兵頭正俊の知らなきゃ滅ぶニュースの真相
一部、加工(太字・大文字 等)を加えてありますが
文章はそのままです。
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◆ 猪瀬直樹の役割 ◆
今日のメルマガでは、東京都知事猪瀬直樹が
徳洲会の徳田虎雄前理事長から5000万もの資金提供を受けていた問題から取り上げていこう。
時系列に沿って、これまで猪瀬直樹が語った釈明を聞こう。
( )内は兵頭の見解である。
1:昨年11月上旬に、選挙への支援を要請するために
猪瀬は徳田虎雄・前徳洲会理事長が入院する神奈川県鎌倉市の病院を訪れた。
初対面だった。
(選挙の前に徳田に会って選挙への支援を要請すれば、
それは選挙資金の要請と受け取るのが政界の常識である。
また、徳田ほどの大物になると、誰もは会ってもらえない。
仲介者が必要になる。
仲介したのは、それまで徳田虎雄と親交のあった石原慎太郎と見るのが順当である。
『NHK NEWS WEB』(11月23日付)は、
「徳洲会の徳田虎雄前理事長が次男の徳田毅衆議院議員から
「猪瀬さんが『1億円をお願いしたい』と言っている」と伝えられ、
「5000万円で対応しろ」と指示していたということです」
「関係者の話によりますと、
その後、前理事長は次男の徳田毅議員から電話で
「猪瀬さんが『余ったら返すのでまずは1億円をお願いしたい』と言っている」と伝えられたということです。
これに対し前理事長は「5000万円で対応しろ」「足がつ
かないよう議員会館で渡せ」などと指示したということです。
これを受けて徳田議員は議員会館の事務所で知事本人に直接
現金で5000万円を手渡したということです」
と報道している。
マスメディアがこのようにキャンペーンを張りだしたことは
特捜部のリークがあるからであり、その意味することは次の2点である。
(1) 既得権益支配層が猪瀬直樹を見切ったこと
(2) 大詰めを迎えた特定秘密保護法案を隠すこと
今回のメルマガでは、最初、この猪瀬問題と特定秘密保護法案のふたつを書くつもりだった。
しかし、書き出してわかったが、どうやら猪瀬だけで時間切れになりそうである。
その分は明日の有料メルマガに回すことにするが
ただ、「2」の醒めた視点は失わないことが大切である。
「2」のために「1」が実施されたとなると、最初から猪
瀬直樹はこのためにかつがれた候補者だったのかもしれない。
猪瀬は閨閥でも官僚の出自でもなく、毛並みは支配層から外れている。
死せるビン・ラディンが、米国のアフガン出兵と撤退の両方に利用されたように
猪瀬は最初からそのような役割を持たされていたのかもしれない。
現在の米国と一体化した日本の官僚にとっては、それほど
特定秘密保護法案が決定的に重要なのである。
資金提供の決定2日後の昨年11月21日には、
早くも東京地検特捜部がこの事実を把握し、情報収集を開始していたことも
わたしの見方を裏付ける。
つまり猪瀬直樹は最初から裸の王様同然だったのである。
昨年の11月19日に、衆議院議員の徳田毅が父の虎雄に電話し
「猪瀬氏は1億円ほしいと言っている」などと伝達した際に
毅の声はスピーカーを通じて父の虎雄がいた執務室中に響き渡ったということである。
そのため、会話内容が外部に漏れて、検事も2日後(21日)に情報を入手したということだ。
5000万円の現金は、虎雄・毅親子の電話の翌日11月20日に
毅が議員会館で猪瀬に手渡したとみられる。
猪瀬は翌21日に、都知事選への立候補を表明したが、
この日は、早くも特捜が情報を入手した日である)
2:その直後、都知事選の前に、猪瀬直樹は徳田虎雄から
「選挙資金としてではなく、個人としての借り入れで」
5000万円の資金提供を受けた。
