コンデンサが液漏れしているECUですが、早速部品を買ってきて修理しました。
使用するコンデンサの銘柄を結構悩み、2種類購入しましたが、最終的には2種類の銘柄を混ぜて使う事になりました。
一番腐食が酷かったC7は・・・
パターンが切れていました。
腐食している箇所の電解液はそのままにせずに、ちゃんと銅を出した上で、レジストを塗りなおします。コンデンサだけ変えるのは簡単なんですが、コンデンサ交換で一番重要なのは電解液の除去とパターンの修正です。電解液はエタノールで綺麗に除去できます。
そして、極力パターンの形に添う形でパターン修正を行います。繋がってりゃ良いんだろと、ビニール線でジャンパーを飛ばすのは絶対にやらないでください。面倒なので説明は省きますが、ちゃんとパターンの形にも意味があります。
興味がある人は「基板設計 パスコンの置き方」等でググってください。
こういう、電子回路ではごく基本的な事をことを理解せずに、“
ハンダ付けができるだけ”でECUを修理している業者が多いのでご注意ください。
錆穴板金するときも、錆の上からパテ塗るのではなく、元の錆は落として処理しますよね?同じ事です。
しっかり仕事を見て選ぶといいと思います。
さて、問題のコンデンサの銘柄なのですが、ビートECU修理に造詣が深い某氏曰く「BXがイチオシ!」との事で、ニチコンUBXを一式用意するつもりでしたが、周囲のパターンを見て気になったので、UBXの母体のUBTも合わせて買ってきました。
UBT:125℃品、自動車電装用高信頼品
UBX:150℃品、自動車電装用超高温度品
※一般的なコンデンサの耐熱温度は85℃で、高温度品は105℃です。
製品ラインナップとしては、UBT⇒高温度化⇒高温度化⇒UBXという流れになります。UBXはエンジンルーム内にECUが置かれる最近の車用のコンデンサで、UBTはECU含む自動車電装用です。
ビートはECUの設置箇所の絡みで超高温度品のUBXが求められるのも解りますが、温度が低い助手席下に置かれるJA4には少々オーバースペックです。
水色のコンデンサがUBT、銀色のコンデンサがUBXです。デカいですねUBX。
実際、レイアウト的に実装が無理がある箇所が多数あり、そのような箇所はUBTを使用しました。本当は220uF 35VもUBTを使用したいところでしたが、220uFが売っておらず断念。
UBXは立てると上のケースに当たってしまいます。防爆弁がふさがる形になるのでNGです。
本当はこういう置き方をしたくないのですが、仕方なく寝かせています。実は職場の設計基準ではこの実装方法もNGでやらせてくれません。
まぁコンデンサ寝かせて設計してるメーカーも沢山あるので、その例に従って寝かせ、下にシリコン接着剤をつけて基板に固定します。ブラブラではダメです。振動でもげたり摺れたりして不具合を起こします。
電子部品の固定にシリコン接着剤を使う場合は「脱アセトン形」か、「脱アルコール形」を使ってください。
シリコンコーキング等で一般的な、「脱オキシム形」を使うと電子部品に悪影響を与えます。
他にはゴム系接着剤のコニシのボンドG17もいいですね。
JA4のMTRECグレードのコンデンサを交換する場合は、スペック・サイズの両方からUBTを採用するのが良いと思います。
まぁ、オリジナル同様の105℃品でも10年は持つと思いますが、10V品はせめて25V以上に変えた方がいいでしょう。
オリジナルのコンデンサの乗数は以下の通りです。
銘柄はすべてニチコンPR、スイッチング電源用小形化品で、105℃品になります。
C2 :220uF 35V
C3 :33uF 35V
C6 :220uF 10V
C7 :47uF 35V
C8 :33uF 35V
C13 :33uF 35V
C14 :47uF 10V
今回は以下のようにしました。
220uF 10V / 35V ⇒ 220uF 35V ニチコンUBX
47uF 10V / 35V ⇒ 47uF 50V ニチコンUBT
33uF 35V ⇒ 33uF 50V ニチコンUBT
最後に、この基板には元々コーティングが施されているので、改めて施工しなおします。
パターン修正や、電解液の除去でどうしてもコーティングが剥がれてしまいます。
基板コーティング剤はサンハヤトのハヤコートを使用しました。
(※多分オリジナルのコーティングもハヤコート)
コネクタ周りをマスキングしてシューです。
この際に、サブ基板についている大気圧センサーにもテープを貼って中にコーティング剤が入らないようにマスキングしてください!
マスキングしなかったら
壊れます。
施工後はこのように元通りテローンとします。
極性に間違いが無いかを確認してケースを閉め、おしまいです。
さて肝心の結果ですが、多少安定するようになりましたが、アイドリングはジリジリ1100rpm位まで上がってしまいます。
アイドリングが上がる原因は別にありそうです。
Posted at 2018/04/29 01:13:01 | |
トラックバック(0) |
修理 | 日記