雪もウェットも更なる安心へ!
ミシュランの新作「クロスクライメート 2」をあらゆる路面で徹底検証

”雪も走れる夏タイヤ”の最新作、「ミシュラン クロスクライメート 2」がデビューした。高性能と評判の前作よりも更なる進化を果たし、溝が減っても性能が持続する”性能持続性”にも配慮された新作は、どのような走りを見せるのか? 厳冬の雪道から夏の舗装路まで、あらゆる道を走り込んでチェックした。

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CHAPTER. 01

ユーザー満足度は90%

2018年にミシュランから発売された”雪も走れる夏タイヤ”、「MICHELIN CROSSCLIMATE +(以下:クロスクライメート プラス)」は、発売以来、販売が好調だ。

「クロスクライメートシリーズ」は、「スリーピークマウンテンスノーフレークマーク」と「M+S」が刻印され、冬用タイヤ規制時でもチェーン装着が不要な”オールシーズンタイヤ”として市場では認識されているが、その本質は、サマータイヤとしての高い性質を有しながら雪上も走れる新しいコンセプトの”夏タイヤ”。「オールシーズンタイヤは中途半端」というイメージを見事に覆し、新しいマーケットの開拓に成功した。

みんカラユーザーの投稿によって選ばれる「パーツオブザイヤー年間大賞」を2019年から2年連続獲得中であり、ユーザー満足度は90%というデータからも、その人気の高さが窺える。

そんなクロスクライメート プラスの後継モデル「MICHELIN CROSSCLIMATE 2(以下:クロスクライメート 2)」が8月に発表された。

技術的な特徴としては、V字の角度が前作よりも大きく切れ込み、ショルダーにかけてより幅広くなる「新Vシェイプトレッドパターン」を採用。シリカを用いた新開発のトレッドコンパウンドである「サーマル・アダプティブ・コンパウンド」は、より幅広い温度域でのグリップ向上を狙っている。

果たして、これらの技術はどのような効果を発揮しているのか? 雪上はもちろん、ドライ/ウェット路面、夏の一般道から高速道路、テストコースまで、あらゆる路面とシチュエーションを走ってチェックした。

センターからショルダー部にかけて溝面積が広くなることで、排水・排雪性能が向上し、ウェット/雪上路面でより高いパフォーマンスを発揮する「新Vシェイプトレッドパターン」

センターからショルダー部にかけて溝面積が広くなることで、排水・排雪性能が向上し、ウェット/雪上路面でより高いパフォーマンスを発揮する「新Vシェイプトレッドパターン」

欧州で冬季用タイヤとして走行性能基準が認められたタイヤに打刻される「スリーピークマウンテンスノーフレーク」。高速道路における冬用タイヤ規制下でも走行が可能だ

欧州で冬季用タイヤとして走行性能基準が認められたタイヤに打刻される「スリーピークマウンテンスノーフレーク」。高速道路における冬用タイヤ規制下でも走行が可能だ

テスターは、レーシングドライバー/モータージャーナリストとして活躍する佐藤久実さん。冬の雪上路から夏のドライ/ウェット路面まで、あらゆるシチュエーションで進化をチェックしてもらった

テスターは、レーシングドライバー/モータージャーナリストとして活躍する佐藤久実さん。冬の雪上路から夏のドライ/ウェット路面まで、あらゆるシチュエーションで進化をチェックしてもらった

想像を超える

CHAPTER. 02

想像を超える

まずは、ユーザーが最も気になるであろう雪上性能を冬のテストコースで確認する。圧雪での定常円旋回では、安定した軌道でキレイな円を描くことができた。リアのグリップ力が高く、フロントは微小舵角から応答性に優れている印象だ。

これは理想的なクルマの操縦性なのだが、不安定な雪上でいとも簡単にやってのけてしまうことに驚きだ。ステアリングの修正もほとんど必要ない。トラクションコントロールやVSC(横滑り防止装置)をオフにしても安定していて、特に横方向のグリップの向上を確認できた。