5000万円の受領は「申し出を断るのは失礼」だったからであり
選挙費用や便宜の見返りを期待しての提供だったことはなかった。
「自分の預金が底を突くかもしれないという思いがどこかにあった」
「当時は政治家としての意識が弱かった。借りるべきではなかった」
と猪瀬直樹は釈明。
(ここから猪瀬直樹の説明は子供じみてくる。
選挙の直前に面識のない徳田虎雄に会えば、選挙資金の要請であり
直後に5000万円もの資金提供があれば、その性格は当然選挙資金である。
それが政界ばかりか世間の常識である。
東京都知事の給料は、世界を見渡しても政治家のトップクラスである。
そのような高給取りに「選挙費用や便宜の見返り」以外の目的で
誰が 5000万円もの生活資金を提供するだろう。
実際、徳洲会は、2015年2月に都内に武蔵野徳洲会病院を開く。
この工事着手の神事で、鈴木隆夫・徳洲会理事長は
「実績を積み、長年の夢である都の中央に病院をつくることができるように頑張ります」
と抱負を述べている。
http://bit.ly/1jwVFvd
ちなみに病院の建設には
知事の許可がいる。
医療法の第七条にはこうある。
「第七条 病院を開設しようとするとき、
医師法の規定による登録を受けた者及び歯科医師法の規定による登録を受けた者でない者が診療所を開設しようとするとき、又は助産婦でない者が助産所を開設しようとするときは、
開設地の都道府県知事(診療所又は助産所にあっては、その開設地が保健所を設置する市の区域にある場合にお
いては、当該保健所を設置する市の市長)の許可を受けなければならない」
(引用終わり)
悪文であるが、要は病院の新設には知事の許可が必要だということだ。
したがって5000万という大金の提供と「便宜の見返り」とを切り離すのは無理である。
昨年5月にグループ傘下の特定医療法人「沖縄徳洲会」が、
老人保健施設「武蔵野徳洲苑」(西東京市)を開設した。
沖縄徳洲会は、東京都から工事額全額の7億4970万円の補助を受けている。
これも猪瀬直樹が副知事時代のことである。
なるほど、当初の1億円の要求も、実際の5000万円の提供も、決して高くはなかったのかもしれない。
もちろん都民の税金である。
傑作は「申し出を断るのは失礼」だったとする猪瀬直樹の釈明である。
それ以前に普通の政治家なら、選挙直前
のこの時点で受け取れば「選挙費用や便宜の見返り」と見なされると警戒して受け取らないのである。
しかも、後で述べるが新右翼団体「一水会」の木村三浩代表が立ち会っている物々しさを考えると
猪瀬直樹の弁明は不自然であり、子供だましである)
3:5000万円のやりとりは、場所は議員会館、渡したのは徳田虎雄の次男である徳田毅衆院議員である。
受け取ったのは猪瀬直樹本人であり、立会人が1人いて、新右翼団体「一水会」の木村三浩代表であった。
無担保で、無利子の資金提供であった。
(実際に金のやりとりがあったのは、関係者の証言から昨年の11月20日である。
議員会館で受け取るのは、警備が厳重で目立たないことを利用したのだろう。
一水会の木村が立ち会ったのは、選挙資金のやりとりに証文を書かないためである。
つまり証文以上の重しをつけるためである。
ところで猪瀬直樹本人は借用書を書いた、と記者団に語っているが
知事側から現金を返された徳田毅衆院議員の母親が「知らない」とグループ内で説明している。
猪瀬は、記者会見で「借用書は返してもらったと聞いている」と曖昧にぼかしたが
5000万円もの大金の返金に、借用書を確認し、受け取った後に厳重に保管しないことはありえないことだ。
これは非常に奇妙である。
わたしは、証拠を残さないために借用書は書かれなかったのだと思っている。
そのために「一水会」の木村三浩が立ち会ったのである。
この借用書の存在は、 5000万の資金の性格を判断する上で非常に重要である。
