マツダ CX-30 ハイブリッド

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マツダ

CX-30 ハイブリッド

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2020年式CX-30 X L_PKG感想文 - CX-30 ハイブリッド

試乗

2020年式CX-30 X L_PKG感想文

おすすめ度: 3

満足している点
1.ファミリーカーとして使えるパッケージング

2.ガソリンエンジン車にMTの設定を残していること

3.見栄えへの配慮(グリル奥、フェンダー×FRドア隙間、QTRガラス)

4.スカイXの自然な乗り味と特有の俊敏さ

5.充実したアクセサリー

6.バックカメラ画質など不満点の改良
不満な点
1.スカイDにMTが無いこと

2.スカイXの価格差と強気な用品価格設定

3.最初は戸惑うブレーキの感覚

4.外装のチリや内装の手押し剛性など品質感に精彩を欠く

5.RrドアトリムUPR部が硬質樹脂で傷付き性懸念

6.見所が多い車のはずなのにカタログが面白くない
総評
マツダ3のSUV版として新規に発売されたCX-30。既にCX-3、CX-5が存在しながらも、狭い隙間に入り込むようなSUVに対し新世代アーキテクチャーを奢ったのはSUVがいかに人気のあるボディタイプなのかを如実に語っている。






4395mm×1795mm×1540mmというサイズは、設計の多くを共有するマツダ3よりも120mm短く、ホイールベースも70mm短いのだが、背が100mm高い。外観はワイドな車幅を目一杯使い、プレスラインでなく、優しい曲面で抑揚をつけた外装、内装はマツダ3と共通イメージながら色で差別化を実施。特に遠目から見た際の見栄えはノンプレミアムの領域を逸脱しそうな力の入れ方に対し、私は好意的に見ている。確かにマツダ3よりも全長、ホイールベースが短いものの、アップライトに座らせた恩恵で後席にチャイルドシートを乗せても前席が狭くないし、後席に大人を座らせても窮屈でもない。足と尻の落差、すなわちヒールヒップ段差がマツダ3よりも大きいからだ。



人が座った時に必要な前後方向のスペースが節約できる。その分、頭の位置が高くならざるを得ないが、ベルトラインが高いSUVだからこそ流麗なラインと居住性が両立する。(フロアは低めなので最低地上高は175mmとクラスの中では低めだ)

期待のスカイアクティブXを初体験した。電動化だの内燃機関はオワコンだのと発する勢力が多い中、日本発の新しい内燃機関の登場は嬉しい限りだ。

火花をきっかけに自己着火するというSPCCI燃焼と通常の火花点火による燃焼を組み合わせているがディスプレイ表示を見る限り、基本的には自己着火で走行する。スパークプラグを持っているため、まがい物のHCCIという悪口を言われたくないが故の表示機能だがこれはあったほうが良い。MハイブリッドとSPCCIが掛け合わされて大変複雑なメカニズムと高度な制御がなされているのにフツーに走れるというだけで本当は凄いことをやっている・・・にも関わらず事前に期待を煽り過ぎたのか燃費性能も15.8km/L~17.0km/Lと数値的には14.8km/L~16.2km/LのスカイGより多少いいレベルに留まっている。スカイGよりは確かにパワフルでレスポンスも良いが、68万円という価格差に疑問を感じる人は少なくないだろう。Xを待っていた既存のマツダユーザー達がかつてスカイDで感じた「圧倒的な走りと圧倒的な経済性」には未だ到達していない点こそが商品としての弱さだ。

見積もりを頂いた。グレード構成は下から20S(スカイGのみ)、プロアクティブ、プロアクティブツーリングセレクション、L_PKGの3種類。妻は革シートが希望らしいが、私は布シートでロングドライブで活躍しそうなアイテムが装備されるスカイXのツーリングセレクションFF_MT(341万円)を選択。

MOPはマシーングレーと360度セーフティPKGを追加して355.7万円。DOPは自制的にカーナビSDカード、マット、ドラレコ、ETC、コーティングに留めて26万円。メンテパック、延長保証を含んだ支払い総額は413万2776円。

