継時劣化で塗膜が痛んだり、シラシラ感が増してきた部品を、シャキっと再生する為に、
ワイパーや
カウルトップをツヤ消し黒で塗ってきたのだが、これといった失敗もしなかったので、調子に乗って消極的だったドアのモールディングにも挑戦だ。
なんで消極的だったか、別にモールディングの塗装そのものには問題が無い。
ただ、フロントドアの1枚にスライドドアの2枚で、片側に計3枚あるモールディングを外そうと思うと、
バイザーを外さなければならないのである。
純正バイザーは、ガラスランに挟んで伸びたステーにピン留めだけで固定されているだけでは無く、ドアフレームとモールディングにも両面テープで固定されている。
トップ画像は修理書から寸借詐欺してきたものだが、フロントドアのモールディングは下に抜くので、モールディングとバイザーを固定する両面テープを剥がせば、バイザー自体を外さなくても作業は行える(面倒だが)
しかしスライドドアのモールディングは、前側は下へ抜くのだが
後ろ側は上に抜く。
上に抜くというコトはバイザーに当たってしまうので、結局バイザーは外さなければならない。
出来なくは無いが、結局ある程度ドアフレームから剥がす必要があり、やっても意味が無い。
そんなワケで一念発起して、「バイザー全部剥がしてモールディング塗装」するイバラの道へ歩みだした。
・作業前の下準備
「上に抜く」と書いたスライドドアの後ろ側モールディング、トップ画像にもある様に、ココだけクリップが片側2個付いている。
10年選手のウチのシエンタ、すでに劣化してパキパキになっている可能性が高いので、先に発注しておいた。
だいたい、この手のクリップは外す際にツメが折れる事が多いし、どうせやるんだから気持ち良く全交換したい。
1台分、4個でも280円だしね(笑)
・まずバイザー外し
とりあえず先にクリップ類を外す。
バイザーを見ると黒い円形のアタマが見えているが、この裏に「受けゴム」が居るので、落として失くさない様にソレを利き手と反対の手でツマミながら、利き手でクリップのアタマを引っ張る。
不器用な人は、薄刃ドライバーなどを慎重に挿し込んで先に浮かせておく。
5mmほど引き抜ければクリップ先端がしぼむので、受けゴムからクリップが抜けるはず。
外したクリップと受けゴム、さらにステー。
クリップはアタマが引かれた状態で、このままなら受けゴムの穴にも容易に入る。
その後にクリップのアタマを挿し込むと、クリップの先が受けゴムの中で開いてロックされる構造。
これを利用して、バイザーとステーをクリップと受けゴムが挟み込んで固定している。
ステーは前後で別になっているが、三日月模様のある方がフロントドア用、無いのがスライドドア用で、クリップと受けゴムは前後共通。
よって、全部ゴチャ混ぜにしておいても問題無い。
このクリップや受けゴム・ステーといったバイザーの付属品は、紛失すると1台分(税別\1,200-)でしか買えないので作業は慎重に。
余談だが、この作業をやった後にヴェルファイアを見ると、バイザーにクリップの頭が見えない事に気付いたので確認したら、クリップに当たる部分はバイザーと一体成型されていた。はいはい、高級車、高級車…
バイザーに貼られている両面テープは、尋常じゃ無いぐらいにベタ付きしているので、カッター等でボディを傷付けない様に慎重に切開し切り分けるのが無難。
ウチの場合、夏日に近い高気温の日に作業を行ったけど、粘着部分はビクともせずにバイザーが折れそうな気配だった。
バイザーが折れたら元も子も無いし、その後に塗装とかする雰囲気でも無くなるし。
無事にバイザーを分離したら、まずはボディ側に残った両面テープを総攻撃して剥がす。
ドアフレームにはステーだけ残るので、取り外す前に現在の位置をマーキングしておく。
位置が判らなくなって適当に付けるのもいいが、取付けの際にバイザーを両面テープで固定した後、ステーの位置合わせでズラそうとしても固くって動かない事があり、大変難儀するから。
