
基本的に自己満足完結型の写真を撮る私です。
自分が愉しんで撮影でき、愉しんでレタッチでき、愉しんでブログとかにアップして、ささやかながらに褒められたら至福の時、という(笑)
基本的に私の撮影は「引き算」です。
主役を置き、主役のどこにスポットを当て、どこに名脇役を置き、シチュエーションをどれだけ写し込むのか。
ファインダー(モニター)を覗きながら余計なモノを除外する=引き算。そんなスタイルです。
自己満足とはいっても、できる限り上手に撮りたい。
それには何も露出のテクニックとか高度な技術なんかいりません。その代わり、基本の基本は押さえて頭の隅に置いておく必要はあります。
それはほんの少しのチェックリスト。
そして、数多くのシャッターを切ること。
シャッター速度や絞り、ホワイトバランスとか測光方式とか、露出補正とか。ここらは90%は機械任せで大丈夫。撮る人は、とにかく被写体=主人公=愛車の魅力的な、エロイアングルを探し、そして次は舞台を整えることに徹しましょう。
まずは基本的な意識付けを。
それは「カメラの高さ」
人は例外なく頭の下に目があります。立った状態で見るその風景は、人生の中でも大半を占める高さと思います。
つまり、その撮影高さは「保守的」「平凡」「安定」というキーワードになります。
この高さを「アイレベル」、つまりは目の高さと言います。↓これです。
これよりも高い位置。カメラを持った手を伸ばして頭の上から。
これはちょっと俯瞰する高さ、「ハイレベル(アングル)」
↓これです。
で、腰の高さ。ちょうど大人がしゃがんだくらいの高さは「ウェストレベル」
クルマのボンネットの高さくらいですね。んむ、撮り忘れた(笑)
そして、地面に近い「ローレベル(アングル)」
犬や猫といった「小動物の視線」とも言えるような、非日常な視線です。
この4つのアングルを基本としますが、正解がどれ、というわけではないことも念頭に置きます。
アイレベルだと平凡ではありますが、「道行く人の視線」というシチュエーションでイメージが固定できます。安定した画になります。
ハイアングルは、撮りようによっては背景をシンプルにすることができ、日常見られない「ハッとするような魅力的な愛車のライン」を見せてくれるときもあります。
ウエストレベルはボディサイドを安定させ、ちょっぴり非日常感を演出します。
日常でもしゃがむだけですから、そう怪しくないです(笑)
ローアングルはスパルタンに見せたり、ハイアングル同様に背景をシンプルにさせる効果があります。また、思いっきり非日常的なイメージを持たせることができます。
街中でローアングルで色々見ていたら通報されそうですしね(笑)
普通に立って写真を撮るだけではなく、同じ場所でしゃがんでみたり、手を上に伸ばして見たり、地面スレスレにカメラを置いてみたりする「遊びゴコロ」が大事です。
ひとまずは、しゃがんで撮ってみましょう。それだけでもずいぶんとイメージが変わります。
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さて、次はちょっと小難しい話です。
こだわりのカメラでない限り、だいたいのデジカメには「ズームレンズ」が搭載されていると思います。
広角(ワイド)と、望遠(テレ)の違いってご存じですか?
より広く撮れるのが広角で、遠くのものを拡大して撮れるのが望遠?
それでは30点くらいです。もったいないです。
広く撮るのなら下がればいい。大きく撮りたいなら近づけばいい。違いますか?
さて、下の2枚の画像を見てください。
ちなみに上が広角、下が望遠で撮影したモノです。
遠くのモノが拡大して撮れるのが望遠、という答えが30点であることがおわかりいただければ幸いです。
この2枚は、だいたいクルマの大きさは一緒と思います。
何が違うのかと言いますと「撮影者とクルマの位置がずいぶん異なる」ということです。つまり、広角の写真はクルマに近く、望遠の写真は離れています。
クルマの印象、全然違いますよね?
これは広角レンズの「遠近感の誇張効果」、望遠の「圧縮効果」によるものです。
よーく背景を見てください。撮影者の位置は異なりますが、クルマは移動していません。
背景の橋に注目してください。もうわかりますよね?
いずれの写真も「クルマと橋の距離」は同じなんです。なのに大きさや距離感がずいぶんと違います。
その違いは、ボディの映りにも影響しています。
望遠の写真はクルマが引き締まって見えます。
これもどちらが正解、というわけではなく「どう写したい」「どこを強調したい」のかによって使い分けることです。
二つ、覚えてください
・広角側は広く映り、なおかつ遠近感が誇張(近いものはより近く、遠いものはより遠く)される。
・望遠側は遠くのものが拡大でき、なおかつ圧縮されて見える。
アングルは異なりますが、その例題を。
車列がぐっと短く見え、クルマはよりアグレッシヴなイメージです。
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次は撮影の「お約束」です。
これを意識し、守ることで不自然さをなくします。
まずは例題を見ましょう。同じ場所、同じカメラ設定・カメラ高さで撮っています。
違いがわかりますか?そしてそれぞれどういう印象を持ちますか?
下の画像が「お約束」を守って撮っています。
つまりは「進行方向をその逆よりも空ける」ということです。
これは人物画像も同じことです。人物の場合、その「視線のある側」を広く取ります。
たったこれだけを意識するだけで、その写真に「ストーリー」を持たせることができます。わずかなことですが、効果が高いです。
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上記「お約束」の「ストーリ付け」と似ていますが、まずは例題を。
これも上記と同じく、同じ場所、同じカメラ設定・カメラ高さで撮っています。
違いは歴然としていますが、意図がわかりますか?
意図的にしたことは二つあります。
1.背景のシンプル化。上の画像は、クルマ後部全体が写ってはいますが、背景、しかもないほうがいいようなものが写り込んでいます
2.ストーリ付け。クルマは通常、左右対称です。右半分しか見えなくても、不自然さはありません。なにせ反対側も同じなんですから。で、カメラを右に振ることによって、先に進む道が写り込みました。「このクルマはこれからそこに進むのだろうか?」そう思わせる「演出」です。
このクルマに運転者を乗せてウィンカーを点灯させればよりリアルですね。
クルマを撮る=クルマ全体を切れることなく入れる、という考えは固すぎます。
もちろん、車両全体を写す必要がある場合は除きます。しかし、風景を含めて「ストーリー」を盛り込む場合、車両全体が写ると、その写真のパンチ力やストーリー性は薄れてしまうのです。
思い切りよく切り取る、という「遊びゴコロ」もぜひ試してみましょう。
でも、過ぎたるは及ばざるがごとし。切り取りすぎると情報が足りなくなり、主役だったはずのクルマが風景の一部に成り下がってしまいます。
何事もバランスです。
↓これはロードスターの美しいラインのみを切り出した(つもり)の例題です。他が見えなくても違和感はないですよね?ね?(笑)
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引き算ともう一つのお約束
背景に余計なモノが写らないように意識しましょう。
例えば、電柱、看板、路面のゴミ、草、他のイメージに合わないクルマや歩行者、建物。
どうしても写るのなら仕方がないのですが、ちょっと左右に動いたり、しゃがんだり、カメラを持ち上げるというように、自ら動いてみましょう。
そして、シャッターを切る前にもう一つのお約束。
それは「水平」
意図してずらす必要性のない限り、水平は徹底しましょう。しかし、「必ずしも地球に対して水平」にするという意味ではなく、水平を感じさせる部分に対して合わせます。
ここらは例題を撮ってきてからまたの機会に・・
あ!「前輪の向き」のお約束も忘れていた・・これもまた・・
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ひとまず、基本の基本を羅列してみました。
それらを複合的に織り交ぜた例題を・・

