トヨタ アクア

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2021年式 アクアZ 感想文 - アクア

試乗

2021年式 アクアZ 感想文

おすすめ度: 3

満足している点
1.ヤリスを見送った層の要望に応えた立ち位置
2.Frドアトリムが一般的な樹脂になった(ヤリス比)
3.先代比でFrシートが改善され着座時の違和感が無くなった
4.アクセサリーコンセント標準化は英断
5.優しいエクステリアデザイン

先代アクアや先行するヤリスのイマイチな点は対策されている。また、他モデルではMOP設定のアクセサリーコンセントを標準化した点は災害が多い日本において非常に魅力的なセリングポイントとなるだろう。
不満な点
1.E/Gが発する振動騒音
2.16インチ仕様の乗り心地の悪さ
3.仕様設定の悪さ。GとXでも最低限満足したい
4.最上級以外黒一色の内装色、元気の無い外板色
5.HEVがフツーの現代、ヤリスより少し上級というだけでは・・・

全グレードで感じる2000rpm手前のブルブル感はちょっとした按摩機感覚。EVフィーリングとほど遠い。また、先代と比べて内外装の彩りに乏しい。また実際購入するとなるとグレード選びが難しい。そして最も懸念しているのはアクアのキャラがヤリスのちょっと上、という微妙なものになることで「10年先のフツー」を売りにしていたブランドの存在価値が危ぶまれる点だ。
総評
●アクアはBセグメントHEVの真打ち
2021年7月にFMCされたアクアは、10年前の2011年に発売されたエポックメイキングな初代のコンセプトの正常進化だ。アクア発売前のハイブリッド市場はハイブリッドのパイオニアとしてプリウスが圧倒的な地位を占めていた。初代プリウスは215万円(21世紀へGO)で発売して以来、売っても利益が出ないと言われ続けながら、地道に販売することで信頼とノウハウを身に付けていた。そのプリウスに挑戦したのが2009年発売のホンダの2代目インサイトである。居住性など若干の難はあれども189万円という低価格を武器にフィットベースでプリウスルックのハイブリッド専用車を発売したのだ。インサイトの爆発的ヒットに本気になったトヨタは3代目プリウスのスタート価格を205万円(インサイト最上級グレードど同額)に設定。さらに2代目を残置し、装備を厳選することで189万円ぴったりの価格に揃えることで見事インサイトを叩き潰した。当時のカタログでの露骨なIMAディスりはカタログ回収騒ぎに発展するほどトヨタの怒りが垣間見えた。しかし、へこたれないホンダは同P/Fのフィットにインサイト用のシステムを移植することで2010年に早くもフィットHEVを発売。コンパクトなのに室内が広く、実用性が高いフィットの良さをそのままに30km/Lの低燃費に向上させて159万円で発売した。当時は燃費ブームに沸いており、各社がカタログ燃費を競い合っていた時代だったのでアピール効果は絶大であった。本格的ハイブリッドのプリウスは中心的な価格帯は230万円~250万円程度であったため、フィットに対抗できるHEVの登場が待たれていた。

トヨタはプリウスに手が届かない層に向けて従来不可能であったHEVシステムをBセグメント用P/Fに搭載し、プリウスのアイコンであるトライアングルシルエットを借りてアクアを生み出した。35.4km/Lの圧倒的な低燃費、モーター発進が出来る、停車時にもエアコンが効くなど「HEVを買ったという喜び」はアクアのセールスポイントである。アクアはスタート価格169万円とフィットを意識した価格設定を行い、大ヒットを記録した。当時のカタログには「10年先のフツーが、駆け足でやってきた」と書かれていたが、事実アクアは化粧直しを繰り返して10年間販売された。

10年の間、トヨタはアクアのコンポーネントを活用して2012年にフランスでヤリスHEV、2013年にカローラ/フィールダーHEV、2015年にシエンタHEV、2017年にヴィッツHEV、2018年にプロボックス/サクシードHEVが発売されるに至りアクアで開発した技術は多くのトヨタ車に展開されたのだ。2019年にヴィッツがFMCされてヤリスHEVがデビューし36km/Lという性能を誇る。

トヨタのハイブリッドの小型化を達成したアクアの役割はもう終えたのではないか、その証拠に初代は延々と放置されていたではないか、そう考えていた。しかし結果は2代目がキープコンセプトでデビューしている。つまりヤリスでは取り切れないニーズがあると言うことだ。どこか優しいエクステリアデザイン、質感がアップした内装、許容できる後席スペースと荷室などかゆいところに手が届く配慮はトヨタならではの力業と言えるだろう。ただ、価格に関しては「何だかんだで結局プリウスと変わらん」という初代の伝統に倣う形で少しビミョーなものがあるのも事実。もし購入する場合は、G以上とX以下の内装に代表される仕様差・NV性能に代表される性能の差を見極めた上で慎重に仕様を選択する必要がある。