パイロンスラロームでも印象は変わらない。ステアリングを切ってからヨーの立ち上がりが早く、すぐにクルマが曲がり始める。そしてリアの追従性も高く安定していた。

前作、クロスクライメート プラスで同じコースを走ってみると、円旋回の車速は2km/hほど低い。ハンドルの舵角が大きく、車速を上げていくとアンダーステアやオーバーステアが顔を出し、キレイな円を描くのが難しい。スラロームでも2km/hほど車速差があり、ステアリングを切ってからクルマの向きが変わるまでちょっと待つ必要がある。

圧雪のフルブレーキでも、制動距離の差を目視で確認できた。ミシュランによると、雪上でのブレーキング性能は約7%*向上していると言うが、正直クロスクライメート プラスも十分に高性能なので、ここまでの進化を体感できるとは思わなかった。

*【試験条件】タイヤサイズ:205/55R16 94V XL、空気圧:230kPa、試験車両:VW GOLF 1197cc(DBA-AUCJZ) 前輪駆動 ABS使用、試験方法:実車制動距離測定(40-0 km/h)完全停止試験による、試験路面:圧雪路面(JATMA制動試験路面を遵守)

横方向のグリップ向上が目覚ましく、定常円では終始安定した挙動を披露した

横方向のグリップ向上が目覚ましく、定常円では終始安定した挙動を披露した

前作と比較し、雪上ブレーキング性能が約7%向上。強くブレーキを踏んでも、タイヤがしっかりと雪を噛んでくれる安心感がある

前作と比較し、雪上ブレーキング性能が約7%向上。強くブレーキを踏んでも、タイヤがしっかりと雪を噛んでくれる安心感がある

高性能と言われた前作「クロスクライメート プラス」と比較しても、性能/フィーリングの両面で新作はハッキリと進化していた

高性能と言われた前作「クロスクライメート プラス」と比較しても、性能/フィーリングの両面で新作はハッキリと進化していた

アスファルトと変わらない感覚で運転できる

CHAPTER. 03

アスファルトと変わらない感覚で運転できる

続いて、雪に覆われた一般道に出てみる。リアルワールドは、テストコースと違い圧雪やシャーベット、時に凍結路もあり、さらにはアンジュレーションや轍もあるから、路面コンディションが刻々と変わり緊張感がある。しかし、ここでもリアの高い安定性は覆ることなく、一般道においてはそれが安心感につながることを実感した。

主に圧雪とシャーベット路面での走行だったが、どんな状況でもほとんどVSCが作動しない。つまり、しっかりとトラクションがかかっているのだ。ステアリングの手応えもしっかりあって、コーナーでも操舵に対して遅れなく素直な反応を見せるなど、ほぼアスファルト路面と変わらない感覚で運転できる。

これは、冒頭で触れた新技術、新Vシェイプトレッドパターンとサーマル・アダプティブ・コンパウンドの効果だろう。幅広い溝を備えることでより多くの雪を掻き出し、低温からグリップ力を発揮するコンパウンドが路面と密着する。氷上での走行は推奨していないものの、”雪も走れる夏タイヤ”として雪上では安心して走ることができた。

様々な路面状況が混在するリアルワールドでは、その進化が安心感へと繋がる。なお凍結路面での走行は推奨していないので注意が必要だ

様々な路面状況が混在するリアルワールドでは、その進化が安心感へと繋がる。なお凍結路面での走行は推奨していないので注意が必要だ

夏タイヤにもかかわらず「(雪上において)ほぼアスファルト路面と変わらない感覚で運転できる」とは佐藤久実さんの弁

夏タイヤにもかかわらず「(雪上において)ほぼアスファルト路面と変わらない感覚で運転できる」とは佐藤久実さんの弁

新開発の「サーマル・アダプティブ・コンパウンド」のおかげで、刻々と変化する路面状況に幅広く対応でき、一年を通してより安心して走行することが可能となった

新開発の「サーマル・アダプティブ・コンパウンド」のおかげで、刻々と変化する路面状況に幅広く対応でき、一年を通してより安心して走行することが可能となった

相反する性能を高次元で両立する技術力

CHAPTER. 04

相反する性能を高次元で両立する技術力

季節は変わり、”夏タイヤ”本来の性能をテストコースで確認する日がやってきた。ミシュランのデータでは、ブレーキ性能がドライで約5%*、ウェットで約6%*向上とある。

