を使用しないのが大きな特徴です。代わりに酸化チタンの粒子を色素で着色し、電解液の中にセット。色素に光が届くと、この色素から電子とホールが誕生し、電子は酸化チタンへと吸収されて電極から外の回路に出ます。電化製品を経て戻ってきた電子は電解質の溶液を経て色素へ入ります。光を照射された際に半導体ではなく、色素が光を吸収して発電するわけです。
光があれば蓄電しながら発電できるという特性が次世代低コスト太陽電池として注目されています。また、軽量でフレキシブル、着色できるので色のバリエーションも楽しむことができます。屋根置きタイプのモジュールだけではなく、太陽電池の用途がぐっと広がるので、瀬川研では、現在11の企業と19の研究機関とともに研究開発しています。
きょうはプロローグということで、このへんで。太陽電池はさまざまな種類があり、とってもおもしろいテーマなので、これからこのブログでもいろいろな角度から書いていきたいと思っていま~す。
Posted at 2010/06/13 08:53:44 | |
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太陽電池 | 日記