●チラつくあのモデルの後ろ姿
実際にアクアに触れて運転してみると、3気筒エンジンの振動以外はアクアとしての10年分の進化がある。しかし10年前と違いハイブリッドのBセグメントというのはありふれたフツーの技術となった。ヤリスHEVがあるのにどうしてアクアが存在するのか、という疑問がわいてくるのだ。確かにアクアはヤリスHEVでは満たせないニーズを満たすのだが、かつてのアクアの存在価値からすればそれは小さなものだ。歴史は繰り返すと言うべきか現代のアクアはターセル/コルサ/カローラIIとよく似た立ち位置になっている。

トヨタ初のFF車としてE/Gを縦に置いたFFとロングホイールベースによる優れた居住性を特徴とする初代ターセル/コルサが発売された1978年、当時はスターレットもカローラもFRが普通だった中でキャラの立ったモデルであった。ところが80年代に入り、カムリに端を発してFF化が急ピッチで進み、カムリ〜コロナ以下のモデルはすべてFF化される事が誰の目にも明白だった1986年、FMCされたターセル/コルサ/カローラIIは独創的なメカニズムを捨ててE/G横置きのFFと変わった。冷たく言えばスターレットよりホイールベースが80mm長いだけの上位モデルになった。確かにリトラ、ターボ、キャンバストップ、高品質な内装デザイン、当時のトヨタの素晴らしい手腕によって差別化は徹底行されていた。熱烈なファンがいたことも重々承知の上で書くが、元々のTOYOTA FFと銘打ったFFの最前線だった初代ターセル/コルサと比べると立ち位置がぼんやりしてしまった事は否めない。とは言え、彼らが縦置きFFを貫けば良かったかと問われると、経営的にも技術的にも商品的にも厳しい結果が見えてくるのだが。

今回の主役であるアクアは先代の輸出モデルという意義も消え、日本仕様だけが存在していると言う状況はトヨタの車種整理ラッシュの中でよくぞFMC出来たとも言えるだろう。ただ、未来永劫ヤリスよりちょっと上、という立ち位置で居続けられるかは正直ビミョーではないか。これは世界初のHEV専用車プリウスにも当てはまる事で、いつまでカローラよりちょっと上のHEVで居続けられるかは分からない。

当時のインパクトを想えば今度のアクアはヤリスで開発したユニットを積んでいる場合では無く、Bセグ初のPHEV或いはFCEVを実現しておくべきだったのかもしれない。(無理は承知だが、10年先のフツーを実現していない新型アクアは10年持たない気がする)
デザイン
4
●エクステリアデザイン
2代目アクアはどこから見てもアクアだというスタイルをしており、彫りが深いヤリスと比べて伸びやかな曲線フォルムはトヨタにしては珍しい癒やし系(死語)の面持ちである。Frタイヤ前のバンパー側面をフラットにすることで整流効果を高めるエアロコーナーという処理がここ10年くらいは定番だったのだが、さすがにスタイリスト自身も飽きてきたのかついに目立たないように工夫されている。

フロントマスクは初代の最終型と似たイメージを継承している。ヘッドライトは全車LEDが採用されている。上級仕様はBiビーム(Hi/Loを一つの光源から照らす事が出来るので意匠自由度が高い)、標準仕様はマルチリフレクターでLoとHi別々の光源を持つ。ヤリスではコスト的に有利なハロゲン球タイプの存在するが、アクアは最廉価でもLEDというところに差がついている。大きなグリル開口の周囲をモールが囲んでいる。グリルは最上級のみピアノブラックでそれ以外は素地、モールは上級グレードがペールゴールド塗装、下級グレードが素地とグレードマネージメントは徹底している。フォグが低く外側に配置されてバランスのいい配置もなんだか安定していて私は好みだ。

サイドビューはプリウス譲りのトライアングルシルエットだ。フードからAピラーまで角度変化少なく一気に頂点まで駆け上がり、Rrスポイラーへ降りていくが、先代よりもその表現は控えめだ。

ベルトラインも前下がりの勢いはあるが、さらにRrドアで一気に切れ上がる勢いの良さを見せる。先代はRrドア固定窓から切れ上がっていたが新型はQTRピラーまでウィンドゥグラフィックがはみ出している。実は先代アクアは視覚的にQTRピラーの面が前後方向に長いため重たく感じさせる造形だった。空力を考えるとルーフを極力後ろまで引っ張りたいのでQTRピラーは立ち気味になるが、そのままではトライアングルシルエットに見えない。そこでドアオープニングとベルトラインだけでは消しきれない部分を大型Rrコンビランプをサイドに回り込ませることで緩和していた。同じ車幅と考えると新型はグラマラスな曲面と先代同様食い込んだRrコンビランプに加えてコストのかかる別付けの黒素地ガーニッシュをQTRパネルやドアに設定し勢いのあるベルトラインを表現した。