あまりにも高い価格は輸入車のSUVよりは安いが、もう少しでレクサスCTやUXに手が届くほどの領域に足を踏み入れている。車両としての魅力は認めるが高すぎると私は思うし、営業マン曰く、お客さんの多くがそう感じていると明かしてくれた。見積もりで気になったのは一部の用品の価格がデミオやCX-5と較べると急に高くなっている点だ。CX-5のラグジュアリーフロアマット3.1万円はCX-30のプレミアムフロアマットで5万円になった。スポーツペダルセットはCX-5で2.1万円だったのがCX-30では4.1万円。スカッフプレート(イルミ付)はCX-5が3.2万円でCX-30では4.7万円だ。私がデミオを購入したときは用品の価格設定も他車よりも手頃だったので欲しいものをほぼ全部着けたが、CX-30だと少し節制しようかなという気になってくる。マットは安いグレードも残されているので、ペダルの方も安価品を残して欲しかった。

スカイXに話を戻すと、E/G違いによる価格差は、排気量1Lあたり110万円(税込)のレートが相場だ。プレミオの1.5Lと1.8L(約34万円)もその範囲内に収まる。現代はディーゼル・ガソリンの違いや過給や電動化などで価格差にも戦略的にばらつくが、相場観としてRAV4の2.0L_Gと2.5L_HV(約60万円)、エクリプスクロス1.5L_Gターボと2.2L_Dターボ(約30万円)、エクストレイルの2.0Gと2.0L_HV(約25万円)などの範囲内だ。マツダ同士ではマツダ3の15Sと20Sプロアクティブの価格差は安全装備の充実も含んで29万円。20SプロアクティブとXDプロアクティブの価格差は28万円。或いはCX-5の2.5Lと2.2L_Dターボの価格差(約32万円)を考えるとスカイXの68万円の価格差は明らかに相場観が異なる。専用部品が多く、送風機やMハイブリッドなど購入品も多いので、部品の総原価から見ると妥当なのかも知れないが、乗った感想としてこの程度の差なら昔のマークIIのハイメカとツインカム24程度の価格差が妥当だと感じた。

仮にCX-30をスカイアクティブXだけで立ち上げ後で廉価グレードを出す作戦もあるだろうが、不幸にもCX-3でその作戦はうまく行かなかった。昔のGDIギャランのように全車GDIでスタートするか、TSIだって最初はゴルフのGTグレードに絞る方法もあった。或いはトヨタがプレミオにD-4を載せた様に特別装備込みの特別仕様車に搭載するなどの過去の手法を学ぶべきだっただろう。例えばスカイアクティブX_1st_Editionなどと称して、各種のX専用アクセサリー装備や加飾を奢って他グレードと単純比較させない工夫が必要だったのでは無かろうか。

CX-30は内外装は魅力的で質感も高く感じられる。装備水準も高く、特に安全装備の面ではレクサスでもMOP設定の内容がCX-30には標準で織り込まれていたりする一方で、部品を相当安く買っているだろう事も分かるし、外装の建付けも内装の細かい部分の仕上げもお世辞にも良いとは言えない。現状のままプレミアムを目指すというのは勇み足に過ぎず、レクサスに近いパフォーマンスをマツダ流の上手な取捨選択により量販メーカー+αの価格で買えるという立ち位置を磨いて欲しい。

発散した話を強引にまとめると、CX-30は2020年の今の視点では非スライドドアのファミリーカーとしては大きすぎず、小さすぎずの適度なの室内空間を持つ。少々全幅は大きいが、スタイリングは十分魅力的。インテリアデザインはマツダ3譲りの流麗さだが、点灯させようと指で押すとベコベコだらしなくたわむRrマップランプやファミリー向けなのにクラスとしては珍しい耐傷つき性の低い硬質樹脂のRrドアトリムなど注文をつけたくなる部分もあった。全エンジンタイプで試乗したが、スカイGは味付けが薄めなので、スタイリングに一目ぼれした方や近距離主体の方にはスカイGを。私のように長距離をツーリングして車を楽しむ方にはスカイDを。今回じっくり試乗したスカイXは実利は見出しにくかった。市街地走行時のレスポンスの鋭さが魅力に感じられ、ベンツもBMWも実用化していない世界初の技術が搭載されているということに理系的ロマンを感じられる方なら検討しても良いと感じた。乗り味も乗り心地の硬さは気になるが、車速が上がるとしっくりくるので高速走行が多い私は目をつぶろうと思う。

