2月に入って8日、14日と、日本各地では例年を上回る積雪が記録されました。これから同じような積雪や降雪がないとは限りません。特に首都圏をはじめ普段あまり雪が降らないエリアに住む人々にとって、雪道の運転は大きな危険を伴うもの。そこで、次の危機に備えて雪道運転のポイントを紹介しましょう。
ノーマルタイヤでの運転は厳禁
まず雪道を走る上での前提条件として、ノーマルタイヤ(夏用タイヤ)を装着している車は非常に危険なので乗るのを控えましょう。「目的地まですぐ近くだから」「大通りはもう雪が解けてるから大丈夫」と思っていても、1本脇道に入ればまだ残雪があったり、建物の日陰部分が凍っていたりします。実際、一時停止や曲がり角での部分的な凍結に気付かず進入して事故を起こすケースは少なくありません。
あまりお勧めできませんがノーマルタイヤで出かける必要がある場合、タイヤチェーンを駆動輪に装着しましょう。理想的にはスタッドレスタイヤにチェーンを巻くべきです。
フロント駆動方式(FF)ではブレーキや旋回時にチェーンを付けていないリアが滑ってスピンを起こしやすくなりますし、リア駆動方式(FR/MR/RR)なら逆にフロント側のグリップ力不足で曲がらない状況に陥ります。雪道に強いとされる四輪駆動方式(4WD)についても、チェーンを前輪もしくは後輪のいずれかに1組装着しているだけなら同様の傾向が見られます。確かにフロント・リア駆動と比べてスタック(タイヤが空転して動けなくなる状況)こそしづらいのですが、四輪駆動は車重が重いため、かえって曲がりづらい・止まりづらいといえるわけです。
ちなみに四輪駆動の場合、チェーンを取り付けるタイヤは車種によって変わってきます。基本的にはFFベースなら前輪、FRベースなら後輪となりますが、このあたりは取扱説明書に従って装着しましょう。
雪道を運転する際のポイント
雪道の運転は、スタッドレス(冬用)タイヤを装着した状態で、さらに緊急用としてチェーンを携行するのがベストです。それでは実際に、雪道を走行する際のポイントを見ていきましょう。
●走行前には車に積もった雪と靴底の雪を落とす
雪が残っているとライト類が見えづらくなったり、ワイパーなどの動きが悪くなったりと危険です。ブレーキをかけた際に天井の雪がフロントガラスに落ちてきて視界を妨げることもあるので、できるだけ雪は落としておいてください。加えて、ペダル操作の妨げにならないよう、乗車時には靴の底に付着した雪もしっかりと落としておきましょう。
●十分な車間距離を保ってゆっくりと走る
雪道は制動距離が大幅に伸びる上、他の車が止まり切れずに飛び出してくる可能性もあります。前の車が急制動をかけても余裕を持って止まれるくらいの車間距離とスピードを保ちましょう。
●急制動や急ブレーキは禁物
雪道では急な操作にタイヤのグリップ力がついてこれず、簡単に滑ってしまいます。普段よりもかなり前からブレーキをかけはじめたり、曲がる際はブレーキ操作をしっかりと終わらせてから余裕を持ってハンドルを回すよう心がけてください。また、急激なアクセルオンもスタックの原因となるため、MTなら2速発進、ATならスノーモードなどを活用しましょう。
●基本は轍(わだち)に沿って走行
前の車が通った轍に沿って走ることで、横方向へ車が滑るのを抑えられます。タイヤが轍の壁面に当たると戻ろうとするので、コツとしてはハンドルをあまり強く握らず、焦らずに微調整を行いましょう。また、軽車両では轍の幅が合わずにかえって走りづらいこともありますが、その時は片輪の轍だけに合わせるか、両輪とも轍を避けるか、状況に応じて走りやすい方を選んでください。また、轍から出る・戻る際にはハンドルをとられやすくなるので要注意です。
●道路の左端へ寄りすぎるのも禁物
センターラインが見えない状況なら左側走行を心がけますが、極端に道路の端に寄りすぎるのも危険です。特に普段走らない道では、蓋のない側溝が雪に埋もれている可能性もあるので注意してください。
●視界不良時はヘッドライトを点灯