リアビューは先代と比べるとバックドアの丸みが増えており、印象が大きく異なる。大型Rrコンビランプが縦に貫いているが先代と違って大きくカーブしていてバックドアの丸みをさらに強調している。先代のどこか理系的なフォルムとは違いねっとりしたラウンディッシュ造形は90年代的で個人的には悪くないと思う。特に先代のRrライセンスガーニッシュがひどく時代遅れに見えていたが新型ではボディにインテグレートされてすっきりした。

新型アクアのエクステリアデザインは一目でアクアと分かるほどキープコンセプトだが、並べてみると思いのほか異なっている。特に絞り込んだRrボデーキャビンとホイールハウスの張り出しは狭い車幅の中で見事だと思う。またプリウスを匂わせる要素(トライアングルシルエットやパコダルーフ)は減らされて居る点も注目したい。ディテールは確かにアクアに見えるが実は結構先代と趣を変えているのだ。

●インテリアデザイン
インテリアは初代アクアのセンタークラスター周りのイメージを引き継ぎながらもセンターメーターを廃止、プリウスと共用していたステアリングは小径のヤリス流用品になった。

インパネは硬質樹脂ベースだが、乗員の目の前にはグレード別で表皮巻きのパッドが柔らかく温かみがある。実は上下方向に高いインパネは圧迫感さえ感じさせるが、シャンパンゴールドに塗られたオーナメント(最上級のみ)の縁取り効果でスッキリ見えてスタイリッシュだ。目を引くのは中央のディスプレイオーディオだが、最上位は10.5インチの大型タイプ、標準は7インチだが見栄えも良く先行するRAV4やハリアーよりも懲罰感が減っている。私のようなおっさんに嬉しいのはCD/DVDデッキが装着できるようになった事も見逃せないが、残念ながら助手席前の貴重なスペースをかなり浸食する。大型ディスプレイ下はエアコン操作パネルは最上級はディスプレイオーディオの操作ボタンも兼ねており、物理スイッチで操作できる点は良い。

ドアトリムは硬質樹脂を基本としてグレード別でアームレストにインパネオーナメントと同素材ソフト素材とピアノブラック加飾が着く。我が家のデミオと比べるとほとんどが硬質樹脂のっぺりした面で布の面積が小さい点は質感という面で気になるが、運転中は常に横を見ているわけでは無いので良いじゃ無いかと言われれば納得させられそうになる。特にRrドアトリムは切れ上がったベルトラインにも追従していて生産性都合で鉄板むき出しのキックスやポロよりも優しさを感じる。

シートは下からヤリスと共通のハイバックシート、ヘッドレスト別体型シートの二種類だが、さらにイージーリターン機構やターンチルトシート、合皮+ストライプ柄パワーシートの選択肢がある。共通している印象は先代のシート座面に感じた変な当たり方(お尻の後ろの方を前に押される様な感覚)が無くなり、純粋なヤリス流用品になって着座感は改善されている。

この中で選ぶべきでは無いのがパワーシートだ。従来、前後・上下・リクライニングの為に三つのモーターが必要だったところ、カラクリ的な工夫によって一つのモーターだけで操作できるようにすることでコストを下げてコンパクトカーへの採用が可能となった、とシートサプライヤーのプレスリリースが出ていた。しかしスイッチ操作ロジックが直感的ではないし、操作ストロークが大き過ぎるためパワーシートが持つ利便性は大きくスポイルされる。ちょんちょんちょんと前に出したい時に使いにくさがイライラさせる。素晴らしいアイデアだが、意あって力足りずの領域に留まる。これなら普通のマニュアルシートで十分と考える。

見た目が許せるなら最廉価のハイバックシートも座り心地は悪くない。しかし私の好みではなく、自分が選ぶならローバックシートが必須だと考えている。(コレばっかりは好みなので仕方ない)

運転席に座った感じの眺めはワンモーションフォルムの影響でカウルが高いが特に視界が悪いということも無い。同一P/Fのヤリスとよく類似しているのだが、ヤリスよりもアクアの方がインパネの「そびえ立つ」感覚は強い。しかし窮屈と言うことは無く頭上空間もショルダー幅もしっかりあるのでBセグとして不満は無い。むしろ後席の方がヤリスとの違いが感じられるのは後席である。明確に足下・頭上空間に余裕がある。元々先代アクアもあのトライアングルシルエットを想えばうまく後席も成立させていると思えるが、新型も余裕は無いがヤリスよりは後席に乗せると言ってもさほど負い目を感じることは無い。ホイールベース延長の効果なのか先代で辛かった足引き性も改善されている。