選挙の裏金なら借用書を書かない可能性が高く、
完全な生活資金の提供なら借用書が存在している可能性があるからだ。)
4:受け取った5000万は、今年7月に死亡した妻の名義の貸金庫に入れた。
そのまま使用せず、選挙後の今年1・2月頃に徳洲会側へ返済する旨を伝えた。
しかし、妻の病気や徳洲会側の都合などで返済が遅れ
徳洲会への強制捜査後の9月になって特別秘書が現金をそのまま返却した。
(後ろめたい金でなければ自分の口座に入れたらいいわけである。
それをわざわざ妻の名義の貸し金庫に入れるというのは不自然である。
しかも猪瀬直樹の資金管理団体の、2012年収支報告書には
徳洲会関連の寄付や借入金の記載がない。
猪瀬直樹の語るように後ろめたい金でなければ、堂々と記載したら良かったのである。
公職選挙法では、選挙に使う資金は、出納責任者が「収支報告書」に記載し
選挙管理委員会に提出しなければならない。
これをやらなかった場合、出納責任者は3年以下の禁錮、または50万円以下の罰金になる。
ただ、この虚偽記載は、候補者本人の当選が無効となる連座制の適用対象にはな
らない。
猪瀬は、11月22日、記者会見に先立って「収支報告書」
を修正している。
特捜部としては、この出納責任者と、貸した徳田側の証言をもとに
猪瀬の切り崩しを図るものと思われる。
返済のタイミングも、選挙資金の提供であったことを逆に物語るものだ。
9月に徳洲会が東京地検特捜部などの強制捜査を受けたあとに全額を返却しているわけで
特捜部の追及を恐れたため返却した、と受け取るのが自然であろう)
5:今年9月に、徳洲会グループが東京地検特捜部の強制捜査を受けた後に5000万円を返却した。
(この返却のタイミングも選挙資金の提供だったことを逆に裏付けるものである。
猪瀬の語るように面識もなかった老人から5000万円もの生活援助を受けたのだったら、返却したのはなぜなのか。
特捜の徳洲会への強制捜査を見て、まずいと思ったから返却した、と理解するのが自然である)
以上、時系列に沿って猪瀬直樹の5000万円問題を取り上げてきたが
最後にまとめておきたい。
小沢一郎の場合は、言いがかりのような
世田谷不動産に関する収支報告書の問題が発端であった。
最初から、既得権益支配層の政敵を葬るための政治謀略であった。
無実の人を罰しない、でっち上げで被告に罪を着せないという原則が
司法によって破られたのである。
法の精神は、「疑わしきは被告人の利益に」であり、
「推定無罪」である。
メディアや検察のみならず、検察官役の指定弁護士まで権力の勝訴のために
「疑わしきは支配層の利益に」「推定有罪」に走ったのが
小沢裁判であった。
裁判でもっとも大事なことは、でっち上げで罪を作らないことである。
「10人の真犯人を取り逃がしても、一人の無実の人間に罪を着せてはならない」
という法の原則は、憲法が国民に保障している人権の重さからくるものである。
今回の猪瀬直樹の場合は、本人が金を受け取ったことも、「収支報告書」の不記載も認めている。
わたしは小沢一郎の裏バージョンが起きることを恐れている。
つまり、猪瀬の役割は特定秘密保護法案隠しに利用されることで
最初からチンピラの猪瀬直樹は、逮捕も起訴もされないのではないかということだ。
つまり支配層の敵ならでっち上げだろうが、葬る。
しかし、支配層の味方は、たとえ罪状が明確でも逃がすというケースである。
ポイントは「収支報告書の虚偽記載」である。
そこは、前近代的なわが国の司法では特捜の胸三寸だ。
つまり支配層にとっての、猪瀬直樹なる政治家に振られた役割を
これからわたしたちは見ることになる。
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