モノよりアレ

「モノより思い出」

日産のセレナのキャッチコピーである。
当時は「ずいぶんとんでもないコピーだな」と思っていた。

何しろ車売るCMなのに、あっさり売る対象を否定していた。。ように思えたからだ。

あれからかなり時間が経過して、時代がこの言葉に追いついた。
物に縛られる時代は終わろうとしている。

出費の割合も物品の購入よりサービスの提供を受けるための費用の方が
増えてきているように思える。

結局物を売るというのは、それを使うことによって得られる便益を売るということだ。
突き詰めると「ココロ」の問題になってくるのである。

インターネットの普及によって、物をため込まなくてもココロの充足を得られるようになってきた。
なってきたというより、インターネットを通してようやく気付くことが出来るようになったということか。

父が死んで遺品を整理していた時、タンスから大量の財布などの小物がわんさか出てきた。
恐らく使ったこともないだろうガラクタもかなりあった。
そもそも部屋を占有する巨大なタンスそのものが「余計な物」なのだ。

はたと気づいたのは死ぬ時は何も持って行けないということだ。
持ち主を失った少しかび臭い革の財布を眺めていると大変空虚な気持ちになった。

おかげで最近身の回りの整理が止まらない。

本棚、CDのラックの中身はかなり売却した。

カメラ・レンズも本当に必要な物に絞り込んで、どんな高価な物でも有無を言わさず売り払った。
それでもまだまだ多いが、使っているからこれはよしとしよう。