先代アクア(初期)ではブラウン、グレー、グリーンの内装色が選べたが新型は少々寂しい。最上級のみインパネがネイビーになるCOZYが選択できるが、それ以外のグレードはすべてブラックのみの設定という点が残念だ。(ヤリスも複数の選択肢があるが、国内専用のアクアの割り切りポイントなのかも知れない)私は先代アクアの内装の明るいアクセントカラーも結構評価していたのだが。

★はエクステリア4点でインテリア3点
走行性能
3
運転席に乗り込んでスタートスイッチで起動する。先代アクアではメカキー仕様が存在したが新型アクアでは全車スマートキーによるプッシュスタートとった。将来的には鍵をひねる動作をしても誰も車のエンジンをかける動作だと気づかなくなる日が来るだろう。

先代アクアでは親しみやすいゲート式シフトを採用していたが、エレクトロシフトマチックが採用された。限りあるインパネのスペースの節約になるメリットが大きいが、常にホームポジションに戻る操作は間違いを起こしやすいとも言われている。ステアリングがヤリス共通品になった今、プリウスとの共通性を新たにシフトレバーに感じることが出来た。

EPBのスイッチを探したところ、営業マンから足踏み式であると案内された。2021年の新型車としては珍しいが、私は特に気にしない。ただ、気にする人は気にするようで「HOLDモードが欲しい」というクレームはよく受けるそうである。だがアクアはEPBではないが全車速追従式クルコンが備わっているのだし、やはり私は気にしなくても良いように感じる。

発進して市街地メインで走行させる。EVライクに連続的な加速フィールはヤリスHEVとよく似た感覚だ。大きな跨線橋の上り坂でぐーっとアクセルを踏み込むとBセグらしからぬ加速を見せてくれる。この加速は大いに満足感のあるもので、市街地でありがちな脇道から大通り合流したいときにクルマの切れ間を狙って加速するシーンで大いに違いが分かるはずだ。

私は先代アクアの「遅さ」が気になるタイプだった。空力を優先したスポーティな装いから想像するとシステム出力100psとは言え頼りない感覚を持っていた。新型のシステム出力はディーラー調べで85kW/114ps。先代オーナーなら必ずわかる明らかな走りの違いがある。いい。

今回バイポーラ型ニッケル水素バッテリーという新技術がアクアで初めて搭載された。世界最初のHEV量産車であるプリウスにはニッケル水素電池が採用されており、トヨタ車の中では標準的な電池とされてきた。

ところが2011年のプリウスαにてトヨタとして初めてのLiイオン電池を搭載した。高出力でコンパクトに詰めると言うことでプリウスαの3列仕様車のコンソールボックス内にLiイオン電池を搭載していた。以後、Liイオン電池がスタンダードになるかと思いきやニッケル水素電池をグループ企業で地道に磨いてきた点はトヨタグループの底力を見せつけられる思いだ。

実は1996年に世界で初めてニッケル水素電池を自動車に搭載して市販したのもトヨタ(RAV4 L EV)なのだ。

このバイポーラ型ニッケル水素電池の何が新しいのか。私は高専時代に化学で、大学時代には電磁気学で赤点をとるほど学業に秀でていないが、WEBを駆使して調べて素人的に理解した結果はこうだ。シンプルな構造にすることでロスを減らし、その分空いたスペースにも使って大容量化できる、或いはシンプルな構造だから高速充放電が可能になる。トヨタの資料によれば同じ体積で2倍の出力が発揮できると言うことで、さっさと回生してさっさと使いたいHEVに適した電池ということらしい。トヨタのオフィシャル写真を見ると、これまでの電池は+極と-極で一対の電池(セル)を直列つなぎしている。バイポーラ型はセルを大きな一つに集約して、+極-極のセルを集電体から直接次のセルにつないでいる。電気も端子を通らずに集電体を通るので経路が短い。集電体の数も減っている。従来型電池の集電体は+極(Ni製)、-極(Ni-Cr合金製)それぞれの集電体があるが、バイポーラ型は一つの集電体の表に+極があるとすると、裏側に-極が居るので、一粒で二度おいしい(違う!)集電体になっている。

