ショックだ!30分かけて書いた記事が吹っ飛んだ…
PCって便利だけど、残酷だよな。
このまま二行で終了したいところだが、最近気の緩みで痛い目に遭いっぱなしで悔しいから、やっぱり書き直してやる。
さて、気を取り直して、今日は趣味のことについて突然書いてみる。ちょっと雑な文面になるかもしれないが、上記の理由でご勘弁を。
以前、車以外はやらない…と書いたことがあるが、実はしばらく真面目に向き合っていない趣味がひとつある。
車好きには結構多いと思うが、釣りが第二の趣味。
サラリーマン時代は、休日も多かったから、両刀使いの時期もあったけど、どっちも真剣に向き合う必要のあるものなので、今は足が向かない…
釣りを趣味としていない方には、ちょっとピンと来ないかもしれないが、僕らのする釣りは「のんびりとした休日」とは無縁のもの。
もちろん、そういった釣りを趣味とされている方もたくさんいらっしゃると思うが、せっかちな人種のほうに分類される僕は、もっとアクティブに、ヘトヘトになるまでヤル。
=ここから先は、車以外に興味のない方は読まない方が良いと思う。面倒くさくなる…=
釣りは結構いろいろなカテゴリーがあって、その分類の仕方も対象魚で分けたり、釣り方で分けたりなど、結構複雑だ。
深く関わらない人は、「なに釣るの?」「どこで釣るの?」くらいしか聞かないし、「オカ釣り?」(ジジくせー)なんて冷やかすだけの人もいる。
僕が熱心に打ち込んでいたのは、
ヘチ釣り とか
落としこみ釣り と言って、主に堤防や岸壁の壁面についている黒鯛を騙して釣る単純な釣り。
『堤防で黒鯛釣るんだよ。』って言うと、「へーっ!?磯で釣るんじゃないんだ?」なんて驚かれたりするが、僕の育った横浜が発祥の地とされ、明治時代から始まった伝統のある釣り方で、春先から秋口にかけて、釣キチが堤防の上を練り歩いていたという。
いつも世話になっていた渡船屋で、「昔はさ、店の二階に何日も泊り込みで、仕事もしないで釣りばかりしてるキチガイが何人も居たんだよ。」なんて聞いたことがある。
そのくらい奥が深く、おもしろい釣りなんだな。
道具はいたってシンプル。
3M以下の短い竿に、ギヤなんか付いていない糸巻きのようなリール。
人間が見やすいように色の付いた糸の先に、魚が見にくいように透明な糸を繋いで、鈎を一つ結び、その上に1グラム前後のオモリを一つ。
たったこれだけ。
餌は岸壁に付いている貝やカニ。
そいつを壁伝いに流れる潮に乗せて落としていく…
時には50センチも糸が入らないうちにアタリが出ることもあるから、もうこの瞬間からシグナルタワーのランプが全点灯している状態で、瞬きも呼吸も忘れてしまうくらいの緊張感。
そう、レースのスタートによく似てるんだよな。
話は横道に逸れるが、この釣りの発展型でテトラポットなんかでやることも有って、僕が持っているそれ用の竿は、全日本ジムカーナー某有名選手に改造してもらったもの。
残念ながらご本人と面識は無く、知人に頼んで改造してもらったが、その知人曰く、某選手は奥様ともども、かなりの腕前(年間3桁は当たり前?)とお聞きしました。
やはり、車の競技と相通ずるところが有るのかもしれないと、思ったことがあります。
さて、簡単に書きましたけどね、この“アタリ”を出すまでに、えらく苦労するんですな。
最初はまるで、凍った路面でFR車をコントロールするようなもの。
何をきっかけに、何をしたら良いのか、さっぱり分からない。
気が付いたらスピンしていたかのように、何も変化が無いのに、エサのカニがつぶれて帰ってくる。
マスの釣堀とか、ハゼ釣りとかしたことがある人は分かると思うが、単純な(失礼)お魚さんは、鈎に掛かるリスクなんて気にせず、咥えたエサを無遠慮に引っ張る。
だから、ウキや竿先にだれでも分かる振動が動きとなって現れる。
黒鯛って魚はね、利口なんだよ。
というか、明治時代から人間に虐められているから、遺伝子が淘汰されたのかもしれないが…
いずれにしても、気配を殺してエサに近づき、そしてエサと一緒に動きながら噛む…
違和感が有ればすぐ放す…
だから、その微妙な変化は、糸が止まる、弾かれる、僅かに速くなるなど、こっちがダラダラやっていると気付かない些細なことばかり。
しかも、デカイやつほど神経細やか。
まあ、デカくなるということは、それまで慎重に生きてきたということだし、人間以外との生存競争にも打ち勝つ実力者だから、頭良いんだよな。
ちなみに、東京湾の都会の堤防でも55センチを超える奴が、水面から1Mくらいのところを悠々と泳ぎ、時折ヘマをして我々を楽しませてくれる。
鯛の仲間だから、平たいイメージがあると思うが、47・8センチを越えた辺りから堤防の上に置くと立つ。(漫画みたいに尾ッポで立つわけじゃないよ)
こいつらを掛けると、この太い胴体から繰り出される怒濤のトルクで、手元の糸巻きから10メートルくらい簡単に糸を引き出す。
先端の透明な糸は、無傷の新品でも、だいたい4キロのテンションが掛かると切れるから、傷とか結んだところの弱さを計算して、それこそウエット路面で、ドリフト・アングルを一定に保ちながらアクセル・コントロールするように、自分の右腕と親指を丁寧に操作して、往なしていく。
最後は、丁寧に玉網で救い上げ(あえて)、御用となるが、このときの彼らの体の綺麗なこと。
アドレナリンが噴出しているのか知らないが、大きく棘棘した鰭を広げ、体の側面には縞模様が発色し、時期によっては目の上が青から緑のグラデーションに染まる。
その姿が愛しくて、そっと海に戻してしまう…
今年はふと、そんな姿が見たくなって、初夏のある日、某沖堤防に…
そしたら、なんとラッキーナンバー?44の乗船札。
結局、数度のアタリを見逃し、つぶれたカニを拝むことに…
ま、そんなもんだ。
相手は命掛かってるんだもの。
何年も休んでたヤツにやられる訳ないや…
勝負だから、レースと同じ。
負けたら悔しいし、「走れたから良いや。」とか「海に来れたから良いや。」なんて思っちゃ居ない。
だけど、富士山と沈み行く夕日に慰められた気がしたな…