■例題1
これは、アイレベルで自然な佇まいにし、オープンカーであるから空側の空間を多く取り、道は最小限としました。少しだけ望遠寄りの広角です。
遠くの堤防と橋で水平を取っています・・が、ずれていますね(笑)。これ、実は運転席側のミラー横にポールがあるのですが、映り込まないように微妙にカメラを上下し調整しました。
クルマ前後は切れないように最小限、クルマのボディを強調しました。

■例題2
これはしゃがみ地上30cmくらいのローアングルし、背景の橋が「橋と認識」できる高さにしました。望遠側です。
同時に、右後輪がわずかに見える高さとして「4輪」の安定さを出しました。
停車し、佇んでいる印象を出すために、進行方向を空けるレベルをほとんど無くしました。
ローアングルとすることで例題1よりも背景が整頓されてシンプルになっている点にも注目です。しかし、脇に川があり、橋が架かっていてさらに遠くには山あいがある、とわかるレベルです。

■例題3
例題2よりもさらにローアングルにし、ほとんど路面と同じ高さです。
望遠寄りです。
クルマの対角線上にカメラを置き、右前輪と左前輪のほぼ中心に左前輪を置きました。
背景はほとんどを空として、紛れもなくクルマを主役としました。
見る人の視線はほとんどクルマにしか行かないと思います。

■例題4
これはウェストレベルよりやや低め。広角域。
お約束を意図的に破り、後方を印象含めて多く取り、「そちらから来た」というストーリーを持たせつつ、クルマを限界まで画面に入れました。
しかし空を多く空けることにより、窮屈感を紛らわせてあります。
背景のほとんどは空と、奥行きのある道。
ロードスターの特徴であるリトラクタブルヘッドライトと、フロントバンパーとフェンダーの絶妙なラインが主役です。
運転席側のサイドウィンドウとリトラクタブルヘッドライトが認識できる高さとしました。

■例題5
ハイアングルにして、背景全てをアスファルトにしました。
駐車場のラインに正確にクルマを停め、可能な限り左右対称となるように撮りました。
私はこの後ろのアングルが好きなので強調しました。
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■使用カメラ
SONY NEX-5+標準ズーム
プログラムAE、中央重点測光
-0.3補正+HDR
レタッチの機材や手法は非公開です。
新型が登場して、ズームレンズキットの価格がこなれてきた、おすすめのカメラです。
カメラは「画素数」なんかよりも、「撮影素子の大きさ」のほうがよほど大事です。NEXはAPS-Cサイズの素子でレンズ交換式なのにコンパクト、さらには液晶モニターが可動型。
飽き性の私が、使用1年を迎えるとはただごとではない(笑)
とはいえ、カメラの性能よりも、撮り方が最重要です。
楽しく、美しく愛車を撮りましょう!