アクアの場合、よりパワフルな電池の採用で時速40km/hまでEV走行域が広がった。持久力に関してはHEVゆえいつでも充電でき、それもバイポーラ型は高速充電が可能という。これを活かしてバイポーラ型電池を積むアクアにはドライブモードセレクトの中にPOWER+モードが新設された。いわゆるスポーツモード的に加速が良くなるだけでは無く、アクセルオフ時の回生を強めてワンペダルドライブ的な楽しみ方が出来るように作られている。ワンペダルドライブ的と書いたのは減速度は他社よりも弱く設定してあるからだ。あくまでも走行時の踏み替えを減らしリズミカルな走行のための制御である点が、停止まで面倒見ます!という他社と異なる点である。先代のノートe-Powerの加速には魅了されたが、ワンペダルはガクガクして馴染めなかった。私は停止にはブレーキペダルを踏ませるトヨタの考え方に賛同する。

またステアリングはヤリス流用の小径タイプでボタン配置などにマツダっぽさを感じてしまうが、
まん丸で回しやすい形状をしており、送りハンドルなどの操作が行いやすい。ちょっとしたS字コーナーも小径ゆえキビキビ回っていく感覚で悪くなかった。小径ステアリングでは奥のメーターの視認性が問題になるケースが多いが、アクアの場合はデジタルメーターのためステアリングとメーターのカブリが無くいい。ちなみに最小回転半径は15インチグレードが5.2mで16インチ仕様は5.3mである。初代アクアは標準15インチは4.8mで16インチは5.7mととんでもなく回らない車だった。3気筒を積んでFrサイドメンバーを内側に寄せられればもっと切れ角をとれるのに!と思いきや衝突性能を考えるとある程度外側に骨格がある方が有利なんだろうな・・・と素人的には想像する。それにしても標準仕様4.8mは偉大だったのに新型で0.4m悪化したことを残念がるべきか、最上級仕様の16インチでは小回り性能が0.4m良化したことを喜ぶべきか。

最後にIPA(インテリジェント・パーク・アシスト)は「トヨタチームメイト」と名称を変えて進化を見せた。想えば2006年のカローラアクシオでこの装備に初めて触れたとき「こんな面倒くさいもんは使えない!」と心から失望したものだが、2021年のアクアではどれほど進化したのか。試乗車に装備があったのでディーラー敷地で体験した。

まず、駐車場をすっと走り、停車させPレンジに入れる。カメラやセンサーに駐車場の様子を見せてあげる必要があるからだ。その後、シフト横のIPAスイッチを入れるとディスプレイオーディオに周囲の画像が映し出される。駐車したいスペースを選んでやればそこに駐車してくれるのだが、アクシオ時代と比べて検知精度が上がっている。アクシオ時代は検知精度の問題で、ディスプレイをタッチ操作でちょんちょんちょんと微修正しないと駐車枠に収まらなかった。アクアの場合、駐車位置を決定すると後は手と足を離して良い。勝手にクリープでバックを始め、シュルシュルとステアリングが勢いよく操舵される。曲がりきれず前進するときも、勝手にRからDレンジに切り替えて前進し再びRレンジに自動で入れて後退すれば作動が完了する。アクシオ時代は前進後進はドライバーが責任を持って行いあくまでもステアリング操作だけの補助であった。新型では自宅駐車場のように区画線が無い駐車場もメモリ機能で覚えさせることも出来るので汎用性も広がった。カタログによると、単体装備は出来ず、パノラミックビューモニター(シースルービュー付き)とパーキングサポートブレーキが同時装着される(検知と緊急停止にその機能が必要)ため税込み18.8万円である。他の装備を差し引くと約8.7万円が単体価格だ。参考までにアクシオ時代は税込4.2万円だったが価格は置いておいて、ようやくギリギリ使える様になってきた。

個人的にはパノラミックビューモニターがあればIPAのお世話になる必要は無いと考えている。ちなみに、左後ろの視界は最近の車と同様に悪いレベルに甘んじている。暗室で明かりを照らして死角の少なさをカタログ上でアピールしていた時代が嘘だったような変わり様だ。我が家が買うならパノラミックビューモニターは必須になるだろう。

先代アクアと比べると動力性能はぐっと良くなったがクラス水準から見れば標準範囲内。4点はあげられない。
乗り心地
2
アクアはX/G/Zグレードに試乗したが、それぞれの乗りごこちやNV性能は明らかに異なっていた。

一番最初に試乗したZは標準で15インチアルミを装着しており、良路ではスーッとなめらかな走りが楽しめた。コンクリート路でも細かい凹凸を拾わず乗り心地がいいなという印象で、ホイールの選択としてはコレがベストだと感じた。特にZ(FF)にはスウィングバルブショックアブソーバーなる専用装備がある。これはカヤバの技術で先行してレクサスESなどにも採用されている。ショックアブソーバーの動き出しの微低速領域でしっかり減衰力がでるという機能がある。舗装悪路はもちろん良路での身のこなしも良い意味でソフトで好感を持った。