実際に試してみると、いずれも制動距離は短くなっており、特にウェット路面ではブレーキを踏んだ瞬間の制動の立ち上がりに明らかな進化を感じることができた。ダブルレーンチェンジでは、操舵に対する応答性に優れ、常に安定した姿勢を維持する。

実は、新しいトレッドパターンとコンパウンドは、ウェットや雪上性能は向上させるものの、ドライ性能に対するアドバンテージはない。雪とドライの要求は相反するものだから当然といえば当然だが、ユーザーは圧倒的に夏タイヤとして使うことの方が多いので、その性能が落ちることは許されない。

そこで採用された新技術が「V-ランプエッジ」と「LEVサイプ」。V-ランプエッジは、エッジ部の面取り加工によりブレーキ時のブロックの丸み込みを抑えて接地面を最大化させることで、ドライ路面での高い制動力を実現する。

LEVサイプは、ブロック同士が支え合い、倒れ込みを抑制することで剛性を確保。高いグリップ力を発揮する。相反する性能をここまで高次元でバランスしていることに驚くばかりである。

*【試験条件】タイヤサイズ:205/55R16 94V XL、空気圧:220kPa、試験車両:VW GOLF 1197cc(DBA-AUCJZ) 前輪駆動 ABS使用、試験方法:実車制動距離測定(80-20 km/h)不完全停止試験による、試験路面:アスファルト、水深:1.0mm+/-0.5mmの範囲

*【試験条件】タイヤサイズ:205/55R16 94V XL、空気圧:230kPa、試験車両:VW GOLF 1197cc(DBA-AUCJZ) 前輪駆動 ABS使用、試験方法:実車制動距離測定(100-0 km/h)完全停止試験による、試験路面:アスファルト

オールシーズンタイヤではなく、あくまでも”夏タイヤ“と謳っているだけあり、夏路面ではあらゆる性能を高次元でバランスさせている

オールシーズンタイヤではなく、あくまでも”夏タイヤ“と謳っているだけあり、夏路面ではあらゆる性能を高次元でバランスさせている

エッジ部に施された面取り加工が「V-ランプエッジ」。強い力がかかってもブロックの倒れこみを防止する

エッジ部に施された面取り加工が「V-ランプエッジ」。強い力がかかってもブロックの倒れこみを防止する

ブロック同士がお互いに支えあい倒れこみを抑制する「LEVサイプ」。夏/冬路面でのグリップを高めるだけでなく、耐摩耗性と転がり抵抗の低減にも寄与している

ブロック同士がお互いに支えあい倒れこみを抑制する「LEVサイプ」。夏/冬路面でのグリップを高めるだけでなく、耐摩耗性と転がり抵抗の低減にも寄与している

息づくトータル・パフォーマンスの思想

CHAPTER. 05

息づくトータル・パフォーマンスの思想

最後に高速道路を走ってみた。雪上性能が向上しているのに、高速ではしっかりとした剛性感と手応えがあり、レーンチェンジでもわずかな舵角でスーッと向きを変える。

テストコースでフルブレーキやハンドリングの性能の向上は確認できたが、高速道路ではブレーキもほとんど踏まないし、ステアリング操作もレーンチェンジの際に穏やかに行うくらい。むしろ高速クルージング時に求められるのは「快適性」だ。

前作のクロスクライメート プラスでは、時折ゴロゴロとした乗り心地が見られたが、それがスッキリした印象だ。快適で静粛性もまったく気にならない。スタッドレスタイヤは特有のロードノイズがあるが、クロスクライメート 2は”夏タイヤ”なので、その種のノイズも抑えられている。

性能に気になる点があると不安を覚えたり、疲労感からロングドライブを楽しめないが、そこはさすがトータル・パフォーマンス*を設計思想とするミシュランタイヤ。同乗者も含め快適なドライブを堪能できる。

