
先週、30系レクサスISのガソリンエンジン生産終了が正式にリリースされました。いつか、こういう日が来ることはわかっていましたが、発表されると寂しくなります。11月以降はハイブリッドのみの展開が残ることになりますが、それも長くはないでしょう。そしてモデル最高峰のIS500にクライマックスエディションが設定され、いよいよ最終局面にさしかかりました。
2013年に30系ISが発売されてから12年が経過。その間の2回のマイナーチェンジでデザインやシャシーチューニング、エンジンラインナップが充実していきました。
私が、90年代にトヨタディーラーで勤務していた時代は、トヨタ車は4年ごとにフルモデルチェンジが行われ、型式の数字が増えていくのが常識でした。30系ISは見事にその常識を破って、12年間の長きに渡り、同じフレームのクルマを進化させてきました。セダン不調の世の中で、大きな投資を伴う新しいフレームの開発は、コスト回収を考えると不可能。それゆえに12年間も同じフレームをチューニングすことに。しかし、それがファンにとっては、たまらなく愛おしいのではないでしょうか。縁があって、2013年式の30系ISの前期型に乗り、それから現在は2023年式の後期型に乗ることに。初期モデルと最終モデルに乗ることになりました。初期モデルはかなり硬い足回りと高剛性シャシーで、スポーツセダンをトヨタが、レクサスが本気で作ったらこうなります!と言っているかのごとく、当時としては素晴らしい乗り味でした。後期型は、世界一のエクステリアで魅了し、乗れば、足回りは完成度が格段に高くなっています。猫足なのにロールはしない。知り尽くしたフレームとサスペンションの深化は、欧州車を凌駕しています。トヨタの秘蔵、下山テストコースで鍛え抜かれ、そのトータルバランスの良さは成熟の極みではないでしょうか。一方で、やはり設計の古さから、内装の、特にセンターコンソールは2020年代発売のクルマとは雲泥の差。流行りの液晶は小さく、物理スイッチがズラリと並ぶ。でもそれは、90年代のクルマと似ていて、どこかノスタルジックで、かえってISの良さになっていると感じます。さらに、運転席に座ると、アクセルペダルが、かなり右側に配置されているのがわかると思います。トランスミッションの径が大きいため、運転席のシート位置とペダルの配列がズレていますが、そんな設計の古さすら、もはや味になっています。愛車は8ARというヤマハ製の2リッターターボエンジンと8速ATの組み合わせ。ハイブリッドや電気自動車、CVTなどの今風の気配すら無い。それがまた所有感を高めてくれます。
2025年も半分が過ぎ、全個体電池の噂話も現実味が増してきました。電化、ハイブリッドは、これからのクルマが進化していく方向である事は、間違いはありません。
もう少し時間が経って振り返った時、30系レクサスISは、12年以上のロングランモデルであった事が、語り継がれていると嬉しいなと思います。。マイナーチェンジを繰り返し、長きにわたり、ひとつのクルマを極限まで進化させ続けた事、ガソリンエンジンを中心にラインナップが豊富だった事などが、かえって時代錯誤の素敵なキャラクターだったなどなど。
ガソリンモデルの生産終了まであと5ヶ月を切りました。寂しい限りです。30系ISの長い歴史が、いよいよクライマックスを迎えます。
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2025/06/24 01:56:50