同じホイールをMOP選択した普及グレードのXに試乗するとその印象は変わってくる。別日に試乗したのに明らかにZとは違うと実感できるほど路面のザラザラを拾う印象だ。Bセグとしてみればこんなもの、というレベルには位置するし、大きなガツンとくるショックもいなしているのでタイヤ交換前の我が家のデミオよりも乗り心地は優れているが、好印象だったZとの落差を感じた。

さらに別日に試乗したGではMOPの16インチアルミが装着されていた。印象としては、最も悪い印象でザラザラゴツゴツした堅さを感じてしまった。格好良さはあるものの、私のベストは15インチだ。

静粛性もX/G/Zで巧みなグレードマネージメントが行われている。

共通して言えるのはモーターで発進した時は未来感、EV感を楽しめるがE/Gが起動した瞬間がっかりする。電気按摩機のようなブルブル感はヤリスで感じた違和感そのものだ。3気筒だからという事なのかは分からないが、Zに装備されていたタコメーターでは2000rpm手前で特にひどい。跨線橋のようなところを通過する際に元気よく加速させると、動力性能の項目で書いたとおり、イメージより力強い加速性能を発揮するが、同時にE/Gの賑やかな音以上にブルブルした振動が誰でも気づけるレベルで発生しているのは最も印象の悪いポイントとして指摘したい。ブルブル振動と同時にE/G音も確かに聞こえてくるが、こちらはZ、GとXでは明確に音量が異なっている。カタログでも高遮音性ウインドシールドガラスの有無、フードサイレンサー有無、など静粛性向上アイテムに差がある。見えないところでも結構省かれているんじゃ無いの?と言いたくなるほどの遮音性の違いが見られた。先代アクアは走らないと感じたものの、当時の感覚として決してうるさいと感じたことは無かった。新型アクアは少なくともG以上を買わないと現代的なBセグの静粛性は無い。Xグレードは10年前のアクアや軽自動車と比べて優れると言うレベルだ。50km/h位で滑るようにEV走行をしていると、おっいいな、と思える場面もあるがE/Gの音の悪さと振動が本当に邪魔に感じてしまう。

上位仕様で競合車と比較すると地味なエンジンだが直噴のカチカチ音が気づかないレベルのマツダ2のガソリンや素性の良い4気筒E/Gを使ってモーターだけで走るFITのe:HEVの方がNVが良いと感じられた。一方でノートePOWERと比べると停止時に非常に目立ったこもり音に関してはアクアの方が優れている。ブルブル感は同じく3気筒のノートでは気にならなかった。Z(FF)の15インチ仕様の乗り心地と静粛性が最もよい。Gの15インチ標準仕様はスウィングバルブショックアブソーバーは
着かないものの乗り心地と静粛性のバランスはとれていると予測する。16インチはスタイリッシュだが乗り心地の面では積極的におすすめしない。Xは下駄代わりという方には良いのだが、そういう方にはいっそ最廉価のBで良い。

乗り心地は15インチのZ(FF)は★4つだがそれ以外は★3~2レベル。振動騒音はZ(FF)は★3つだが、それ以外は★2レベル。加速時のブルブル感は電気あんまみたいだ。もっと下位グレードの実力を引き上げて欲しい。
積載性
3
アクアのラゲージはスクエアで想像するより広く感じられる。VAD方による測定結果は278L。ヤリスが270L、マツダ2が280L、フィットが330L、ノートが340Lと広い。

デミオを使用している私の経験上、ベビーカーとまとめ買いした食料品くらいなら余裕を持って積み込めるが電気屋で電子レンジを購入して持ち帰る際や旅行鞄のような嵩張るものは諦めざるを得ない。ベビーカーを積まなくても良いなら普通の生活やたまの旅行も対応可能だろう。

その他収納面ではグローブボックス(ダンパー付)やコンソールボックス(タブレット対応)、スマホトレイや助手席アンダートレイ、買い物アシストシートが備わる他、新たに後席向けにセンターアームレスト付けのカップホルダーが着いた。

逆にシートバックポケットが最上級のZには装備されずGとXのみMOP扱いになるという不可解な仕様設定も見受けられる。シートバックポケットは近年道路地図を車載する習慣が消えつつあり、使われていないという考えなのかもしれない。(我が家は子供用のちょっとした玩具の収納に丁度良いので活用しているが)

フィットやノートのようにユーティリティを売りにした車では無いので★は3つ。
燃費
無評価
先代でカタログ値40km/Lを出したインパクトはあるが、新型アクアは32.0km/L~35.8km/LであるがWLTCモードとなったことでカタログスペック的にはDOWNしているが、実用燃費に近いWLTCモードで全車リッター30km/L越えしているのは立派だ。