新車のバイザー付けをやった事がある人なら判るはず。
転ばぬ先の杖である。
バイザーを外し終えたら、両面テープの糊跡とか固着したワックス、砂等を綺麗に清掃しておく。
水拭きとアルコールを使っても、この程度の跡は残ってしまう。
几帳面な人はピカール攻撃でピカピカに、いい加減な人は見なかった事に。
自分は後者だった様である(また取り付ければ見えなくなるのだが)
取り外したモールディング。
このシラシラ感と傷み具合が、愛車に古さを感じさせる。
モールディングが外され、解体屋に来たかの様なシエンタのボディ。
クリップの無い前2つのモールディングは、裏側の黒いタッピングネジ1本を外し、下端側をグイっと手前に引いた状態で、下向きにスライドさせれば簡単に外れる。
ただし勘合が外れる際に急に動き出すので、膨らんだドアボディに擦り傷を残す可能性が高く、「マスキングする」「間に紙やウエス等を挟む」などした方が吉。
クリップ付きの最後尾モールディングは要注意。
ドア裏面の黒いタッピングネジを外すのは同じなんだが、クリップが結構固い。
しかもクリップをハメ込んでいる、モールディング裏面の受けの部分の樹脂が薄くて、無理をすると確実に割れそうなのである。
要するにモールディングを力任せで引っ張るのは危険なので、
・ネジを外したら、浸透潤滑剤を隙間からクリップ位置にブッこんでみる
・その後、クリップリムーバーやマイナスドライバー等で直接クリップを狙ってみる
・ダメっぽいならクリップはそのままにして、モールディング上端を手前に引き、上に向けて引き抜きながら軽くコジてみる
モールディング裏面の受けに対し、クリップは下から挿入するタイプなので、逆に言えばモールディングを上方に引き上げる事で、クリップはドアフレームに残したままでモールディングを外す事が出来るワケだ。
無事に外し終えたら脱脂処理、ようやく本題の塗装に入った。
いつも通りの美しい漆黒仕上げ。
ツヤ消し黒の塗装は失敗が少ないから大好きだ。
今回はチリやホコリもほとんど乗らなかった。
少しばかり乗ったところで、乾燥後にティッシュで軽く擦れば意外に取れる。
完全に乾燥したらモールディングを取り付け。
最後尾のモールディングは新品のクリップに交換済み。
経年劣化でモールディングが反ってきているのか、元からの精度が甘いからなのか不明だが、モールディングをタッピングネジで固定しても、上端や下端辺りにドアボディとの隙間があったり、結構グラついて動いたりする。
なので、モールディングを取り付ける前に上端・下端の要所に、小さく切った両面テープを幾つか貼っておいた。
モールディングを取り付けてタッピングネジで固定したら、最後にグイっと押さえ付ける事で完全にドアボディと密着した。
神経質な人にはお勧めだが、あまり両面テープの接触面積を大きくし過ぎると、次回取り外しの際に難儀するからソコソコで。
まあ次回の取り外しがあれば、の話なんだが。
・時間がある場合は引き続き作業、時間が無ければココで一旦中止
と言うのも、バイザーに貼られている両面テープの糊跡が、もうトンでもなく取れない。
アルコールをブッかけてもビクともしない。
モールディングを付けてしまえば、とりあえず見映えは「バイザー無し車両」なので、ここで一息入れてユックリと作業するか、一気にやってしまうかの分岐路である。
特に気を付けなければならないのが、両面テープが貼られている部分には黒い塗装が施されており、あまり硬いモノで力任せにコジると塗膜が剥がれてしまい、再度取り付けた際に剥がれた部分が目立つこと。
今回の作業では、
EGRバルブ清掃で使用したエンジンコンディショナーが残っていたので吹きかけてみたところ、結構な溶解力を見せてくれた。
そこでエンジンコンディショナーを吹いては塗り伸ばして数分放置。
柔らかくなったところで、プラスティック製の内装外し(クリップリムーバー等)で削ぎ落とし、の繰り返しで何とか除去に成功。