CX-30はマツダが持てるハイテク高機能をスタイリッシュな意匠で包みながらも、巧みに低価格な部品調達によって現実的な価格設定を実現した商品だ。私が買うならXDプロアクティブのツーリングのFF_6MT。今後のバリエーション追加を切に願う。その際はシートにもうひとヒネリが欲しい。例えばエンボス付の部分合皮を採用するなど特別仕様に期待。価格とプレミアムを目指していると言う内容を考えると改良の余地があり三ツ星とした。
走行性能
無評価
ガソリンを燃料にしながら圧縮着火を行うHCCIを実用化したというスカイアクティブXを解説した文章はたくさん存在するが、念のため軽く触れておくと、そもそも予混合圧縮自己着火する燃焼を世界で始めて実現したエンジンである。予混合とは予め空気と燃料が混ざっていることで、これらを強力に圧縮し混合気が自ら着火すればHCCIの完成である。上記が実現すればガソリンとディーゼルの良いとこ取りが出来るガソリンエンジンとなる。しかし実現が難しかった背景は、自己着火する領域が狭く、狭い条件から外れると失火してしまう点にあった。そこでマツダはHCCIの理想を若干曲げてSPCCIという燃焼方式を発明した。まず、空気たくさん吸い込んでおいて燃焼室内のインジェクタから燃料を噴射し、リーン(空燃比36.8:1)な混合気を作る。これを強力に15.0という圧縮比で圧縮し、点火プラグが生み出す火花で点火する。そうして生まれた小さな火球が燃焼室内の圧力をさらに上げることでガソリンが同時多発的に自己着火することが出来る。ピストンの圧縮だけでは自己着火せず、火花点火をきっかけにリーンな混合気も圧力で着火させる点がSPCCIのポイントらしい。自己着火ができない領域では通常の火花点火を行うから自動車用エンジンとして利用可能なレベルになったということだ。

エンジンは排気量2Lの水冷直列4気筒で最高出力180ps/6000rpm、最大トルク21.3kgfm/3000rpmとあり、競合するエンジン(例えばUX200に載る2Lエンジンは最高出力174ps/6600rpm、最大トルク22.8kgfm/4000~5200rpm)よりもスペック的に多少秀でている。



私はワクワクしながらCX-30に乗り込んだ。操作方法は全く普通のガソリン車と同じでDレンジに入れ、EPBスイッチを解除すれば走行可能だ。市街地走行でも良く分かるのはピックアップの鋭さである。スカイGやスカイDも試乗済みだったが、アクセル操作に対してググッと反応する点は魅力だ。指先を意識的にじわっと曲げただけなのに
車がしっかり反応を返してくれることがこんなに気持ち良いことなのか、キャブが気持ち良いのはこういうことだったのか、という事を再認識させてくれる。現代車3悪(電スロ+CVT+EPS)は車から操作に対してリニアに反応する喜びを奪った、スカイアクティブXの味付けは(電スロだが)好感が持てた。

変速機は6速AT。世間的には7速やら8速やら多段化が著しいが、個人的には別に6段で困ることは無い。もともと低燃費領域が広い訳だから多段化しなくても良いはずなのだ。トルクが厚くて乗りやすいアメ車が3速ATで十分だったのと同じ理屈だ。市街地では多少変速がもたつくと言うか何速に入れるか悩んでいるような人間臭い悪癖が目に付くシーンもあるが、私はMTを選ぶので特に問題にならないかと。

大きな上り坂に差し掛かった際にスロットル開度を維持したままググッと登坂できるところは少しディーゼルを髣髴とさせた。モーターアシストの恩恵かと思いきやMハイブリッドはスズキ的な使い方でパワーを追加する働きは担わず、負荷を調整してE/G効率を良化する為に使っているらしい。ということはE/Gの気持ちよさなのだろう。

自動車専用道路に合流し、全開加速を試みた。「一応回っときますね」という感じのディーゼルとは違い、6500rpm付近までパワーを感じさせながら澱みなく回ったのはガソリンエンジンらしい。交通量が多かったので軽く追い越し加速したくらいしか試せなかったが静粛性の良さは中速域でも体感できた。自動車専用道路のランプウェイを降りる際に少しパドルシフトを駆使して高い回転数を維持しつつ気持ちよくコーナーをクリアしようと試みた。iDMから怒られない(青)領域でキレイに曲がれたが、デミオのように少し鼻先が重いかなという感触。我が家のように妻の通勤の長距離ツアラーとしての使用なら許容できる。(キビキビ成分は私にはRAV4があるので。)