ヤリスHEVの方がカタログ燃費は32.6km/L~36km/Lと微妙に負けている。BセグHEVの中心的モデルであるアクアがヤリスに数値で負けている点も「あれれ」と素直に違和感を持つ。プリウスの燃費がカローラに負けることも違和感があるはずだ。そうは書いても、2011年ごろの燃費さえ良ければ他はどうでも良い、みたいなカタログ燃費至上主義の時代には戻りたくない。(わがままで申し訳ない)

参考までにBグレードは車両重量が1080kgに押さえてあるので燃費測定上有利だ。さらに減速比も他グレードよりハイギアードになっており燃費を追求した痕跡がうかがえる。

燃費に関しては高速道路を走らなければ市街地のノロノロ路は得意中の得意なはずだ。
価格
3
アクアのラインナップは廉価仕様からB/X/G/Zの4グレード構成だ。
(FF/4WD)


B:198万円/217.8万円
X:209万円/228.8万円
G:223万円/242.8万円
Z:240万円/259.8万円


法人用と思わしきBは先代のLと同内容だ。下記に装備をまとめた。

FFは175/70R14+フルホイールカバー
黒色アウトサイドドアハンドル
2灯式LEDヘッドライト
トヨタセーフティセンス(TSS)
Frハイバックシート(シート上下アジャスター付き)
7インチディスプレイオーディオ
オートA/C
USBコンセント
非常時給電システム付きアクセサリーコンセント(AC100V/1500W)


下記の通りMOPも選べる。

スペアタイヤ:1.4万円
Rrフォグ(寒冷地仕様のみ):1.1万円
パーキングサポートブレーキ:2.9万円
トヨタチームメイト:11.4万円
パノラミックビューモニター(PVM):4.4万円
バックガイドモニター:1.7万円
寒冷地仕様:4.8万円


先代のLのようにRrワイパーレス、Rrの手巻き窓はアクアらしさを感じるが、他は意外と装備水準が高い。LEDヘッドライトや上下調整式Frシートの採用、TSSは仕様向上が著しい。また、非常給電システム付きアクセサリーコンセントは、災害が多い日本でハイブリッドユーザーからの喜びの声が報道される機会が増えた為か。アクアの車格で全車標準装備というの大変な快挙であると言えよう。(ヤリスでは4.4万円のMOP)私は素直にこの装備の標準化に拍手を送りたい。

価格は税込198万円(以後、価格は税込0.1万円単位で表現)。先代Lの169万円と比べれば29万円高くなっているが、税抜き価格では実質19万円差である。LEDヘッドライト(8万円相当)、TSS(6万円相当)、サイドエアバッグ+CSA(4万円相当)、アクセサリーコンセント(4万相当)、
ディスプレイオーディオ(4万円相当)、テレスコ、ステアリングS/Wの追加を考えるとお買い得に映る。

ただしドアハンドルが黒いという点はデザイン的劣るのと、先代に存在したクールソーダのようなボディカラーがなくなり、白・黒・銀という営業車カラーしか選べないのは残念だ。

Xはレンタカー・廉価仕様を求める個人ユーザ向け、セカンドカー需要向けか。
(Bとの価格差11万円)


185/65R15タイヤ
カラードドアハンドル
Rrワイパー(1.4万円相当)
Rr三面プライバシーガラス
バイポーラ型ニッケル水素電池
スマートエントリー
内装加飾(ピアノブラック)追加
回転式アシストグリップ

である。Xの標準仕様はカラーバリエーションが豊富になるという違いはあるが、11万円の価格差に見合っているかと言われると少し首をかしげたくなる装備差だが、バイポーラ型ニッケル水素電池による走りの差が大きいのかも知れない。Bグレードを敢えて魅力的に見せなかったのも価格コンシャスな顧客の意識をXに留めておきたい思惑があるのかも。XからはMOPの選択肢が増えてくる。

15インチALホイール:5万円
Biビームヘッドランプ:11万円
コンフォートPKG:7.2万円
ブラインドスポットモニター(BSM)+パーキングサポートブレーキ:7.5万円
ターンチルトシート:運転席8.8万円 助手席9万円
寒冷地仕様:3.3万円

カタログには記載されていないのだが、価格表のMOP一覧をじっくり見るとXのみヘッドレスト分割シートの単独MOPが存在する。価格は2200円、この安さでハイバックシートからオサラバ出来るなら私は喜んでコレを選びたい。

X用コンフォートPKGの内訳は

運転席イージーリターン機能
ナノイーX
UV/IRカット機能付きウインドシールドガラス
スーパーUVカット/IRカットドアガラス
D/P席シートヒーター
上級シート表皮(ヘッドレスト分割シート)
助手席シートバックポケット
助手席シートアンダートレイ
リアセンターアームレスト