降雪で視界が悪い場合は、必要に応じてヘッドライトやフォグランプを点灯しましょう。自分の視界を見やすくするだけでなく、他車からの視認性も向上します。
●坂道は上り側が優先
雪道での上り坂は一度停車してしまうと再発進が困難になるため、上り側が優先となります。片側通行になっている坂道などで上ってくる車がいる場合、十分にすれ違えるスペースを空けて待機しましょう。
●橋の上は凍結に注意
周囲に遮蔽物がない橋の上は、風に晒されるため路面が凍結しやすいシチュエーションのひとつです。また、手前の上り坂によって橋の上の状況が確認できないケースも多いので、侵入時はできるだけスピードを落とすよう心がけてください。
●チェーンの着脱は安全な場所で
チェーンを着脱する場合は、緊急の場合を除いて必ず専用のチェーン着脱所や、広くて安全な場所を見つけて行ってください。道路上に停車しての着脱は他車の迷惑になるばかりか、事故の可能性が高まる大変危険な行為です。広めの駐車場があるコンビニエンスストアなどでも良いですが、その際は必ず店員さんに一声かけ、許可を得てから行いましょう。
●スタックからの脱出方法
もし車がスタックしてしまったら、やみくもにアクセルを踏み込みのではなく、前進と後退を交互に繰り返してみてください。タイヤの前後に余裕が生まれて脱出できる可能性が高まります。また、タイヤとその周囲に砂を撒いたり、タイヤと雪の間に毛布などを巻き込ませるように すると脱出しやすくなります。毛布はいざという時の防寒対策になる上、こうした使い方もできるので車内に1枚置いておくと良いでしょう。
●停車時はサイドブレーキをかけない
停車時は、ゴム部分がフロントガラスへ貼り付くのを防ぐためにワイパーを立てておきましょう。フロントガラスの凍結防止用に毛布をかけておくという方法もあります。また、通常時のようにサイドブレーキ(パーキングブレーキ)をかけた状態で停車しておくと、ブレーキが凍結したまま解除できなくなる恐れがあります。サイドブレーキをかけずに、MTならギアを1速もしくはバック、ATならP(パーキング)に入れておくようにしてください。
●仮眠時はエンジンをかけない
車の中で仮眠をとる際は、必ずエンジンを切るようにしてください。これは、雪によってマフラーが塞がれると排気が車内に充満し、一酸化炭素中毒を起こす危険性があるためです。寒いために暖房をつけたくなる気持ちも分かりますが、重ね着などで防寒対策を行いましょう。
●洗車で融雪剤を洗い流す
雪道では凍結防止用に融雪剤が撒かれたりしますが、これらは塩化ナトリウムや塩化マグネシウムなどを主成分としているため、車に付着したまま放置すると錆の原因になります。雪による混乱が収まって余裕ができたら、洗車で融雪剤を落としましょう。車の下回りは特に融雪剤の付着が多い場所なので、忘れずに洗ってください。
●積んでおくと便利なもの
たとえばチェーン着脱用には、厚手の防水手袋に加えて長靴や防寒着、懐中電灯があると便利です。また、スタックした時の脱出用としてスコップやジャッキ、牽引ロープ、砂袋、毛布(防寒も兼ねる)、さらにはバッテリ電圧低下に備えてブースターケーブルを用意しておくと良いでしょう。フロントガラスや鍵穴の凍結用に、解氷スプレーも重宝します。
最後に、スタッドレスタイヤの寿命は一般的に3~5シーズン程度が目安といわれています。もちろん、走行距離や保管方法などによっても変わってきますので、使用前にはゴムが劣化で硬くなっていないか、摩耗でプラットフォームが露出していないかなどをしっかりと確認しておいてください。雪のシーズンを終えて取り外したスタッドレスタイヤは、水洗い後に乾燥させてからタイヤシートをかぶせ、直射日光や雨が当たらない場所に保管しておくと紫外線による劣化が防げます。
雪道の走行は、平常時と比べてより多くの危険を伴います。心と時間に余裕を持ち、くれぐれも注意して運転してください。
Posted at 2014/02/21 15:44:48 | |
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