2013年11月04日
雨の夜
今日は一日中雨。夜になりちょっとした集まりがあって町へ。
久しぶりに飲んだということもあったけれど、連日の疲労もあって、少し疲れを覚えたところでちょうど散会。
タクシーに乗ろうと思い、しばらく歩いて駅前のタクシー乗り場に行くと、濁ったヘッドライトから、ハロゲン球のぼんやりした灯を燈した日産クルーが一台停まっていた。
(これは、外れだな)と内心思ったものの、タクシーは一台のみ。選択の余地はなくその車両に乗り込んだ。年のころ60代半ばと思われる運転手さんに行先を告げると、ややぶっきらぼうにも思えるゆっくりした口調の返事。
信号が青になり、タクシーはしょぼ降る雨の中、のそのそ走り始めた。
タクシーのシートは、とてもやれていて不自然な形に沈み込んで、いささか座りにくい。
ファイナルギアは、ひゅお~んという音を奏でる。
ブッシュもかなりくたびれているようで、車軸の落ち着きのない動きが結構ひどく、そのひどさが、のそのそした走りをより顕著なものにしていた。
最初は運転手さんのぶっきらぼうにも思えるゆっくりした口調もあって、なんだか外れを引いてしまったような気がしていた。
しかし、そのうち気になり始めた(いったい、このタクシーはどのくらいの距離を走っているのだろう?)思わず、尋ねた。
「このタクシーはどのくらいの距離を走っているのですか?」
ややあって、運転手さんから
「・・・結構走っていますよ、64万キロですね」
とお返事。
「だいぶ走っていますね、もう古いのでしょうね」
と聞くと、
「そうですね・・・私が八年目だけど、そのころにはもうこの車がありましたから、そろそろ廃車なの
ですけどね」
とのこと。
タクシーは小雨の中、初老の運転手さんの、いささかのんびりした運転にリズムを合わせるかのように跨線橋を超え、交差点に差し掛かろうとしていた。
(でも、十分に走るじゃないか、のそのそしているけどこれも悪くないじゃないか)と思う。
「まだまだ、走るのに廃車なんてもったいないですね」
と話すと
「いや、でも気を遣うのですよ、古くなるとね、でこぼこしているところなど走るときには特にね。」
とプロドライバーらしい答え。そうか、のんびり、のそのそ走るなぁと思っていたが、古いタクシーの悪い動きが出ないように、気を遣った運転だったのだ。確かにプロらしい意見だな、タクシーを道具と見れば、それはそうなのだろうな。
こうやってだんだん古い物や人は姿を消し、新しい物や人に置き換わっていくものだ。世の中はそうやって廻っているのだとも思う。
でも、悪くない。こういう古い物も悪くない。人も物も、古さだけではない味わいも時の流れとともに熟していくこともあるのだから。
車窓からゆっくり過ぎ去る夜景を見ながらそう思った。
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Posted at
2013/11/04 01:05:50
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