2013年10月20日
なんだかんだでその④です。
あまりシリーズものとして書く気はないのですが,やっぱり非常に奥の深い世界です。
先日,師匠のもとに伺った際,最近限界に感じていたことについて,悩みをぶつけてみました。
実際のところ,昨年のほうが,グリップでは思ったように車が動いてくれるという感じがあったのです。
いろいろと突き詰めていった結果,かなり大きなウェイトを占めそうなのが,タイヤサイズ変更でした。
グリップをしている方なら当たり前の話かもしれません。
昨年は,グリップでは主に ATR or Pinso の 255/40R17 を使っていました。
それが今年から ATR or Pinso の 235/45R17 を使うようになりました。
255→235への変更は,車高調の変更と合わせてだったので,少しわかりにくかったり,
今年は比較的ドリフトが多かったので,そこまでフロントタイヤは気にしていなかった
というのがあるかもしれません。
今年,セットアップをあれこれやってみて,
「イマイチ決まらないなぁ・・・」
と思っていました。
いいところまで来ていたのですが,グリップで昨年ほど思ったように走らない。
少し手詰まり感があったので,昨年のオンボードを見直してみると,
今年とは全然違って,ターンインでフロントのノーズがよく入っています。
今年のオンボードは,ターンインで車が曲がらず,あれこれ曲げようと苦戦をしていますが,
昨年のオンボードはそんなことない。
「やっぱタイヤかなぁ・・・。」
そう思っていたのです。
師匠に,
「ATR or Pinso の 235/45R17だと,このへんが限界かと思うんですよ。
セットアップもやれることやりましたし・・・」
と言うと,
「俺はまだやれることあると思うよ。」
「何でしょうか??」
「タイヤのエア圧とか,トレッドとか・・・一番効くのはタイヤのエア圧かな」
このときもまだ半信半疑・・・。
私の考えは,
「タイヤってそもそもグリップを最大に発揮するエア圧は決まっていて,
その数値はだいたい適正エア圧なんでしょ?」
というものでした。
「エア圧を規定値よりも高くする or 低くすることって,適正エア圧よりも
グリップって下がるんじゃないの?」
そう思っていました。
このあたりで,師匠は私の顔色からどう思っているのかわかったのでしょうね。(^o^;
おもむろにエア調整をやりだして・・・
「このくらいなら乗ったら違いがわかると思うよ」
と言われるので,乗ってみることにしました。
一人で行こうとしたら,
「一緒に乗りましょう」
後から考えると,↑これが非常にありがたかったです。
一人だけではここまで気付けないだろうというレベルまで感じ取ることができました。(^-^)
調整したエア圧は秘密。
「先入観があったらダメ」
確かにその通り。
特に私のような”頭でっかち”さんは余計に。。。(^o^;
テストコースに行き,走ってみました。
走ってみて,左右のエア圧が違うのはわかりました。
「どう?右と左で曲がり方違わない??」
確かにそうです。
切り込んでからのノーズが動き出すタイミング,
ターンイン後に更に切り足したときに車が更に曲がってくれるのか否か,
アクセルをどこから入れられるか・・・
上記が右回りと左回りで違います。
スピードを徐々に上げていくと,またその特性が変わってくる。
そして,ある程度のスピードまでいったときに,少し感じ取りにくくなりました。
そこで,師匠から
「エンブレ効かせないように,できるだけ高いギアで走って」
これが非常にありがたいアドバイスでした。
強いエンジンブレーキで誤魔化されてしまっていたのが,
ギアを上げるとまたタイヤの変化が感じ取れるようになりました。
実際に,私の悩んでいたブレーキングからターンインまでの特性は,
タイヤのエア圧でもかなり変化させることができると分かりました。
テストコースを2往復し,感じたままを師匠に伝えると,
「うん,そこまで感じられたのなら,エア圧見ていいよ」と。
答えあわせをしたときは,
「う~ん・・・こう来たかぁ・・・」
という意外なエア圧でした。
このエア圧調整の仕方は,師匠もこれまでやったことないような話しぶりでしたが,
タイヤのエア圧の違いを右と左で比べることにより,即座に違いを感じ取ることができます。
サーキットでも,エア圧調整のためにピットインしてからまた走り出すと,
意外と違いがよくわからなくなってしまったりするものです。
最初のエアのときは冷間からスタートですが,ピットインして調整したときは
温間からのスタートだったりしますしね。
その点,左右でエアを変えると,違いが感じ取りやすいです。
エア圧変更って,「適正エア圧」から外したらNGと思っていましたが,
「そもそも,適正エア圧って何?適正エア圧って誰が決めたの?
適正エア圧って本当にグリップが最大になるところなの?」
と改めて問いかけてみれば,明確な答えは持っていませんでした。(^-^;
「適正エア圧が最大グリップとなるところのはず」
と先入観で決め付けてしまっていたのだなと思いました。
タイヤ1本1本のグリップをしっかり引き出すことも大切ですが,
前後のグリップバランスを最適化するために,
敢えてどちらかのグリップを下げることも場合によってはアリなんだな
・・・と思いました。
ドリフトでリアの限界を下げるために使うことはありましたが,程度は違うものの
グリップでも同じようなことをすることに意味があることが理解できました。
また,新しいタイヤの特性を瞬時に掴むのに,左右異なるエア圧で試してみるなど,
実践で使えるセットアップ方法を教えてもらえました。
「また,”いいこと”教えちゃったね。」
と師匠。はい。私も非常に”いいこと”だと実感しました。(*^-^*)
F1やGT選手権でも,タイヤのエア圧設定ってトップシークレットな内容です。
やっぱり,トップシークレットなだけに,セットアップの選択肢として非常に大きいんですね。
まだまだ,セットアップの理論と実践は続きそうです。(^-^)
Posted at 2013/10/20 23:05:10 | |
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セットアップの理論と実践 | 日記