多少残った糊跡なら、アルコールや脱脂系溶剤で綺麗に拭き取れた。
今回の作業のうち、本題のモールディング塗装は全体の工程のうちの3割程度、バイザー外しが2割程度、あとの5割がバイザー再取付けに関する工程かも知れない。
脱脂処理を終えたバイザーへ両面テープを貼る。
使用したのは定番の3M社製、SCOTCHブランドの「超強力両面テープ・プレミアゴールド・『スーパー多用途』粗面用」、品番SPR-12だ。
スーパー多用途シリーズの接着力は申し分なし、色はグレー、12mm幅と、今回の用途にマッチしているが、最も重要なのは1.1mm厚であること。
バイザーのフチの部分には軽く「返し」が付いているので、あまり薄い両面テープでは返しの部分が当たって接着面積が確保できずに剥がれる恐れがあるから。
ただし1つだけ問題なのが、
このテープ巻が4mであること。
4つのバイザーすべてにユルユルで貼り付けていくと、
最後に15cm程度残した辺りでテープが無くなってしまった。
最初から全体を「少し軽~く、伸ばし気味」で貼っていけば、恐らく4mをキッチリ使い切ってフィニッシュ出来るはず。
今回は仕方が無いので、手持ちの両面テープで近い条件の奴を継ぎ足して使った。
1.3mm厚の5m巻だったら最高なのだが。
バイザー貼りでメジャーな手法は、メインの長いテープ部分の剥離フィルム両端を起こしておくこと。
いくら慎重に作業しても、全剥がしで取り付けると微妙な位置修正など願うべくもなく外れなくなる。
部分的に剥離しておくことで位置修正を可能にしておき、仮付け出来たら起こしたフィルムを外から引いて剥がし、押し当てて本付けする。
マーキングした位置にステーを取り付け、バイザー貼り付け開始。
前後方向の位置決めは、前後ドアの境界部分でやる派だったりする。
それぞれのドアの端部から2・3mm程度の隙間を残して貼り付けるのが好み、かつ無難。
上下方向の位置決めは、モールディングとカブる部分が突起状に成型されているので、見れば判るはず。
フロントドア用バイザーの前部、アウターミラー基部にカブさる部分もデザイン的に見れば判るので問題は無い。
全てのバイザーを貼り終えたら、クリップで8か所を固定して作業完了。
手垢が付きまくりのバイザーやモールディングを、綺麗に拭き上げれば完成。
少し時間が余ったので、ピカールでバイザーに付いた洗車傷を磨いてやったから、美しさも倍増。
かけた手間に見合うかどうかは個人の主観による大作業ではあるけど、その分だけ愛着も湧くってモンだ。
難易度は高くないが手間が大変過ぎて、他人には全くお勧めしない作業ではあるけど、
ヘッドライト塗装やワイパー・カウルトップ塗装も含めた、総合的な「若返り度」はハンパないので逆にお勧めだったりする。
「やろうかな」程度の人には「やめとけ!」と言うが、「やるぜ!」の人には「骨は拾ってやるぞ!」と言う、そんな複雑な作業だったりする(笑)
それにしても疲れた・・・
オマケ
モールディングのクリップを検索していたら気になるものがあった。
どうやら、寒冷地仕様にはスライドドアの後端下部に何か付いているらしい。
好奇心に勝てず、発注してみた(笑)
安かったし。
綺麗に成型された(純正なので当たり前だが)、ゴム製のパーツ。
取り付けてみた。
結構厚みもあるので、タイヤハウスに巻き込む走行風を低減する整流パーツ的な効果があったりして。
ウチのシエンタはボディ幅の限界までトレッド広がってるし。
ネッツの営業さんに聞いたら、本来は跳ね上げた水しぶきが凍結してドアが開かなくなるのを低減するパーツとの触れ込みなんだが、実際にはスライドドアを開けた際に道路に積み上がった雪なんかで擦り傷を付けない為のエッジガード的な印象を持ってる人が多いらしい。
確かに雪で無くとも、スライドドアを無造作に開けた際にブツけ(擦り)そうな部分なので、とりあえずこのまま貼っておこう。
久しぶりに意味の無いパーツを買ってしまったのだが、個性、個性(笑)