2008年11月19日
コビトの話
ある町にサーカスの小屋が建てられた。
仰々しく音楽も奏でられていない。
入り口には「一寸法師の曲芸」と書かれていた。
そっけない物で、客もさほど入っていない。
しかし、日がたつにつれ、客が増えていった。
その理由は中にはいると分かる。
一寸法師は本当にいた。
もっとも正確には一寸でも法師でもない。
身長はほぼ20cm。
だがお客は文句を言わない
姿形が変わらず20cmとは珍しいじゃないか。
看板にはもう一つ偽りがあった。
曲芸と言うほどの芸はしないのであった。
それでも客は文句を言わなかった。
することといったら座長らしい人物が
舞台の上で小人を虐める、ただそれだけ。
小人は虐められるたびに、悲しげに泣く。
声も表情もリアルであった。
反抗できないのは誰が見ても分かった。
見ている人は自分も虐めているような、
虐められているような気持ちになる。
日頃から虐められている物は、
ここに来てそのうっぷんを晴らし、
毎日ぬるま湯に使っているような人は、
ここで強烈さを補えるという仕組みだ。
しかし、評判が広まりすぎると、
必ずと言っていいほどこんなことが起きるのだ。
「なんということでしょう!
このような非人道的なことは
許すわけには行きません!」
座長に詰め寄る人々。
しかし。
座長「どこでサーカスをしても
あなた方のような人が必ず来ます。
しかし、こいつは私が山で捕まえたのです。
私の物をどうしようと勝手でしょう?
しかも、こいつは人じゃない。こんな小さな人はいませんよ」
コビト「僕のことなら大丈夫です。構わないでください。
それに僕はこの仕事を辞めたら 、
生きていくお金が稼げなくなってしまいます」
「何て可哀想な子なんでしょう!」
人々は、座長を裁判にかけた。
『あの小人を人間として扱うべきである』
座長「あの小人は人間なんかではない。
外見を気にするのなら、
チョコレート人間を食べる子供も犯罪か?
喋るのを気にするのなら、
オウムも七面鳥も、
ロボットも人間として認めるのか?」
このことはすぐに新聞沙汰になった。
当然のことだが誰もが小人を応援する。
そうすることによって、誰もが
リンカーンや清水の次郎長、
慈悲深い王妃様になった気持ちになれる。
一種の高度な娯楽にもなっている。
判決の日。
「小人といえども、同じ人間である。
今後何人といえども虐待は許さない
虐待をすれば容赦なく処罰する」
座長「そっそんな」
コビト「本当ですか!?選挙権とかもあるんですか!?
「もちろんだ。人権などは我々と全く変わらないよ」
コビト「ははははっ!あっははははは!
まったくこの国はお人好しばかりだ!
地下の我々コビト族はこの時を待っていた!
今までだったら武器もなく、簡単にはじき返されたが、
今では法律も我々の味方だ!皆出てこい!! 」
合図と共に、1万、10万というコビトが
山からあふれ出してきた。
この数を止められる物はもういない。
軍隊で防ごうにも法律がある。
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星新一先生の「小人」を抜粋&編集したものをもらいました。
国籍法改正案 反対。
フィリピン少女強制退去 賛成。
ニートは働きなさい。
以上。
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Posted at
2008/11/19 02:38:46
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