スカイアクティブXは燃焼方式が違い、例えばレシプロとロータリー、ガソリンとディーゼル、エンジン車とHV位の違いがあるにも関わらず、違和感が無く乗れる点は美点と言えるのかもしれない。同じ事を悪く言えば商品性として目に見える差が小さいという言い方もある。個人的には分かりにくくとも乗り味の差には良い印象を持ったし、市街地から高速まで楽しめるE/Gだと感じられた。
乗り心地
無評価
普段、乗り心地がさほど良くないデミオに乗っているので、CX-30は18インチを履くSUVであっても乗り心地は良いと感じた。

最近はカローラスポーツなどのCセグでも普段使いでも分かるレベルで柔らかい乗り心地を実現している車がある。CX-30の乗り心地は決して褒められるようなものではない。しかし、不快では無いレベルには留めてあるので、乗り心地にこだわる人以外は硬めのしっかりした脚なのだ、と許容できそう。

我が家のようにBセグからステップアップする層からはバレなだろうが、他社の競合車と比較試乗するような人には気づかれるだろう。
積載性
無評価
普段乗っているデミオの泣き所は積載性だが、CX-30はさすがに荷室が広い。まず、奇を衒わずに適度な高さと奥行きがありフラットだ。セダンより全長が短いのに車高の高さを生かした容量が430Lあるのでベビーカーと旅行カバンを難なく飲み込むだろう。



荷物をある程度積んでも4人乗車が出来ると大変助かる容量的には カローラセダン並でも扱い易さは優れている。他の室内収納はデザインを損なわない程度には設定がある。シフトレバー前にカップホルダーがあるのは便利だし、ふたができるのは、小物入れとして使うときも重宝しそうだ。
燃費
無評価
ハイブリッドと組み合わされたガソリンを燃料にする超リーンバーンを実現する自己着火エンジン。こんなプロフィールを見てしまうとついついディーゼル並みの燃費を期待してしまうが、試乗車の燃費計は一旦リセットしたが試乗終わりには12km/Lを記録した。

渋滞路も走ったが、デミオや他のHVのエコカーを知ってしまうと、この燃費は数値的にパンチが全く無い。試乗車はカタログ値で16.8km/Lなのだそうだがガソリンとディーゼルのいいとこ取りを謳うならリッター20km/L程度は欲しかった。今後はレギュラー仕様で155ps程度にパワーを落としてもっと燃費コンシャスな味付けにしたり排気量を下げたバリエーション展開があっても良いだろう。
故障経験
スカイXは世界初であり、まだまだ未知数の部分が大きい。スカイD2.2の時も初期ユーザーで故障に悩まされる人も居たと聞く。ディーラーに聞いても「スカイDで苦労したからスカイXの初期は(わざわざ後期型のスカイDを買うような)ノイマイヤーさんには薦めないかな」との反応に苦笑い。

一方で、品質という面では本来のプレミアムなら当たり前にやっている外装のチリ合わせが不十分でチリは合っていない。



遠くから見れば分からないが、CX-30は他メーカーが時間をかけて作りこむボディ・外装の建付け精度に割く時間を省略しているかも知れない。

見える部分の購入部品は欧州ブランドを採用しつつ、エンジン補機やシャシー部品、外装部品などの購入部品は主に新興国製の部品の採用が多い。サラッと見ただけでも中国、フィリピン、タイ、メキシコ・・・。さらに見えない部分は推して知るべしだろう。

そこから推測すると、CX-30は自家製のボディ・シャシー構造とエンジン/トランスミッションにしっかり投資し、海外サプライヤ製の安い購入部品で帳尻を合わせて自社製のデザインで美しくパッケージングし、時間がかかる金型調整をすっ飛ばした車と想像される。

確かに日本製サプライヤーばかり選んでいたら、設計や品質のすり合わせは安心できても新興国の圧倒的な価格競争力に太刀打ちできない。既に新興国(特に中国)ではサプライヤーが大きな力を身につけているからその性能は表面的には並んでいるが、車両になったときの総合力は自動車メーカーの監督力、或いは図面に記載する要求スペックが適正かで決まる。

新興国の部品、海外の民族系サプライヤーの安価品をけなしている訳ではない。マツダがしっかりそれをやれていれば安い海外製の部品を使いこなしてしっかり寿命まで安全に使用できる品質が担保されるはずだが、まだ未知数だ。こういう耐久品質や経時的な性能変化は発覚までに時間がかかる為、今は注視するほかない。(私の妻のデミオも今は快調なのでこの調子の良さが是非継続して欲しい)

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