*ミシュラン・トータル・パフォーマンス:安全性、快適性、省燃費性能、耐久性など、タイヤに求められる様々な性能の中で、あるひとつの性能に秀でたタイヤを作るのではなく、すべての性能が水準以上のパフォーマンスを備え、かつ、それぞれが調和することを追求するミシュランの設計思想。

スタッドレスタイヤのような高速走行時のグニャグニャ感がなく、夏タイヤとして高い剛性感を実感できる

スタッドレスタイヤのような高速走行時のグニャグニャ感がなく、夏タイヤとして高い剛性感を実感できる

ドライ路面で約5%、ウエット路面で約6%ブレーキ性能が進化。万が一の際の安心感がさらに向上した

ドライ路面で約5%、ウエット路面で約6%ブレーキ性能が進化。万が一の際の安心感がさらに向上した

サイズの異なるブロックを組み合わせた「バリアブルピッチパターン」を採用することで、不快な周波数音を低減。夏タイヤとして重要な高い快適性も備えている

サイズの異なるブロックを組み合わせた「バリアブルピッチパターン」を採用することで、不快な周波数音を低減。夏タイヤとして重要な高い快適性も備えている

溝が減っても性能が持続する

CHAPTER. 06

溝が減っても性能が持続する

今回の試乗を通じて、雪上性能、ドライ/ウェット性能ともにクロスクライメート プラスからの”正統進化”を体感できた。一方、試乗では確認できなかったが、ユーザーにとって重要なのは「性能持続性」だ。これについても触れておこう。

ブロックの倒れ込みを抑制するLEVサイプは、グリップアップと同時に耐摩耗性、転がり抵抗低減にも寄与してくれる。また、「P-エッジ」は、摩耗するに従ってブロック側面に凹凸と溝が現れ、エッジ効果により摩耗時のウェット/雪上性能が従来品に比べて向上する。性能が長く続くというのは、安全性、そして環境性能にも貢献する。さらに、摩耗度が3段階でわかるデザインがトレッドに施されているのもユーザーにとって利便性が高い。

非降雪地域で、年に数回降るか降らないかの雪に加え、昨今は局地的な突然の豪雨に見舞われることも少なくない。あらゆる天候、あらゆるシーンで高い性能を発揮するクロスクライメート 2なら、季節ごとのタイヤ交換の煩わしさからも解放され、年間を通して安心・安全なドライブを楽しむことができるだろう。

Text:佐藤久実 
Photo:篠原晃一 
Edit:橋本隆志(carview)

高い性能も持続しなければ意味がない。「最後まで続く安全」をコンセプトに”性能持続性”までこだわった

高い性能も持続しなければ意味がない。「最後まで続く安全」をコンセプトに”性能持続性”までこだわった

摩耗するにしたがって、ブロック側面に凹凸と溝が出現。溝が減っても効率的に排水、排雪することと、エッジ効果により摩耗時のウェット/雪上性能を向上させている

摩耗するにしたがって、ブロック側面に凹凸と溝が出現。溝が減っても効率的に排水、排雪することと、エッジ効果により摩耗時のウェット/雪上性能を向上させている

3つの丸い穴が配されたトレッド面。それぞれの穴がスリップサインに対しての摩耗率25%、50%、75%ほどで消えるように設計されており、摩耗の度合いが一目で判別できるようになっている

3つの丸い穴が配されたトレッド面。それぞれの穴がスリップサインに対しての摩耗率25%、50%、75%ほどで消えるように設計されており、摩耗の度合いが一目で判別できるようになっている

サイズラインアップ

CHAPTER. 07

サイズラインアップ

15インチ:7サイズ
16インチ:16サイズ
17インチ:16サイズ
18インチ:11サイズ
19インチ:10サイズ
20インチ:1サイズ
合計:61サイズ

タイヤ幅:175~275
扁平率:35~65
スピードレンジ:H~Y
XL規格:55(61サイズ中)
リムガード:17インチ以上かつサウドウォールの高さが110mm以下のサイズに採用

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