2014年06月24日
踏切の奇妙な体験。
昔、mixi日記で書いた奇妙体験話です。
僕がまだ20代の頃の体験です。
廣済堂もののけ文庫「黒異本」に
この話のアレンジ版が掲載されていますが、
今回アップし直すのは、そのオリジナル版です。
それでは、どうぞ‥……
昔から、狐が人を騙すなんて話は、よく聞かれます。
僕も以前「実はそうだったんじゃないか?」と、
今から思えばどうしても腑に落ちない出来事がありました。
もう10年以上も昔の話ですが、僕の友人が愛知の某市に住んでいた時の事。
その町は僕はまだ一度も行った事が無かったのもあって、一度くらいは遊びに行ってみようと、それもその友人には内緒で行って、びっくりさせてやろうと企み、はるばる富山からクルマで一人で走らせました。
でも初めての土地なので、いくら住所を知っていても、なかなか判りません。
ましてやカーナビなど、当時は高価で、僕には買えません。
だけど、近くまで行けば、その近所の人たちに道を尋ねればいいじゃんと気楽に考えて、果たして、その町に着きました。
ところが、最初に会った人は、そんな住所は知らないと言うのです。
でも、電柱に書いてある地名や番地を見ると、すぐ近くのはずである。
ふと気付くと、二人連れがすぐ近くにいたので訊いてみると、ようやく、
「あ、その住所なら、その踏切を越えたら、すぐですよ」
と笑顔でニコニコ答えてくれる。
やっと手がかりを掴めて一安心、僕も笑顔でお礼を言って踏み切りの向こうにクルマを走らせた。
しかし、踏切を越えて暫く走っても、なかなかそれらしい番地が見当たらない。また迷ってしまい、とりあえず目印になる踏み切りが視界に入る位置に車を停めていると、2人一緒に歩いてくる通行人がいるのに気付いたので、再び尋ねてみると、
「あはは、それなら、この踏切を越えた向こう側ですよ」
と笑顔で僕に言う。
「・・・向こう?」
その通行人のおじさんと子供は、僕が今走ってきた道を指差す。
えー?じゃあ、さっきの人は僕に適当に言ったのか??まじかよ。
怒りを多少感じつつも、しかし怒ってもしょうがないので、そのおじさんと子供にお礼を言って、今来た道を戻った。
しかしである。番地が全然見当たらないのである。
また踏み切り近くまで戻り、暫くすると、今度は見た感じ夫婦連れの二人の通行人がいたので、多少焦り気味に道を尋ねた。もう夕暮れも夕暮れ、辺りは薄暗くなって来ていたからである。ところが、案の定、笑顔で
「その番地なら、その踏切の向こうですよ」
という答え。
ここまで来ると、僕もさすがに腹が立ってきた。
何だ、この町の人間は!
僕の様な外部の人間には適当な事しか言わないのか?失礼な。
それでも段々薄暗くなってくるし、アポ無しで来たから、目指すアパートに友人がいるとは限らない。そうなるとすぐ帰路につかなくてはならないしで、かなりムカツイタ状態で、またその踏切を渡った。
しかし、である。
渡って、ほんのちょっと。
僕は呆気に取られた。
踏み切りのすぐ近くに友人のアパートが現れたのだ。
中途半端な脱力感。
今までのやり取りは、一体何だったんだ・・・?
自分が間抜けだっただけ?
だけど、どうみても服装からして、この近所に住んでる風のあの通行人たちは、揃いも揃って、何度も踏み切りを往復させる様な言動をしたのか。
当時は、あまりの腹立たしさに「あの町には絶対二度といくものか」と思ってた。(因みに友人は不在だった)
しかし、今夜この話をたまたま思い出して、今これを書いてるけど、よく考えると"不自然"だよな?と今更ながら思う。
何故、揃いも揃って、会う人会う人皆が口を揃えた様に、
「踏み切りの向こうですよ」
と、同じ事しか言わなかったんだろう?その番地やアパート名を知らないなら、知らないと言えば済む話であるはずだ。
しかも、皆が皆ニコニコ顔で。いずれも踏み切りの側でのやり取り。
もうひとつ共通して言えるのは、必ず二人組だった事。
・・・これは、化かされたのでしょうか。
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Posted at
2014/06/24 21:31:29
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