である。

GはXに対してファーストカーとして好まれそうな装備が一通り付いている。
(Xとの価格差14万円)


グリルモール加飾
高遮音性ウインドシールドガラス
スーパーUVカット/IRカットドアガラス
パーキングサポートブレーキ(2.9万円相当)
バックガイドモニター(1.7万円相当)
本革巻きステアリング
内装加飾(シフトのサテンメッキ、インパネのステッチ付き合皮巻き、ドアトリム加飾など)
上級シート表皮(ヘッドレスト分割シート)
フードサイレンサー
助手席バニティミラー、照明など追加
Frセンターアームレスト(推定2.9万円)
Rrセンターアームレスト
ナノイーX
Rrスピーカー

XのコンフォートPKGの内容も一部取り込まれており(推定2万円相当)加えて本革巻きステアリングに代表される内装質感の向上も図られる。特に後付けの難しいNVアイテムの追加などが含まれている点は大きく現代の上級Bセグらしい味わいはG以上に備わると考えて良い。

MOPは下記の通り(Xと内容が異なるものを抜粋)

16インチALホイール:8.9万円
BSM:4.6万円
トヨタチームメイト:9.8万円
PVM:2.8万円
上記+シースルービュー機能:5.5万円
ターンチルトシート:運転席8.6万円 助手席8.8万円
10.5インチディスプレイオーディオ:3.9万円
寒冷地仕様:2万円
合成皮革PKG:6.2万円
コンフォートPKG:3.5万円

後述する最上級の目玉装備が追加できるようになっている。個人的にはGにも15インチALホイールの設定が欲しい。16インチは乗り心地が堅いからだ。

G用コンフォートPKGの内訳は

運転席イージーリターン機能
助手席シートバックポケット
助手席シートアンダートレイ
D/P席シートヒーター
ステアリングヒーター(推定1.5万円相当)


合成皮革PKGの内訳は

合成皮革シート(ストライプ表皮)
パワーシート(推定1.5万円相当)
D/P席シートヒーター
ステアリングヒーター(推定1.5万円相当)

となる。
既に書いた通り、操作性が著しく劣るパワーシートはお薦めしない。

Zは「一番高いのもってこい」という人向けのグレードである。
(Gとの価格差17万円)
GのMOPでは補完できない装備も多々ありグレードマネージメントの頂点とも言える。


15インチALホイール(5万円相当)
グリルG/N加飾(ピアノブラック)
Biビームヘッドランプ(11万円相当)
LEDライン発行コンビランプ
LED Frフォグランプ(推定3万円相当)
時間調整式間欠ワイパー
10.5インチディスプレイオーディオ(3.9万円相当)
スウィングバルブショックアブソーバー

X→Gの時と比べると、価格が分かる装備だけで合算するとすぐにお買い得に感じられる仕様設定だ。MOPもGでは選べない固有の内容も多い。

16インチALホイール:4万円
BSM+PVM(シースルービュー機能):10.1万円
トヨタチームメイト+BSM+カラーヘッドアップディスプレイ:18.8万円
寒冷地仕様:2万円
合成皮革PKG:6.2万円

個人的にZのMOP設定は疑問に感じておりシートバックポケットや助手席アンダートレイが備わらず、パノラミックビューモニターも高機能版のみの設定でしかもセットオプションのみ。このあたりの整合性は取れていないと感じられる。

個人的におすすめのグレードは、満足度重視ならGグレード以上となるが、割り切るならBグレードのお買い得さはアリだ。

地方在住のシニアドライバーが現行アクアから買い換える、なんて場合ならBにパーキングサポートブレーキとバックガイドモニターさえつけてあげれば本体価格204万円で済む。(200万円を超えているので済むという言い方もアレだが)

逆に、アクアを十分満足できるファーストカーとして使いたい人はG以上を推奨。NV性能の差は決して小さくない。もし友人にアクア購入を相談されたら、Gにスペアタイヤ、BSMとPVM(標準版)、コンフォートPKGと寒冷地仕様を選びたい。これで235万円となる。本当は+5万円で15インチALホイールを選択出来れば良かった。あとはフロアマットとETCとドラレコとナビとコーティングでもつけてしておけば十分。この内容でも300万円は切れるはずだ。

もし、我が家のデミオ代替を想定する想定なら装備を合わせる意味で、フルオプションに誘導される。ホイールは乗り心地を重視して15インチとすると、車両本体価格だけで284.77万円というプリウスが買えそうな車両本体価格になってびっくり。もちろん簡単に300万円を超えるノートと比べれば遙かに良心的ではあるが。参考までに我が家の2018年式デミオの車両本体価格は232万円だった。機能の充実は理解出来るが、車の価格は上がる一方だ。

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