これから気温が上がると、チューニングしているRB26は吸気温度があがりますよね。
70℃くらいまであがると、流石に見ていて気持ち良いものではないです。
では、どうすれば効果的に吸気温度を下げることができるのか、マツダさんが公開している論文を参考にしつつ、考察してみたいと思います。
■なぜ吸気温度が高いと問題なのか?
簡単に言えば、空気は温度が上がると膨張し、同一体積内の酸素濃度が下がってしまうことが問題になります。
エンジンパワーとは爆発力であり、ガソリンと酸素を混ぜ合わせてたくさん燃焼させることで力を得ています。
酸素濃度の低い空気は、限られたシリンダーヘッドの容積内に含まれるO2量が少なく、ガソリンを燃やせる量が減ってしまいます。
エンジン出力を高めるために、諸条件を詰めていくと必ず発生するノッキングも、吸気温度により発生しやすさが変わります。
ノッキングとは、意図しないタイミングで勝手に爆発が発生してしまう現象で、通常の爆発よりエネルギー量が大きいため程度の小さいうちは音や振動の発生、重度なノッキングはエンジンの破損を招きます。
吸気温度が高い場合、シリンダー内の圧縮前温度が高くなり、自然着火しやすい条件になります。
ECUが吸気温度補正で噴射するガソリン量・点火タイミングを制御するので、基本的にはエンジンが壊れることは(正しくセッティングされていれば)ありませんが、出力は確実に下がっていきます。
■吸気温度が上がる理由
吸気が温められてしまう理由は、大きく2つに部類出来ます。
①温められた空気溜まりに吸込口がある
②管路で伝熱している
言い換えれば、そもそも(外気より)熱い空気を吸ってしまっている、もしくはエンジンルーム内の各種発熱体からの熱波により空気の通り道が温められている、ということです。
RB26においては、インタークーラーで一度圧縮された空気を冷やしますから、吸込口温度の寄与率は低めと考えています。(無関係という意味ではないです)
ですので、まずは管路の伝熱に的を絞って考えたいと思います。
■伝熱クリティカルポイント
ここで、
マツダさんの論文を見てみましょう。
NAエンジンで、複雑な伝熱経路全体をシミュレーションすることで、どこを冷却・断熱することが吸気温度への寄与率が高いのかを探っています。
結果的には、
サージタンク・インテークマニホールドの温度を下げることが効果的となっています。
※吸気経路が短いNAエンジンなので、インタークーラー付きで管路長が長いターボエンジンはまた違った結果になると思われます
ここで個人的な気付きですが、夏場に街乗りしていると2号機は吸気温度65℃ほどになることがあります。しかし、インタークーラー出口はそんなに高温になっていないんです。(触れるくらいなので、40℃台)
つまり、インタークーラー出口からサージタンクの吸気温度センサーまでの間に20℃以上温められているということなんです。
■対策方法
マツダさんは太っ腹なことに、対策方法まで記載してくれています。
・サージタンク
横置きNAエンジンで、サージタンクが前側にレイアウトされているため、そこまで走行風が通るように導風させています。
これをDIYで実践するなら、グリルやバンパー開口から細めのダクトを引いてあげると効果がある、ということになります。
また、そもそもサージタンクを高温に触れさせない、ということも大切になります。つまり、エンジンルーム内の温度を下げるということです。
タービンを交換していると、エキマニ・エキゾーストハウジング・アウトレットパイプから莫大な量の放熱があり、灼熱地獄と化していることが大半です。
ノーマルエンジンでは吸気温度40℃台でも、同じ場所でチューニングエンジンが60℃になってしまうのは、遮熱板がないことで好き放題エンジンルームで放熱しているからとみて間違いないでしょう。
・インテークマニホールド
インテークマニホールドは高温になるエンジンブロックと隣接しているため、強い昇温ストレスにさらされています。
※サージタンクもインテークマニホールドとひとつながりで、伝熱係数が高いため同様な状況
そのため、エンジンブロックとインマニを熱的に切り離すことが効果的と論文に記されています。具体的には、インマニガスケットを断熱性のあるものへ変更します。
この手法は、実はチューニング界隈で実践されており、パーツも存在します。
すぐに出てくる情報では、S2000向けに
CSOさんが断熱ガスケットを販売しています。
RB26用やその他エンジンでは、
オートスタッフさんから断熱ガスケットが販売されています。
スロットルガスケットも同様な材質で作れば、サージタンクの温度が更に下がる効果が期待できますね。
ちなみに、設計の新しい車はどんな思想で対策しているのか、ネット上で探し回っていたところ、VW8代目パサートをリバースエンジニアリングした記事が見つかりました。
https://www.marklines.com/ja/report_all/rep1541_201610
ターボエンジンですが、水冷式インタークーラーをインテークマニホールドと一体に取り付けることで、極めて管路長を短く設計しています。
これにより、インタークーラーで冷やした空気が温められたエンジンルーム内に暴露している管路を通る長さを最小限にしています。
吸込口への外気の取り入れ方も参考になりますし、良い考え方は積極的に取り入れてチューニングしていきたいものです。
Posted at 2021/04/17 14:16:49 | |
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