MINIを売却して次のクルマが来るまでの代車としてMINIを買い取った業者がクルマを貸してくれているのですが、事前に「多分フィットです」と言われていたものの実際に来たのはX100系のマークⅡでした・・・(苦笑)
マークⅡと言えば、懐かしきバブル時代にX70系/80系がシリーズで月に数万台も売れていたという、「ハイソカーw」の元祖。高級過ぎて上司や近所から冷ややかな目を向けられることもなく、しかしフル装備でショボくもなく所有満足度も高い。そんな周りの目を気にする村社会・日本にピタリ当てはまるクルマだったのだと思います。
89年~92年くらいまで私は日産のディーラー会社で陸送のバイトをやっていたので、この頃のクルマは相当乗りました。日産ではP10プリメーラやR32スカイライン、いわゆる901活動が全盛期の頃で、X71, X81マークⅡ系とR32スカイラインの差は走りの面では歴然としていました。(ちなみにP10プリメーラよりも劣っていた印象があります。)
R32スカイラインの成功を見たトヨタは、マークⅡの走りを向上させるべく大幅にシャシーレベルを上げてX90系をリリース。ツアラーという走りのグレードをアピールしてバブル期のイメージとは少し違うクルマになりました。ちなみに、その後「走り系」ではない意外なクルマで走るというのがドリフト界で流行し、31セフィーロ、33ローレルと共にドリフト族御用達になったりしました。
そんなX90系の後継車がこのX100系のマークⅡです。この頃は既に日本車にほとんど興味がなかったので詳しくは分かっていませんでした。このマークⅡは'99年式でいわゆる後期型です。エンジンは懐かしの1G-FE。この頃既に6気筒の中心はJZ系だったはずですが、JZ系は2.5Lが最小で2L版はなかったので1Gを使っていたのですね。調べてみたら'98のマイナーチェンジでVVT-iまで付いてるとか。その割りにはトルクが太いわけでもなく、上は惰性で回るだけでパワー感も全然なく、高回転域で振動が収斂していくような気持ち良さも全くありません。むしろ回すほどに振動が増してバラ付く感じです。もしかして'90年前後の日産RBの方がマシなのでは・・・と思うほどです。とはいえやっぱり6気筒。粒の揃った感じは低回転域ではそれなりに気持ち良く、音も結構良いです。全体的には全く気持ち良くはありませんが、でも6気筒の良さを感じます。
ATは4速。この時代のクルマってこんなにロックアップしなかったっけ??と思うほどゆる~いトルコンで、定速走行にならない限り常に滑ってる感あり。エンジンのトルクが太くなさそうなので、もしかしたらエンジンの低いトルクを増幅させるためにあえてのセッティングかもしれませんね。ですが、シフトショックは極小で、何を重視して開発していたのかは良く分かります。また、簡単にロックアップを解除して滑らせるので、意外に自分の足と気持ちでコントロールしやすいです。私のMINIの唯一大きな不満は気持ちに全くフィットせずシフトをコントロールしづらいATミッションのプログラムだったのですが、このマークⅡのATはスロットルの踏み具合でシフトをある程度コントロール出来ます。これは4段程度のギアだから出来ると言えるかもしれないですね。例えばMINIは6段ですが、シフトダウンで1つ落とすのか2つ落とすのか、はたまた3つ落とすのか。キックダウンしようとしてもクルマが悩んでいるようなラグを感じる上、走っている道路の勾配によってクルマがギアを決めるので結局ドライバーがギアを選べないのです。だから2段くらい落とそうと思って「これくらいかな?」とスロットルを踏んでもいきなり低いギアに入って「ワワワーン!!!」と回ってみたり、1段しか落ちずに緩慢な加速になったりします。
そこへ行くと制御がシンプルで選ぶギアが少ないことが結局コントロールしやすいことに繋がっているように思います。この辺、ハイエースの乗りやすさとちょっと似ているかもしれません。
足回りは4輪ダブルウィッシュボーン。CクラスはW205でフロントをウィッシュボーンに戻しましたが、4輪マルチリンクのR32に対抗したX90系の名残でこんな贅沢な構成を持っていたのです。しかし乗り味は正しくトヨタで、常に浮遊感が付き纏うふわんふわんのゆ~らゆら。ダンピングのダの字もない感じ。姿勢変化も大きいので、綺麗に走らせるには路面のギャップやアンジュレーションまで見込んだかなり繊細な操作が要求されます・・・。トヨタのテストドライバーは優秀過ぎると皮肉られる所以ですね。フィードバックの少ないステアリングとこの足回りでも綺麗に走らせることが出来るのはスゴい、という意味で。というわけでシャシー性能が向上したと言われるX90系の後継の割には全然昔のマークⅡのイメージそのままです。しかし、この当たりの柔らかさは60km位までなら快適です。両親を乗せてゆっくり走るならありがたいとすら思えます。つまりこの位までの領域にフォーカスしてセッティングされたんでしょうね。ちなみにタイヤは195/65R15です。
しかし、一番驚いたのは久しぶりに乗るこの時代のクルマの乗り易さ、とっつき易さです。バルクヘッドやベルトラインが低くて視界良好。ボンネット先端もトランクの後端も分かりやすいです。ピラーも'70/'80年代のクルマと比べれば太くはなっていますが、それでも最近のクルマよりは細い感じです。その代わり守られてる感はありません。不思議なもので最近のバルクヘッド/ダッシュボードの高い囲まれ感の強いクルマばかり乗っていると、こういう開放感に不安を感じるのですね。ノーヘルでバイクに乗る怖さと同種類の怖さです。もちろんレベルは全く違いますが。
ところで写真でも分かるかもしれませんが、15年落ちにして内装にヤレ感がないのがすごいです。この辺は輸入車と比べると品質が凄いですね。同じ'99年頃のヨーロッパ車だと内装がたった数年でベタベタになったり色褪せたり色々ありましたが、このクルマはそんなの一切無し。トヨタ恐るべし。
Posted at 2014/11/19 19:16:25 | |
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レンタカー | 日記