2025年12月01日
【思ひ出ぽろぽろ】某国のローカル線で命運尽きかけたメタラーがいた
※お断り:ある程度、事実に基づいたモノではありますが、表現上の演出等、虚実ないまぜにしたものであり、また、思想信条、政治的な見解など全く含まれないものとなりますことをご承知おきくださいm(__)m
現在、デリケートな問題となっております、日沈む国との摩擦。
大和島根に育ち、多感な時期に三島由紀夫に感化され、当時、まさかのKO大学の指定校推薦が不合格となるまで青臭く右傾化した私としては、今もSAPIOを愛読するなどイデオロギーは変わりようがありませんが、
実は、今をさかのぼること20数年前の小泉政権真っただ中、よりにもよって、伊勢丹やユニクロが破壊されるなど、過激な反日デモの真っ最中に、当時、共同経営していたベンチャー企業の現地法人の立ち上げに、ほぼ毎月のように現地に出張していたのでした。
Sars禍も加わって、飛行機はガラガラ、そして日本人街も閑古鳥と、邦人の姿は消え失せ、空港で日本語を話しているのはパートナーの日本人会計士と私ぐらい。
プラカードを掲げた過激な集団がいるわけでもなく、何かしら危害を加えられたなどの情報も入ってこなかったため、特に気にすることなく、リニアを降りた後に、ローカル線に乗ったのがいけなかった。
普段なら特級車両で移動しているのが、この日、ダフ屋(当時、列車の座席はほとんどダフ屋から買うのが通例でした。)からチケットを全く買うことができず、ようやく手に入れたのが2等車両のもの。
「ま、こういうティピカルな旅もいいよね。」と危機感の欠片もない、呑気なパートナーの会計士。
ホームに到着した列車のドアに、順番などお構いなしに我先にと殺到する現地の人たちに気おされながらも、まずは、我々が予約した席に堂々と鎮座する、謎の人物をどかすのはお約束、そうして列車が出発してしばらくした時のことでした。
少々お高い2等車両と言えど、古い教室のような黒ずんだワックスの床、垂直な背もたれの椅子、饐えた匂いと、空調が効いて上質な椅子がある清潔な特級車両とは雲泥の差で、地味な色合いの人民服のような衣服で埋め尽くされている。
飛び交う言語は、広東語、浦東語のほか、ほとんど聞き取れない方言などがかしましく響き、車内販売のヒマワリの種が入った袋を皆でシェアし、その殻がどんどん床に散らばっている。
その中で、スーツ姿は我々のみ。
勿論、日本語で会話しているのも我々だけ。
列車が出発し、賑やかしい車内の中、田園風景を眺めながら、ノートPCを開け、会計士と仕事の打ち合わせをしつつ、メールなどを打っていると、隣の車両から人が流れ込んできて、そのガヤガヤがどんどん大きくなっているではないですか。
何事かと、気にはなるも、重要な資料作成の途中だったため、PCから目を離すことが出来ない。
隣の会計士ちらりと見やると、イヤホンを付け、一心不乱にR18動画をを視聴している。
そうこうしている内に、車内の喧騒はさらに大きくなり、これは仕事どころじゃないなぁとPCを閉じようとしたその時、後頭部に何かが当たったのでした。
ジャケットの肩口から床に転がるのは、ヒマワリの種。
ん?と思った途端、前から後ろから、ヒマワリ種がこちらに向かって飛んできているじゃないですか!!
顔を上げると、我々の座席をぐるっと取り囲むように、乗客が集まっている。
「T先生、ちょっと、、、いかがわしい動画見ている場合じゃないですって。」と慌てて、横の会計士に声を掛けると、
「あ、え?どうしたん?うわっ!!!」と事態を把握したようで、
その集団のリーダーらしき人物が、『お前ら、取り敢えず、席を立て。』と言っている。
言われた通り起立し、改めて周りを見渡すと、この車両の全員より多い人数が我々を取り囲んでいたのです。
ほぼ全員が敵意にあふれた視線でこちらを睨んでおり、その間も、絶え間なく頭やスーツに当たっては床に散らばるヒマワリの種。
「先生、これやばいっすよ、、、、」
「うん、思ったより、まずい状況だね。」と小声で囁き合っていると、
そのリーダーらしい人物が、おもむろに新聞を縦に広げ、そこには、1面ブチ抜きで、小泉首相の顔が掲載されており、見出しには『小泉鬼子』の文字と、その写真に赤いバッテンが。
「我々、肉まんですかね。」
「う~ん、もしかしたら、上海ガニの餌かも。」
こんなところで、命運尽きるなんて、日本に残した家族のことなど思い浮かべていると、
会計士と新聞を持つリーダーらしき人物とのディベートが開始されたのでした。
実はこの会計士、普段はどうしようもないスケベで会議の時間とか守らないいい加減な人物なのですが、中国、台湾での実務経験が豊富で、北京語がペラペラ、そして、妙に度胸が据わっていたりするんです。
その私も学生時代、法学部ながら第1外国語で中国語を履修していたこともあり、多少の読み書きとヒアリングは出来るが、早口でまくしたてられたら、手に負えない。
最初は、胸倉をつかまんばかりの、その名の通り、口角泡を飛ばすような激しい口論となっており、周りも殺気立って、『次の駅で引きずりおろすか。』など、物騒なヤジも飛び交い、何度も肉まんになる覚悟をしたのですが、次第に、互いの口調が柔らかくなり、そうしている内に、肩をたたき合い、周囲からも笑いまでが起きるほどのほぐれた雰囲気になっているではないですか。
私が呆然と見回る中、会計士とそのリーダーは握手を交わし、そうこうしている内に、その場にいた全員が自分車両や席に戻るなどなどして、さっきまでの物騒な空気はどこへやら、あっという間に解散となったのでした。
「T、T先生、一体これは・・・・」
「Vさん、もう大丈夫、我々の安全は担保されたよ👍」
「ええ、それはありがたいのですが、何を話されていたのですか?」
「いや、まぁ、彼らはメンツを大事にするよね、だから、こんなことして引くに引けなくなったこともあって、最初は、相手の主張を聞きつつ、こちらの立場をはっきり伝えていたら、ヒートアップしちゃったんだよね。一発ぐらいもらってやってもしょうがないと思っていたら、あの男、案外、話が分かるヤツで、政治家に責任があることだから、お前らに言ってもしょうがないけど、たまたま見かけた日本人がお前らだったから、ちょっと言わせてもらっただけで、大事にするつもりはなかったものの騒ぎになってしまった。で、最後に、お前らビジネスマンだろ?俺たち、日本のものは好きだから、この国から撤退するなんてことはしないで欲しいだって。」
と椅子の上のヒマワリの種を払って腰掛けると、先ほど、取り囲んでいた人物の一人から、お詫びか何かの青島ビールが2本、差し入れられたのでした。
そんなこんなで、年季の入った2等車両で命運尽きることなく、なんとか、現地法人の立ち上げが出来、その後、数々の修羅場やT会計士のやらかしで国外追放処分になりかかりしつつ、数年後、投資を捨て、日沈む国からは手を引くことになったという。
政冷経熱とはまさにこのことと、ふと、収穫したヒマワリの種を、見ながら思い出した次第です。
そのT会計士の尋常ならざるス〇ベがトリガーとなり、国際問題に発展しかかった、とんでもないやからしは、またの機会にて。
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My Life | 日記
Posted at
2025/12/01 11:55:52
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